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年間500本を越える映画を見る映画狂・恵介。TVやDVDで見る映画は映画ではない。映画はアメリカや東南アジアや日本でも劇場で試写室で見る映画のみに限られ、その感想やコメントを毎日書き込みます。今まで休んだのは上海に滞在した2012年の4日間だけ。サイバーコップが日本中国間のブログ・アクセスを切断したからです。それ以外は皆勤、アクセスは52万回を数える。
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    原題A Dog's Purpose、「犬の生きる目的」は先ず楽しむこと、人間と一緒に楽しく生きることにある」と結論する。

    映画は最初のゴールデンリトリーバーの「ベイリー」の老衰の死によって引き裂かれたイーサンとベイリーの絆が50年後にリユニオンされる運命を描く。

    アメリカでは1月27日から上映が始まったが新登場では2位。
    Amblin EntertainmentとWalden Media制作UNI配給のラッセ・ハルスト監督「A Dog's Purpose」はファミリー層を惹きつけ3058館で公開され18.4Mの興行成績だが制作費は22M(25億円)だからリクープは問題ないだろう。

    スェーデン出身のベテラン,71歳のラッセ・ハルストレムは「ギルバート・グレイプ」や「ショコラ」などでデカプリオやデップを送り出したことで知られる巨匠だが、犬好きで評判だ。
    忠犬ハチ公をモデルにした「HACHI 約束の犬」や犬のように扱われる見捨てられた少年の「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」など犬をテーマにした作品を制作しキャリアを積んで来て犬映画は3本目になる。

    青天の霹靂事件が起きたのは、公開前のプロモ・ヴィデオがTMZの動画にアップされ、犬が「水責め」の誤解を招くようなトレーラーが流れた。

    ダムに落ちた少女を助けようと「警察犬」に転じたジャーマン・シェパードが後を追って飛び込むシーンだ。無理矢理背中を押して突き出すように見える。。

    怒った動物愛護団体「PETA」が(映画を見もしないで)犬が虐待されていると訴え、映画のボイコットをマスコミを通して呼びかけ、実際幾つかのシネコンの前ではプラカードを掲げ、観客に「見るな!」デモを繰り広げ訴えた。

    これさえ無ければ少なくとも2週間前の予測調査では24Mを超えると報告が出ていたのだから20Mにも届かない結果にユニバーサル・スタジオ関係者は怒り悔しがる。

    8歳の少年イーサン(プライス・ゲーサー)の家に引き取られた犬ベイリーは、イーサンと喜びも悲しみも分かち合いながら成長する。工場をリストラされた父親と母親は喧嘩が絶えず夫婦は離婚し父親は家を出る。
    だがイーサンはベイリーが傍に居る限り気にしない。

    高校生となったイーサン(K・J・アパ)とベイリーの人生のハイライトは二人で遊んだフットボールのお陰でイーサンは高校チーム「Tigers」のクォーバックでパスの名人となりスカウトの目に留まりミシガン大学の奨学金を受けることが決定する。恋人ハンナ(ブリット・ロバートソン)も学業成績優秀で既に奨学金を得ている。

    これを妬んだ同級生の悪ガキがイーサンの家に爆竹や花火を投げ込み、家事になる。炎上する二階から母親と犬を救い出し自分の番になるとシーツが燃え切れ庭に落ちた所を家が崩れその下敷きになる。
    ベイリーが駆けずり回るが大きな柱の下から引っ張り出せない。

    消防隊員が救助するが左脚は重傷で生涯ビッコをひくことになる。
    ミシガン大学のクォーターバックの夢は破れるがイーサンの一大決心は愛するハンナと別れること。
    彼女に引っ付いて勉学に励む足枷になってはいけない。

    泣く泣く別れ自分は農業学校へ行き、祖父母の経営する農園を受け継ぐことにする。小さな生きて行くのが精一杯に農園だがこれしか選択の余地はない。

    18歳に満たないK・J・アパ演じるイーサンの涙を堪えての決別の辞はハンナと観客の胸にズシリと重い感動を届ける。

    W・ブルース・キャメロンが愛犬を亡くし嘆く恋人のために
    「死んでも生まれ変わった君のところへ戻って来るんだよ」と、
    書いた小説「野良犬トビーの愛すべき転生」(新潮文庫)は大ベストセラーとなりここに映画化された。

    ヒンズー教や仏教では人が何度も転生し、
    また動物なども含めた生類に生まれ変わる「輪廻」を信じる。

    何十年も隔てて、何匹の犬を経てイーサンのもとに戻って来る愛犬ベイリーとの絆は「仏教徒」か「ヒン
    ズー教」でなければ信じられない輪廻の世界だ。

    50年で3回転生するベイリーは、劇中で最初はゴールデン・レトリバーの仔犬だったが、
    生まれ変わってジャーマン・シェパードはシカゴ警察犬K9になるが
    人質を救出し揉みあった瞬間に犯人に射殺される、一番勇敢で短命な犬だった。
    それから可愛いコーギーを経て、最後の犬はベイリーのラブラドールに負けない大きさ。
    セントバーナードとオーストラリアン・シェパードのミックスに姿を変えて
    野原にポツンと一軒立つ懐かしいい白い家の戸口に立つ。

    50台半ばのイーサン(デニス・クエィド)は老け込んでベイリーだとは分からない。
    尻尾を追いかけてグルグル廻っても「どこの犬も同じだよな」と感銘もしない。

    納屋の片隅に空気の抜けたフットボールを見つけイーサンに渡し投げろのサイン。投げて四つん這いになったイーサンの背中からジャンプしボールをキャッチしてイーサン、大声で「ベイリー!」と気付いて呉れる。
    そこから過去の負債をチャラにする。イーサン&ベイリー、コンビは夫を亡くし孫娘と暮らしているハンナ(ペギー・リプトン)を楽しませ、失われた青春を取り戻し結婚に漕ぎつける。

    農園の庭に大きなテントをはりカントリーバンドをいれた華やかなイーサン、ハンナのウェディングパーティ。
    そして二人に挟まれてベイリーの再出発。

    犬の使命は人間と共に生きる楽しみを堪能すること」
    少し時間がかかったがこれがDog's Purposeだ。

    ベイリーほか総ての犬の声を担当するは、ディズニー映画「アナと雪の女王」でオラフの声を演じ、
    実写版「美女と野獣」ではル・フウ役を演じたジョシュ・ギャッド。
    声がユーモラスで牝の警察犬、K9の声も違和感が無い。

    成人したイーサン役にデニス・クエイドが渋い顔で現れると安心感が湧く。
    役者の中でデニスしかしらない人も多い筈。

    余り馴染みがないがイーサンの初恋の女性ハンナ役のブリット・ロバートソン、大人になり孫娘もいるハンナをペギー・リプトンが爽やかに演じる

    ともかく犬の映画は良い。
    愛犬を殺されて怒ったジョン・ウェルチはロシアン・マフィアとイタリアン・マフィアを全滅する。犬愛好家の気持ちだ。

    9月29日よりTOHOシネマズ日劇他全国公開される。

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    原題の「名誉市民」(The Distinguished Citizen)とは、主人公の作家がアルゼンチンの田舎の市長から贈られる称号だ。

