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年間500本を越える映画を見る映画狂・恵介。TVやDVDで見る映画は映画ではない。映画はアメリカや東南アジアや日本でも劇場で試写室で見る映画のみに限られ、その感想やコメントを毎日書き込みます。今まで休んだのは上海に滞在した2012年の4日間だけ。サイバーコップが日本中国間のブログ・アクセスを切断したからです。それ以外は皆勤、アクセスは52万回を数える。
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    原題Kediとはトルコ語で「猫」のこと
    猫好きのトルコ出身の女性監督ジェイダ・トルンがイスタンブールで7匹の外猫を追いかけてカメラを廻す。地上スレスレの猫の視点でイスタンブールの雑踏を縫って行く描写が楽しい。屋根に上って狭い路地を見下ろすシーンもあるが、大部分は上から目線ではダメ、地上10センチの高さを這って初めて猫の世界が理解できる。

    映画の質を論じなければ、猫好きには堪らない1時間半を楽しみ堪能できる。
    ヨーロッパとアジアの文化の交流地点であり、数千年ものあいだ世界有数の大都市として繁栄を誇ってきたトルコの古都、イスタンブール。
    この街に住む外猫(野良猫)たちは、人々から食料や寝床を与えられながら、ある人にとっては生き甲斐として、ある人にとっては生涯の相棒として、周囲に生きる希望と癒しを与えながら自由気ままに生活している。

    アメリカや日本なら役所のお犬狩りや猫狩りに捕らえられ殺されるところだが、員スタンブールの猫は自由気ままに雑踏を闊歩する。
    ドブネズミを捕まえて来てはレストランの主人に見せびらかして可愛がられて猫はハッピーだ。ケーキ屋を覗く猫は内気で店に入って行けない。
    この映画に登場する主役は7匹の個性的な猫たち。
    生まれたばかりの子猫たちにエサをあげるため、市場の食べ物を狙う虎猫「サリ」、目の見えない仔猫が必死で食べ物を追う。
    なでられるのが大好きなメス猫「ベンギュ」、
    レストラン近くでネズミ退治を仕事にしている