    アルゼンチンの故郷、小さな町「サラス」のことを書き続けてノーベル文学賞を授与されたダニエル・マントバーニ(オスカル・マルティネス)。

    ストックホルムでの授賞式で「これは喜びよりも、作家として衰退のしるし」とひねくれたスピーチ。

    それから5年、執筆は一切行わず、講演の依頼もサイン会も断り、スペイン・バルセロナの豪邸から一歩も外へ出なかった。

    ここまで来るとアルゼンチンではないが、コロンビアのノーベル文学賞受賞者、ガブリエル・ガルシア・マルケスを思い出す。短編集「落ち葉」や「百年の孤独」などを読んだがエッセイ集「ぼくはスピーチをするために来たのではありません」で、映画の主人公、ダニエル・マントバーニはマルケスをモデルにしていることが分かる。

    コロンビアの人口2000人に満たないアルカタカで祖父母に育てられボゴダに移るがガルシアの故郷として頻繁に登場するのは架空の町「マコンド」だ。
    マコンドでの様々な人々の生き様やエピソードを小説の中で活かしている。

    だからマルケスの積りでダニエルを追う。

    授賞以来、何もせずに5年間、バルセロナの大邸宅に引き籠り、秘書のヌリア(ノラ・ナバス)を心配させていたノーベル賞作家ダニエルは、アルゼンチンの生まれ育った故郷、田舎町「サラス」の市長(マニエル・ビセンテ)から「名誉市民」の称号を授与したいと招待を受ける。

    20代の若い頃逃げるように逃げ出したサラスだが、嫌悪と侮蔑だけだと思ったら、心からもう一度見てみたいとのノスタルジアもあり40年ぶりに遥々スペイン・バルセロナから飛行機に乗りポゴダに到着する。

    さぞや華かな歓迎陣が待ち受けているだろうと税関を抜けロビーに出るとTシャツで小太りのラモンと言うどんくさい男が小さく名前を書いたプラカードを持って立っている。

    サラスまではまともに行けば7時間かかる、近道を知っているからとオンボロ自動車の助手席に乗せられ人家の見えない野っぱらをとことこ走ること3時間ほででパンク。スペアタイアも無し携帯もつながらないと言う最悪の状態で夜になる。そして野原で一晩過ごす。

    ようやくオカシイと捜索隊が出たらしく、その一台にピックアップしてもらい町のホテルへチェックイン。
     とてもじゃないが歓迎してくれている状態でない。

    市長、カチョが巨体を揺すって部屋を訪ねて来る。明日の名誉市民賞贈呈式典のこと、滞在中のスケジュールを説明する。自分のイメージアップのためにこの著名人をどう活用したら良いかを思案している様子が見て取れるのが笑える。

    消防車がやって来てパレードをやると言う。人口が少ないし消防車しか派手な公用車は無いと言うので渋々乗り込む。

    嬉しかったのは幼馴染で学校も一緒に通ったアントニオ(ダディ・ブリーバ)に再会できたこと。アントニオはダニエルの恋人だったイレーネ(アンドレア・フリヘリオ)と結婚し
    フリア(ぺレン・チャパンネ)と言う美しい娘を設けている。
    (このフリアがダニエルに惹かれいるのでややこしい)

    アントニオとは過去の柵などいろいろありそうだ。愛憎入り混じったアンビバレントなフリヘリオの演技が上手い。

    さて肝心の名誉市民賞贈呈式、ダニエルの生まれたばかりの写真から小学生中学生の頃、そして現在までを纏めたショートフィルムは当の本人、ダニエルが感動し涙が止まらない。

    「これはノーベル賞より価値のある名誉です、その名に恥じないように残りの人生を歩みます」とオーバーなスピーチをしてしまう。

    しかしお祭り騒ぎはここまで、概して町の人々に冷たかったダニエルへの反発(しっぺ返し)は
    ノーベル賞を貰ったからと言って消え去るものではない。

    二次会のクラブの飲食で踊りまくるダニエルに詰めたい目、
    絵画コンクールで審査委員長のダニエルの評価は八百長だと怒鳴り込む男、
    果てはホテルの部屋に裸の若い女性が二人、追い出すのに一苦労だ。

    国際的文化人と歓迎してくれていると調子に乗っているが、ふと気づいてみると、彼を取り巻く事態は、いつの間にか思いもよらぬ方向へと方向転換しはじめている。

    どうも故郷と言うものは「遠きにありて想うもの」が良さそうだ。

    主演のオスカル・マルティネス。アルゼンチン生まれの68歳。TVで活躍していて馴染みが無いが硬軟織り交ぜた演技は絶品だ。


    監督は日本でも2012年に公開された「ル・コルビュジエの家」のガストン・ドゥプラットとマリアノ・コーンの共同演出。脚本はアンドレアス・ドゥプラット。監督の実兄で建築家でもある。

    この作品は米アカデミー外国語賞のアルゼンチン代表作に選出されたのを始め、スペイン・アカデミー賞で最優秀イベロマロウ文化賞を受賞。
    同じくスペイン国際映画祭の作品賞/脚本賞をW受賞、ギリシャ・テッサロニキ国際映画祭で観客賞など南米のみならず、ヨーロッパ各国で数々の映画賞を受賞。

    しかしスペインやイタリアなどヨーロッパでは評判のコメディだがアメリカでは今年の1月に小さなパームスプリング映画祭で1回上映されただけ、一般劇場公開はなく直ぐにDVDになってしまった。

    故郷を捨てたノーベル文学賞作家、コロンビアのガブリエル・ガルシア・マルケスとダブルイメージで見るのも一興だ。

    9月16日より岩波ホールにて公開される。

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    フランス映画界のソフィア・コッポラと評判の、「美貌の天才レベッカ・ズロトヴスキ監督」とプレスに書いてはあるが、37歳のポチャッと下膨れの顔はそんなに美人ではない。それにデビュー作の「美しき刺」も日本ではフランス映画祭で上映されただけで一般公開はされていない。

    だから注目のスターを使ってのこの作品が実質的に日本への初お披露目と言うことになる。アメリカでも8月半ばから上映が始まる。

    1930年代。第二次世界大戦の前夜、アメリカ人スピリチュアリストのローラとケイトのバーロウ姉妹は、憧れのパリへと向かう。

    クラブでの交霊術ショ―。幽霊や死者を呼び寄せ話をすると言う。
    姉のローラ(ナタリー・ポートマン)が仕切り妹のケイト(リリー=ローズ・メロディ・デップ)が霊を呼び出す。
    呼吸が荒くなり声が高まる「来るわ来るわ」(It’s coming!)と叫んだ後、
    声色がしわがれて死者の声になる。

    感動した観客に「自宅へ赴き個人的に親しかった死者を呼び出します」と誘いをかける。
    この降霊術ショーは19世紀にヨーロッパを渡り歩いたアメリカ人女性トリオFOXショウが実在し彼女たちをモデルとしていると言う。

    聡明な姉のローラはショーを仕切る野心家で、純粋な妹のケイトは自分の世界に閉じこもりがちな少女。
    死者を呼び寄せる降霊術ショーを披露し、話題の美人姉妹として活躍し金を稼いでいた。

    しかしクラブなどで多数の観客を集めての降霊術には限界があり、
    個人的にバーやレストランなどで行っていた。

    そんな二人の才能に魅せられた富豪の映画プロデューサーのアンドレ・コルベン(エマニュエル・サランジェ)は、世界初の「幽霊映画」を撮影しようと姉妹と契約する。

    南仏の海辺の豪邸に住まわせ映画を始まり、ローラは端役ながら巧みに演じるが肝心のローラはどうも不器用だ。

    コルベンと監督は、ローラに女優としての才能を感じ、彼女を主演に映画製作を進めることに。
    相手役の若き美男俳優フェルナン(ルイ・ガレル)との熱いキスを演じたことで、映画の魔法がローラを女優として目覚めさせる。

    「何もかもすぐ成功させたい。すべて欲しい」そんなローラは、野心を剥きだしにしていく。
    ある夜、なにもかにも楽しくて仕方ないコルベンはローラに「君たちが来てから人生が変わった。扉を開けてくれた」と洩らす。

    ローラはドイツ生まれのフランス人と自称するコルベンのフランス語に違和感を覚え
    「あなたはフランス人ではないのね」と決めつけるが、
    コルベンはれっきとしたフランス人だと言い張る。
    この件は後になってコルベンの運命を分ける重大な要素となる。

    コルべンのスタッフや監督も映画に反対するがコルべンはワンマン、
    金に物を言わせてドンドン進行する。

    コルベンは豪邸に夜な夜な美女を連れ込み淫行に耽るがそんな彼にケイトは惹かれる。
    それを良いことに
    コルベンは死んだ彼の妻を呼び出し、妻となったケイトに熱いキスをする。
    ケイトを通して妻を愛し始める。

    更にケイトの降霊の源を探ろうと顔中にピンを建て有害な電磁波を放つ機械をに使い実験をする。コルベンを純粋に愛し信じるケイトはバカげた治験で白血病に罹りそのまま命を絶つ。

    コルベンの会社のスタッフは臨時株主総会を開き、降霊術に夢中になるコルベンの退任を決定する。

    出自を調べ上げた副社長の親友は「本名はコルベンでなくコルビンスキー、ポーランド生まれのユダ公だ!」と決めつける。

     逮捕され法廷で国籍をはく奪されたコルベンはその後フランス官憲の手
    (ナチスに強力)で東部へ送られ行方は知れない。

     死者と話が出来ると言うインチキチャネリングで稼ぐアメリカ女性、
    一瞬の恋に燃え尽きる若い男女、
    民族差別、色んな要素をスタイリッシュに取り入れては居るがシリアスな悲劇も消化不足でアラが目立つ。

    素材もテーマも面白い。
    「見えないものをどう見るか?」
    星は昼には見えないが夜になると見える。映画は明るいと見得ないが暗くなると見える。降霊術は信じないと見得ないが信じると見える。

    ビジネスとして降霊術を金儲けの手段と考えている姉ローラはクールに割り切っている。妹ケイトは本当に幽霊と話ができると信じ切っている。

    ユダヤ人の大富豪は金の力でフランス人に成りきれると信じている。

    しっかりしたテーマを扱っているのにレベッカ・ズロトヴスキ監督には荷が重い。

    主演の姉ローラ役には「ブラック・スワン」でアカデミー主演女優賞のナタリー・ポートマン。12歳の時、「レオン」でデビューしたかわいいイスラエル女優もう35歳になる。

    純情で本当に幽霊と話せると信じるのはジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘リリー=ローズ・メロディ・デップ、17歳。
    両親の血を継ぎ美しく芝居も上手い。

    アンドレ・コルベン役の52歳のエマニュエル・サランジェはフランス映画ではお馴染みのベテラン役者だ。

    9月23日 よりヒューマントラストシネマ有楽町他で上映される。

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    アメリカで今年3月3日より開けたこの作品、2800館で全国公開され16.1Mを挙げいきなりチャートの3位につけた。

    信仰映画は南部のキリスト教徒の多い「バイブル・ベルト地帯」で当たるが都市部では振るわない。
    しかし全世界で2000万部を売ったと言うウィリアム・ポール・ヤングのベストセラー小説の映画化は既に本を読んだ人が多いのでヒットにつながる。
    (日本でも「神の小屋」という邦題で出版)

    この後も連続4週興行成績のチャートに顔を出し信仰映画としては大ヒット作品となっている。
    そして遂に日本でもクロックワークスが購入し配給することとなった。

    原作の人気の他に日本人には2000人からのオーディションを受け選ばれた
    人気俳優の石田純一と松原千明の娘、すみれが
    神秘的な聖霊「サラユー」役でアメリカ映画デビューが話題となっているからだ。
    ハワイ育ちの可憐な美少女、すみれの英語は完璧なネイティブだ。

    信仰映画と言いながら飛んでもないエピソードから始まる。
    いきなり40年前にさかのぼる。

    マックス少年(カ-ソン・ローム)は酒に酔ってママ(タニヤ・ハバーレリ)に暴力を振るうパパ(デレク・ハミルトン)が許せない。

    ママを守ろうと間に入るとコテンパンに打ちのめされる。
    教会の牧師に告白し神様から暴力を止めて貰おうと皆の前でパパの暴力を懺悔したからパパの怒りは頂点に達し、殴る蹴るばかりか鞭で体中打たれ意識を無くす。

    数日後動けるようになったマックスはパパの好きな牛乳の中に「殺鼠剤」を混入する。
    パパの死因は警察の追求に合わず、完全犯罪で信仰映画には相応しく無いが、映画はそのことには触れず、40年後に飛ぶ。

    成長し50代となったマックス(サム・ワーシントン)はフロリダ州の田舎で妻と3人の子供たちに囲まれて幸せな生活を送っている。

    夏休みのある日、子ども3人を連れて教会のサマー・キャンプに出掛ける。
    マックスの幸せな人生は、最愛の末娘ミッシー(アメリ―・イブ)がキャンプ中に誘拐されたことで終りを告げる。

    捜索から数時間後、廃れた山小屋で彼女の血に染まったドレスが発見される。
    そこに残されたテントウ虫のピンは、警察が追い続ける連続殺人犯の凶行である証拠でシリアルキラーであることは間違いなかった。

    しかしミッシーの遺体は警察やFBIの懸命な捜索でも見つからなかった。

    5年の月日がすぎても、マックは深い悲しみから抜け出せず、酒に溺れ怠惰となり、妻や子供たちとも距離ができ、家庭は崩壊寸前だった。

    そんなマックの元へある日、「あの小屋へ来い」と書かれた奇妙な招待状が届く。疑念を抱きつつもマックは一人、山小屋へ向かう。

    しかし久山小屋へ向かう車は大型トレーラーと衝突しマックは意識を失いICUに収容される。

    幻想か夢か、辿り着いた山小屋で待ち受けていたのは3人の人物だった。

    パパ(オクタヴィア・スペンサー)とイエス(アヴラハム・アヴィヴ・ラッシュ)それに聖霊のサラユー(すみれ)の三位一体だった。

    これも出来過ぎた話だが、
    パパと呼ばれるスペンサー扮するデブの黒人女が「父なる神」と言うのも俄かに信じがたい。
    但し、ラッシュのイエスは髯も似合うイケメン納得性があるのは白人だからだろうか。
    黄色人種のすみれの聖霊は違和感が無い。

    彼らの住む山小屋(シャック)こそが神の小屋だったのだ。 

    食事をし、話し合う。
    人生を変える「神との体験」だった。

    神様のなさることは意味があることで受け入れなければならない。
    確かにミッシーが誘拐され殺されたことはマックスにとって耐えられないかも知れないが、
    そこに神の意図をくみ取り、連続殺人犯人も許してあげなければならない。

    「ケジメ」とか「倍返し」などとリベンジばかり考える不信仰のボクには納得できないが、
    どうやらこれが映画の結論のようだ。
    そして信仰映画として幕を閉じる。

    毎日曜日欠かさずに家族揃って教会へ通い、
    聖書を絶えず読み引用するアメリカ南部のバイブル・ベルトの人たち向けの内容だが、
    無神論者が殆どの日本人に、この作品がどのように受け入れられるか興味を抱く。

    9月9日より新宿バルト9他で公開される。

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    アメリカでは6月21日から上映が始まった
    シリーズ第5弾は4069館で開け69.1M(76.9億円)と予想以上の低調。週末3日間に限れば5弾目で金属疲労(Rusty)を起こしているのだろうか。

    07年の第1作ですら70.5Mの成績だった。

    今日は夏のシリーズ大作がスタジオ関係者の思惑通りの成績を挙げられない金属疲労(Rusty)を起こしている状態をコメントする。

    ハリウッドではシリーズ疲労(Serial Fatigue)と呼び、真剣に対応策に当たっている。

    キャラが同じでやることなすこと似たようなことを大画面でやられても
    飽きてしまっているのだ。

    夏に登場したシリーズ大作は総てシリーズ疲労(Serial Fatigue)を起している。

    Disneyの「Pirates of the Caribbean: Dead Men Tell No Tales」(パイレーツ・オブ・カリビアン―最後の海賊―)やDisney-Marvelの「Guardians of the Galaxy Vol. 2」(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス)などは軒並み「疲労」している。

    このトランスフォーマー第5弾には217M(242億円)と巨額な制作費を注ぎ込んでいる。

    デビュー週末で制作費の1/3にも達しなければ、北米だけでは赤字になるのは必至だ。
    ところが「救いの神」はアメリカ以外の海外市場。

    23日から週末3日間で196.2M(218億円)をたたき出した。

    例えば中国では初日のみで41Mを挙げ、週末3日で123.4M(137億円)を記録している。

    ハリウッドは中国観客でもっていると言っても過言ではない。

    入場料金が平均1230円とは日本の1250円とほぼ変わらない。
    一昔前は映画初日の夕刻には海賊版が路上で100~200円程度で売られていた。
    映画の著作権なぞ糞くらえで、官憲も手を拱いていた。

    中国政府はハリウッド映画の輸入に対して制限(クォータ)をしていた。
    政治的に自由や民主主義を唱える映画は輸入禁止にしていた。
    民主活動家でノーベル平和賞を受賞した劉暁波などの主張する映画や文学は許さない。

    ハリウッド大作(Tentpole)は一切政治に関係無いノー天気作品。
    だから中国当局は殆どのテントポールに上映許可を与え、
    これがウィンウィンゲームでハリウッドを救っているのだ。

    大作は殆どIMAXや3D、中国人は何も考えずに済む大スペクトルな立体映画を好む。

     政府当局が輸入する映画はヴィデオ撮影が可能な2D作品を外し、立体映画だけ。
    画像が二重になるのでヴィデオで撮っても売り物にならない。

    かくして海賊版が一掃された中国観客はシリーズ大作であろうと何であれお墨付きの立体映画を見に映画館に駆けつける。

    だからデビュー週末のワールドワイド総計はアメリカ国内が不振でも265.3M(295億円)に達した。

    ひとつ日本の映画ファンにとって淋しいのは「日本パッシング」。
    プレミアム上映や監督やスターの記者会見、更に映画のシーンなどを含め「日本抜き=パッシング」なのだ。
     
    中国でロケし香港や上海でレッドカーペットのプレミアム上映は中国では当たり前のことになっている。

    中国資本(ワンダパンダやアリババなど)のアメリカ映画界支配も目に余る。今やアメリカの映画館配給網のみならず、インディペンデントの大手映画制作会社(レジェンダリーなど)は中国の会社だ。
    その後をフォローする。

    2週目でアメリカでは3位に落ちるが、海外市場はFatigueは関係無く、44か国で開け68M、
    累積で327.8M,ワールドワイド総計は429.9Mに達した。
    内中国単独で193.5M(218億円)を挙げているから凄い。

    7月16日現在ではアメリカでは125M、海外市場は392M,
    ワールドワイド総計は517M(584億円)に達している。
    勿論アメリカだけでは赤字になる。


    「(北米がダメでも)私たちのビジネスゴールはワールドワイド総計よ。この映画は世界の観客に向けて制作されているのだから」
    とパラマウントピクチャー(PP)配給社長のミーガン・コリガンが力説する。

    観客の出口調査(CS)ではB+評価。
    Tomatometerは15%と酷く、評論家はまっとうにコメント出来ないと匙を投げている。

    PPとしては「Baywatch」や「Ghost in the Schell」がコケた後だけに、この世界的ヒットは嬉しい。
    マイケル・ベイ作品の最後のLast Chapterと宣伝でうたっていますがスピンオフを含めてこの調子ならシリーズ疲労にも拘わらず後2-3本続けるのではないか。
    これまでシリーズ4本は、北米で1.3B、ワールドワイド総計興行収入が3.5B(3,900億円)を記録するなど、世界中で圧倒的大ヒットを続けるシリーズだが「疲労」にどう対処するか?

    物語は例によって荒唐無稽。

    主人公は前回に引き続きケイド・イェーガー(マーク・ウォールバーグ)。
     地球に秘められたエネルギーを求めて、トランスフォーマーの故郷・サイバトロン星が地球に急接近し、衝突まであと12時間と迫っていた。
    しかも人類の守護神オプティマス・プライムまでもが「創造主」に拘束されて敵側に堕ち、人類は絶体絶命の危機を迎える。

    そんな中、オートボットの新たなリーダー、バンブルビーと人類は戦いの準備を始める。
    謎の英国紳士、エドムント・バートン卿(アンソニー・ホプキンス)は1000年もの遥かな昔から秘かに地球で活動していたトランスフォーマーの秘密を守り続けていた。
    オックスフォード大学の教授ヴィヴィアン(ローラ・ハドック)らとともに、
    地球の運命をかけた戦いに身を投じていくケイドだったが、
    人類が救われる一つのヒントは「アーサー王と円卓の騎士」伝説にあると言う。

    タイトルにもある「最後の騎士」のことだが、どうにも唐突過ぎて納得しかねる。

    共演にレノックス役でジョシュ・デュアメル、ジミーにジェロッド・カーマイケル、イザベラにイザベラ・モナーなどが顔を見せる。
    渡辺謙がドリフトの声を拭き替えている。」

    玩具の売り上げでは人類の救世主で守護神のオプティマス・プライムが最大の敵になり、大人気キャラのバンブルビーがついに主役の座を射止め、マスコットとして新キャラのTF版R2-D2が登場する。そっくりさんだ。

    監督はシリーズ4本総てを演出したマイケル・ベイ。「アルマゲドン」や「パールハーバー」などの大アクション劇も演出したことは大衆の頭から消えている。
    「Mr.トランスフォーマー」のマイケル・ベイだ。

    8月頭から日本で上映が始まるが
    「疲労」を気にするアメリカ観客態度か?
    立体で大スペクトラなら大歓迎の中国観客気分か?
    さて日本の映画ファンはどちらだろうかと興味が湧く。

    8月4日よりTOHOシネマズ新宿他にてIMAX,3D,2Dで全国公開される。

    日劇や丸の内ピカデリーなど銀座、有楽町、日比谷での上映は無い。
    配給元東和ピクチャーの地域対策ポリシーを具体的に聞きたいものだ。

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    昨日(22日)から始まったフレンチ・コメディ。
    PRや広告も見ないのでがら空きだと有楽町駅前のヒューマントラスト有楽町に出かけた。
    3時35分に始まるのに1時間前で既に殆ど満員。
    スクリーン前の席D23で我慢しなければならなかった。

     期待していた以上に面白い。家族を乗せた車が猛スピードで暴走、登場人物の異常な性格、浮気や不倫の縺れ、ぼけ老人の祖父、傍若無人の子どもたち、それに暴走者に巻き込まれる脇役たちも個性豊かだ。
    白バイ警官のカップルや母親に見捨てられた年増の娘、暴走車に愛車BMWのドアを跳ね飛ばされて頭に来る男など、十分に楽しませてくれる。

    特にリュック・ベッソンが主導するフランス映画はカーチェイスを初め車を扱わせたら世界一、それにヤマカシのような軽業も得意だ。

    昨年12月にフランスで公開されこんなに抱腹絶倒の面白さで大ヒットになっていると言うのにアメリカでは公開の予定は全く無い。ヨーロッパ以外では日本のGAGAが買い付けて日本のファンに楽しむ機会を与えてくれた。

    夏休みになり、整形外科医である父トム・コックス(ジョゼ・ガルシア)、臨月を迎えている精神分析医の母ジュリア(カロリーヌ・ヴィニョ)、一風変わった9歳の娘リゾン(ジョゼフィーヌ・キャリーズ)、やんちゃな7歳の息子ノエ(スティラノ・ルカイエ)のコックス一家4人はリゾートへバカンスに出かけようとしていた。

    そこへ呼びもしないのに乗り込んで来る祖父ベン(アンドレ・デュソリエ)。妻を亡くして長く、やたら女性にコナをかけるが片端から振られている。

    一家はややこしいお爺ちゃんを煙たがるが、ファザコンで育ったトムは甘い。
    結局嫌々ながら連れて行くことにするが、直前に「オシッコ!」とアパートに戻る。
    流すトイレにペイパーのロールを大量に落とし、取り繕うために小さなタオルをかけ蓋を閉める。
    トイレが溢れるのは火を見るより明らかだが祖父ベンは意にも介さず車に戻る。

    主人公のトム・コックスは「フレンチ・ラン」「ル・ブレ」などのジョゼ・ガルシア。形成外科医だが金儲けにため美容整形外科医に転じたトム。案の定、手術の失敗で顔がグチャグチャになった女性患者の夫から怒りの電話と破壊された妻の顔写真が送られて来る。
    祖父ベン・コックスも「パリよ、永遠に」「恋するシャンソン」などでお馴染みのベテラン、アンドレ・デュソリエ。

    孫や嫁には弱いが息子トムには絶対的権力を振るう。暇に任せて片端から女性を口説く悪い癖。ドライブ途中のガソリンスタンドで母親に置いてきぼりにされたヌーディスト・ビーチへ向かうメロディー(シャルロット・ガブリ)を後部座席に隠しバレたことから騒動が始まる。

    登場人物は誰も個性豊かな家族たちと脇でドタバタ跳ね回る警官たちや車のドアを壊された若い男。
    小金持ちのトムは購買したばかりのAIコントロールの最新システムを搭載した真っ赤な新車で出発するが、その直後ブレーキが効かなくなってしまう。
    祖父ベンは知ったかぶりの指示。アクセルを踏み直後にブレーキを掛ける、スピードは落ちる筈だ。アクセルを踏んだため一家の車は時速130kmから160kmにアップし高速道路を暴走し始める。

    大体、車に「メデューサ」なんて名前はつけない。
    ギリシャ神話に出て来る怪物の魔女で、宝石のように輝く目を持ち、見たものを石に変える能力を持つ。頭髪は無数の毒蛇で、イノシシの歯、青銅の手、黄金の翼を持っている。ああ気持ちが悪い。

    パニック状態の中、ついつい家族の秘密が次々に露見するのが笑える。
    トムもジュリアも浮気をしていたことがあっさりバレる。

    高速道路パトロール警官2人は愛を交わした直後、暴走車を止めることもできない。一家の車を追走してくる男は愛車BMWのドアをこわされて怒り狂っている。

    ニュース速報でフランス全土が知ることになったが、周囲にトラブルまき散らし突き進む車の向かう先には、大渋滞が待ち受けていた。
    このままでは大惨事は必至。

    果たして一家の運命や如何に?
    このB級コメディはアッと思う解決法を観客に提供しハッピーエンドとなる。
    見てのお楽しみに。

    ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開中

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     アメリカで先週末の21日から上映が始まったクリストファー・ノーラン監督の「Dunkirk」は3720館で公開され50.5M(56億円)と関係者の予想(40Mを超える程度か)以上の成績を収めた。

    海外も46か国で開け、55.4M、ノーラン監督の祖国UKで12.4M、韓国の10.3Mが目立つ。
    (韓国はスパイダーマンでも25.8M)グローバル総計は105.9M(117億円)になる、

    制作費の100M(111億円)や莫大な広告やPRなどマーケティング費用の回収があるので
    興行成績は内外で脚長く頑張らなければならない。
    これだけのストーリーをランニングタイム、僅か107分はノーラン作品としては最短映画だ。

    興行成績を後押ししているのは好評なマスコミでの映画評論家や、観客の評判で、出口調査CSではA−評価(25歳以下ではA 評価)、 Rotten Tomatoesは91%と観客に受けている。観客層は男性が60%、25歳以上が76%を占める。.

    第2次世界大戦でフランス北部の港町に追い詰められた40万人の英仏連合軍のうち33. 3 万人を超える(主としてイギリス軍)兵士の救出作戦を題材にした作品。
    (チャーチルは「撤収は勝利とは呼べないが、この状況下でこれだけの兵士を救出したことは我が英国軍の勝利だ」と言っている)

    ポーランドを侵攻し、そこから北フランスまで勢力を広げたドイツ軍は、戦車や航空機といった機械化新兵器を用いて電撃的な戦いで英仏連合軍をフランス北部のダンケルクへと追い詰めていく。海峡を隔て母国ドーバーの白い崖は目の前に見えるが34キロは近くて遠い。

    1950年5月26日、イギリス首相のチャーチルは、軍艦はもとより、民間の船舶も総動員した「ダイナモ作戦」を発動する。80万人のドイツ軍によってフランス北端に追い詰められた英仏軍兵士たち40万人の運命と、救出に挑んだ者たちの活躍を描く。

    ジョン・ウェインの「史上最大の作戦」(62)にしてもスピルバーグ監督「プライベイトライアン」(98)にしても、「戦争映画」は大同小異。そこで行われた激戦は歴史上事実だからd。
    ところが「ダークナイト」三部作や「インセプション」などの巨匠、クリストファー・ノーラン監督の撮る戦争映画は「普通の戦争映画」では無い。

    ドイツ軍兵士はヘルメットもハーケンクロイツも含めて全く画面に姿を見せず「敵」とか「悪人」と言う感じを観客に与えない。
    だが見えないドイツ軍との陸海空での大激戦を追う。

    冒頭、イギリス陸軍一個小隊がダンケルク市内でドイツ軍に襲撃される。逃げ惑うギリス兵士は次々と倒れただ一人、味方の塹壕に飛び込んで助かるのはイギリス軍二等兵トミー(フィオン・ホワイトヘッド=新人)で彼の目を通して、陸上の激戦を海岸や埠頭などの戦闘を描く。

    空は制空権を握るドイツのメッサ―シュミットと対峙する少数精鋭の英空軍スピット・ファイアのパイロット(トム・ハーディ)の目だけのクローズアップで追う。戦闘機同士のドッグファイトは迫力満点だ。

    そして海、遠浅のダンケルク沖は大型戦艦は乗り入れられずイギリスから動員された
    民間の遊覧船・ドーソン船長(マーク・ライランス)は10代の息子ピーター(トム・ギリアン・カーニー)と一緒に兵士を運ぶ。
    どんなに船に兵士が溢れていても溺れているパイロットなどを救出する勇気に感激する。

    ドーバーの白い崖が近づいて来た時の兵士たちの歓声はドーソン船長とピーターへの報酬だ。

    ダンケルク埠頭で殆どの兵士を送り出した英海軍ボルトン司令官(ケネス・ブラナー)は
    副官のウィナント大佐(ジェイムス・ダーシー)から
    「そろそろ我々も乗船しましょう」と誘われる。
    「いや未だフランス軍を助け出すまで留まる」と、美しい軍人魂ではないか。

    「ダークナイト」「インターステラー」のクリストファー・ノーラン監督が、初めて実話をもとにノーランのコンセプトで脚本を書いている。

    9日間続いた史上最大の救出劇「ダイナモ作戦」の一部にハイライトを当て陸海空での激戦を代表させる手法。

    主人公は居ない。夫々の闘いでの主役は英空軍パイロットとして「マッドマックス 怒りのデス・ロード」などのトム・ハーディ、

    陸で活躍するトミ―二等兵と海岸出合い行動を共にする「プルートで朝食を」などのキリアン・マーフィ、
    英海軍司令官を「ヘンリー五世」などのケネス・ブラナーらが出演。

    カメラが素晴らしい。
    IMAX65ミリとラージ・フォーマット65ミリ・フィルムと呼ばれる手法を組み合わせて、
    陸海空3つの戦場で動き回るターゲットを確実に抑える。
    圧倒的なスケールでクローズアップされる戦闘シーンなどは見事だ。

    尾羽打ち枯らしボロボロの負傷兵が列車で送られて来た。迎えに出た駅頭の友人が声をかける。
    「良くやった!」
    「俺たちがやったことは生き残ることだけだった」
    「それで充分だったんだよ」

    こんなセンチメンタルで無い、実情報告のリアリティの会話が心に突き刺さる。
    相手を打ち負かす「戦い」ではなく、生き残りをかけた「撤退」の映画をノーラン監督は贈ってくれた。

    9月9日より新宿ピカデリー他で公開される

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    最初のエイリアンを見た時の衝撃は忘れられない。
    1979年5月末のNYタイムススクウエアに面した地下の小さな映画館だった。

    未だ見てないと思ったメル・ギブソンの映画だとあるから飛び込んだ。
    そしたら既に日本で公開済みの「マッドマックス」ではないか。

    窓口へ行って他の映画にしてくれと言ったら、
    無名の監督リドリー・スコットの如何にもB級映画「エイリアン」に代えてくれた。
    主演の女優、シガニ―・ウィーバー(当時29歳)も新人で馴染みがない。

    予備知識が無いところへ飛んでもない怖い映画を見させられることになる。
    大型宇宙船の薄暗い閉鎖空間の中で、宇宙飛行士の腹を喰い破って飛び出すネバネバした怪物、顔に張り付いたら引き剝がせない亀の甲のような幼虫、
    いつの間にか宇宙船に入り込んだ「異星人(エイリアン)」に
    乗組員たちが次々と襲われる。

    シガニ―とエイリアンが数センチの間近で対峙する恐怖は悲鳴をあげそうになる。
    宇宙ものSFホラーの新しいジャンルがR・スコットが開発したのだ。

    見終わって地上に出て来たら若者(僕もそのころは若者っだが)
    「怖かっただろう」と話しかけてくる。

    映画は未だ口コミも伝わらずガラガラの上映開始の翌日の土曜だった。
    恐怖感を分かち合い意見を交換したかったのだろう。僕らは路上で20分ほど話し合ったが
    エイリアンが誕生する瞬間とモンスターとウィーバーとの数センチの対決に興味が集中する。

    NY中、いや世界中を震駭させたこの新機軸の宇宙ホラー映画はスコットとウィーバーの出世作になった。
    この映画のお陰で地球外生物=エイリアンは悪の権化となるが、数年後S・スピルバーグが地球外生物をエイリアンと呼ばず、「ET」として人間との間に友情を育てイメージは多少改良される。

    1979年制作のオリジナル「エイリアン」の流れを続ける、エイリアンシリーズも6作目を数える。
    (2本の「Alien vs Predator」は勘定に入れない)

    「シリーズ疲労」を考えすぎで色んな物を付け足したり、回り道をしたりしている。
    例えば前作「プロメテウス」(12)はエイリアンの前日譚。

     考古学者のエリザベス·ショウとチャーリー·ホロウェイは新たに古代遺跡を発見した。その壁画の構図はそれまで複数の古代文明で見つかった物と明らかに共通点が見られる。ここから人類が追い続けていた種の起源の答えとなる未知の惑星の存在が浮かび上がる。

    ウェイランド・コーポレーション選抜の科学者たちを中心に編成された調査チームは、
    宇宙船プロメテウス号に乗り込み星図の示す別の太陽系を目指して出発する。

    こうなると横道にそれすぎて我々の「エイリアン」で無くなる。

    リドリー・スコットは聡いし慧眼だ。
    どこが間違っていたかがすぐわかる。

    忽ち横道、回り道を止めて正道に戻そうとしたのがこの新作だ。
    オリジナル作品で味わった恐怖が再び襲って来る。

    もっとも40年前の第一作など若い観客は知らない。
    最初から人間の腹を喰い破って襲って来るエイリアンの恐ろしさを味わえる。

    5月19日にアメリカで公開が始まったこの作品、
    映画興行成績のチャート首位に踊り出た。
    全米3761館で公開され36M(40億円)をあげ0.7Mの僅差をつけて前週首位の「GUARDIANS OF~」の35.3Mを抜いてトップになった。

    制作費は100M(111億円)になるが、先行している海外77カ国で累積81.3Mを稼ぎ、
    ワールドワイド総計は既に117.8M(132億円)に届いているので赤字にはならない。

    FOX国内配給社長のクリス・アーロンは前作「プロメテウス」に比べてBOが劣るのは「通常のビジネスの成り行きだ」と言う。

    この「Alien: Covenant」は79年からのシリーズ・ファン層と若い世代がシェアできる機会を与えていると。
    60%の観客は18-34才の年齢層だ。ロットン・トマトのフレッシュネスは73%と悪く無い。

    時系列的には「エイリアン」の前日譚を描いた2012年の「プロメテウス」の続編。

    銀河系のはるか彼方の惑星「オリガエ6」を人類居住地とすべくコールド・スリープの男女2000人の移民を乗せて出航したコロニー船「コヴナント」号は、強烈な衝撃音を受けて船長を始め数十人が命を失い、謎の惑星に不時着する。

    そこは、かつてプロメテウス号で発生した事故の生存者が発信したと思われる惑星だった。
    夫の船長を亡くしたばかりのダニエルズ飛行士(キャサリン・ウォーターストン)と
    アンドロイドのウォルター(マイケル・ファスビンダー)が降りたつ。
    空気も水もありオリガエ6」よりも人類が移住するには適切だと思われる。
    しかし好事魔多し。その惑星には忌み嫌うエイリアンが住み着いていたのだ。

    卵や幼虫のエイリアンはいつの間にかコヴナント号に入り込んで乗組員たちを餌食にしようとしていた。
    オリジナル「エイリアン」の恐怖を再体験することになる。

    出演はキャサリン・ウォターストン、ノオミ・ラパス、マイケル・ファスビンダーなど。

    新たな主人公となる女性ダニエルズを、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」で
    注目されたキャサリン・ウォーターストンが演じる。

    「プロメテウス」でアンドロイドのデヴィッド役を演じたマイケル・ファスベンダーが続投。
    もう一人のアンドロイド、ウォルター役とダブルキャスト。
    性格は違うがファスビンダーが二役なので容貌はそっくり。
    ウォルターを信頼している観客は見事に騙される。
    「X-Men」シリーズ常連のファスベンダーは「エイリアン」の顔になった。

    尚「コヴェナント」(covenant)とは「契約」の意味。
    コヴェナントはユダヤ人と神との契約を意味し、旧約聖書「出エジプト記」で神がイスラエルの民に与えることを約束した乳と蜜の流れる「約束の地」(promised land)を謳ったもので「オリガエ6」のことを意味する。
    今はイスラエルが占拠しているヨルダン川西岸の地域だ。

    結論から言うと原点帰りの「エイリアン6」は40年前の驚愕のショックを思い出し充分堪能した。

    9月15日よりTOHOシネマズ日劇他で公開される

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    昨日(25日)のハリウッド業界紙「ハリウッド・レポーター」に興味深い記事が出ている。
    中国で「不動産王」の王健林は総資産は2200億元(約4兆円)で世界のトップ10に入る大富豪。

    大連万達(ワンダ)グループの総帥でここ10年はアメリカのエンターテインメント業界に進出してきた。

    先ず全米最大の映画館チェーンAMC Entertainment Inc.を買収。AMCは6か国に358館、5,128スクリーンを持つ。

    引き続き大連万達集団は米ハリウッドの大手制作会社「レジェンダリー・エンターテインメント」を35億ドル(約4000億円)で買収した。

    インディペンデントの「レジェンダリー」が手掛けた最近のヒット作には
    「ジュラシック・ワールド」や「インターステラー」、「バットマン」シリーズ
    「エイリアン」シリーズ、
    それに反日映画「アンブロークン」などがある。
    ソフトバンクの孫正義はこの制作会社に270億円投資をしている。。

    そして念願のハリウッドのメジャーのスタジオ買収の夢、特に経営が破綻している
    「パラマウント映画」に狙いをつけていた。

    ところが最近になり中国政府が海外投資を控えるようにと規制命令が入った。
    軍人上がりの王は上からの命令に従順で、$1B(1113億円)で買収契約寸前のTVのディック・クラーク・プロダクションを諦めてしまった。

    メジャースタジオ買収の計画も廃止になり王健林のハリウッド制覇の夢は大きく後退する。

    買収計画中止で問題は広がる。
    資金は殆ど世界の銀行からのローンで賄われていたが
    計画中止で入って来るものが無くなると負債が大きく浮かび上がる。

    大連万達は子会社の中国全土に持つ13のテーマパークを6.5Bで
    77のワンダホテルを3Bで売却しローン返済に充てる予定と言う。

    全体主義国家の枠組み中で資本主義企業自由闊達に活動する困難さを目の当たりに見る。


    「追想」と言えばイングリッド・バーグマンとユル・ブリナーの
    ロマノフ王朝の最後の皇女・アナスタシアを主人公にした作品しかないのだが、
    邦題とは言え全く同名のフランス映画があるとは知らなかった。

    原題は「Anastasia」で1956年の作品、更にこの「追想」より20年前、つまり半世紀を超す60年前の映画だ。パット・ブーンの歌う主題曲も大ヒットした。

    こちらの原題は英語で言えば「The Old Gun」。
    映画を見ていれば天井裏に隠した昔のショットガンを取り出すので分かる。

    1944年、ナチスドイツ占領下のフランスの小都市、モントバン。
    町の病院で働く外科医のジュリアン(フィリップ・ノワレ)は、家族の身を案じて、妻のクララ(ロミー・シュナイダー)と娘のフロランス(カトリーヌ・デラポルト)を自分の郷里の村に所有する古城へ疎開させることを決意。
    ところが5日経っても電話が無いので、彼らを訪ねて郷里に戻ったジュリアンは、村人たち10数人がみなナチスたちに惨殺されていた。

    フロランスは銃で撃たれクララは火炎放射器で黒焦げになっていた。
    愛する妻子の変わり果てた姿に怒りに燃えたジュリアンは、復讐に立ち上がる。

    ハリウッドなら得意のランボーかダイハード・スタイルの「ワンマンズ・アーミー」と言うパターンだ。
    天井裏に隠してあるショットガンを取り出す。
    長い間使っていないので大丈夫かなと気になるが、
    ジュリアンが部品を磨き丹念に組み立てると屈強の武器になりそうだ。

    但し散弾銃は二発だけ、ポンプ式の連発ではない。
    ナチの軽機関銃にはとても太刀打ちできそうもない。

    ここからがジュリアンの「ホームグラウンドの利」を活かす。
    幼い頃から育った古城の地下トンネルの抜け道や壁の窪み、狙撃場所のポイントなど、
    「ホームアローン」式の待ち受けの迎撃で、井戸の底から水汲みに来た兵士を射殺することから始める。

    ナチ親衛隊は装甲車で逃げようと城の門を出た橋に差し掛かったところでジュリアンが細工をしてある渡り橋は崩落する。城は崖の上に建っているので落ちた装甲車は岩に叩き付けられ炎上する。

    「それ、ゲリラの襲撃だ!」と門を閉じ城に籠って迎撃態勢に入る10数人のナチ。
    武装親衛隊長(ヨアヒム・ハンセン)の命令一下、
    副官の中尉(ロベルト・ホフマン)も兵士に窓の外の監視を強化する。
    ところがジュリアンは城の中。隙きを見ては一人一人狙撃して行く。

    筋立てを書いてしまえば上述のままだが、邦題の示す通り
    ジュリアンは戦いの合間に絶えず昔を思い出している。

    クララとの出会いと結婚、娘フランソワの成長、頑固な
    ジュリアンの母親(マドレーヌ・オズレー)、
    親友の同僚の医師フランソワ(ジャン・ブイーズ)と妻クララとの親しさ。

    いい加減に戦いに集中しろよ!と言いたいほどに戦闘シーン度々中断され
    回顧シーンが入り、ゆっくりと進行する。

    名匠と言われるロベール・アンリコが監督し本国フランスでは大ヒット、
    その翌年のセザール賞では9部門ものノミネートを受け、
    作品賞・主演男優賞・音楽賞の3部門を受賞した。

    ヨーロッパのフランスやイタリアなどのペースに合っているが、
    せっかちなアメリカ人観客には無理だ。
    だから一般公開はされずに、DVDでの発売のみだ。

    主人公のジュリアン医師を演じるフィリップ・ノワレはこの時46歳。シェイクスピアの舞台で鍛えた舞台俳優で演技はしっかりしている。
    「最後の晩餐」(73)「ニューシネマ・パラダイス」(88)などの映画にも出演している。

    息を呑むほど美しいのはクララ役のドイツ美人、ロミー・シュナイダー。碧眼、金髪、色白、ゲルマン人の典型だ。この時38歳、それから5年後に死去。ジャック・ドーシーと共演した「太陽が知っている」やジョセフ・ロージーの「暗殺者のメロディ」などが印象的で記憶に残っている。

    9月9日より新宿シネマカリテで公開される。

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    宇宙人の地球侵略などとハリウッドの手垢のついたテーマなど全く興味が無かったが、原作の劇作家・演出家の前川知大が結成した劇団イキウメの舞台をコメディタッチで映画化した黒沢清監督の作品はとても面白かった。

    昨年のカンヌ映画祭の「ある視点」部門で上映された。黒沢清は主演の長澤まさみと松田龍平を連れて注文して敷いた派手なレッドカーペット・ウォークをして見せた。

    「ある視点」部門はマイナーリーグ、河瀬直美の「光」が上映されるコンペティションがメジャーリーグだ。
    そんなことも意に介さず正装の礼服で派手なショウアップをして見せる黒沢の邪気の無さを気に入っている。マイナーリーグでも箸にも棒にも掛からなかったがそれでもメジャーリーガーの「光」より遥に好きだ。

    数日間失踪したのちに様変わりした夫が妻のもとへ戻ったのを機に、平穏だった町が変化するさまを描く。

    日本海に面する小さな漁港の町が舞台。

    映画の冒頭女子高生が自動車の往来の激しい道の真ん中を歩いている。乗用車はスレスレ通り過ぎるが、大きなトラックは除け損ないブレイキを掛けるが横転しドラム缶がゴロゴロ路上に散乱する。
    タイトル前、ビックリするようなアクシデントだ。

    週刊誌記者、桜井(長谷川博己)はデスクと電話で押し問答。その小さな町で老婆一家が殺され、現場にいた筈の女子高生、立花アキラ(恒松祐理)の行方を捜せと言う。

    一旦は断りレンタルのTV中継車へ戻ると少年が興味深そうにくっ付いて来る。少年の名は天野ミツオ(高杉真宙)で自分は宇宙人で地球は慣れないのでガイドになってくれと言う。

    ジャーナリストとして興味を持った桜井は天野の頼みを聞き入れる。天野は、自分は「宇宙人」で地球を滅ぼしに来たのだが、少し地球の人間が何を考えているかを探りたいと言う。

    夏祭りの晩に行方の知れなくなった夫・真治(松田龍平)が、三日経って帰ってきた。加瀬鳴海(長澤まさみ)は夫が、数日間行方をくらまし、別人のようになって帰って来たのを責める。出張と言って女と一緒だったに違いないと追及するが真治は自分が誰でこの女は誰だ?と言う表情。

    これまでの態度が一変した夫に疑念を抱く鳴海は、突然真治から「地球を侵略しに来た」と告白され戸惑う。

    曖昧になった過去の記憶を精神科医から脳の障害と診断された彼は、会社を休み、散歩を日課とするリハビリの日々を送るようになるが、なぜか以前とは別人のように優しくなっていた。
    介護にあたる妻の鳴海は、そんな夫を心穏やかな気持ちで見守りはじめる。

     失踪以来、まるで幼子に帰ったようにさまざまな言葉に好奇心を抱くシンジは、道で行きかう人ごとに、奇妙な頼みごとをしていた。

    例えば引き籠りの丸尾(満島真之介)の家に入ろうとするとここは「自分の家」だから「他人のあなた」は入ってはいけない。ここで自分と他人の概念を学ぶ。

    妻、鳴海はイラストの仕事を出版社の鈴木社長(光石研)から貰っているがセクハラも受けている。出版社に乗り込んだ真治は鈴木に「仕事」の概念を聞く。

    こうして宇宙人たちはガイドを供に連れ、人間たちの「概念」を集めている。指で触ると「概念」は吸い取られる。取られた人間はヘナヘナとその場に崩れるが人間自身も概念に捉われなくなっている。
    ひとつひとつ言葉を挙げては、相手にそれをイメージさせ「概念」を集めることを繰り返していたが、ある日両親と喧嘩をして家出をしてきた義理の妹、明日美(前田敦子)にも同じことを乞う。
    気楽に応じ、その言葉「血縁」の意味するところ(概念)を心に浮かべた彼女だったが、真治が「それを貰うよ」と呟くや、たちまち激しい動揺に襲われてしまう。

    それ以降、親しかった姉の鳴海に対して、明日美はなぜか冷たい態度をとりはじめ東京に戻ってしまう。

    真治が帰ってきたのとほぼ時を同じくして、立花アキラが病院で昏睡状態から目を醒ました。老婆が引き起こした猟奇的な一家無理心中事件で、たったひとり地みどろで倒れていたの生き残りだった。

    アキラは訪ねてきた謎の少年、天野ミツオの手引きで病院を抜け出し、やがてふたりは町を徘徊する真治と合流する。

    彼ら3人は、地球を征服するために遠い星からやってきた宇宙人。真治、アキラ、ミツオの3人は、彼らに肉体を乗っ取られていたのだった。
    「侵略者」とはエイリアン、「宇宙人」のことだ。
    この映画は地球外生命体による地球侵略の物語。

    古くはH・G・ウェルズの「宇宙戦争やTVディレクター、矢追純一、最近ではホーキンス博士など、宇宙人侵略の話は数えきれないが、黒沢の映画の宇宙人は暖かくフレンドリーだ。

    天野と桜井は友情の絆で結ばれているし、真治は鳴海を愛している。
    ただ一人、典型的な戦闘的で人間をバンバン殺すのはJKのアキラだけだ。

    しかしアキラは鳴海の運転する車に跳ねられてあっさり死ぬし、天野は厚労省の秘密捜査官、品川(笹野高史)や串田刑事(児島一哉)との銃撃戦で重傷を負い死ぬ。
    宇宙人は不死身じゃないのだ。

    宇宙人ながら人間的要素を多分に残している真治の存在が大惨事を防ぐ。真治がずーっと追及しているのが「愛」と言う概念。教会へ行って牧師(東出昌大)の説教を聞くが却って分からなくなる。

    結局「愛」を教えてくれたのは、妻の鳴海だった。「愛」を知った真治は仲間たちを説得し宇宙侵略をやめさせるのだが、これは最初から想定内の事柄だった。

    黒沢清監督作品で僕が好きなのはベルリン映画祭で好評だった「岸辺の旅」(14)。
    夫(浅野忠信)が幽霊になって戻って来るのはこの映画と一脈通じるところがある。
    ラストシーンで愛する妻(深津絵里)と別れるシーンがあるがその海岸が、この映画で妻と別れることになる入江にそっくりだ。
    ますます「岸辺の旅」の続編の感を強くした。

    9月9日より丸の内ピカデリー他で公開される。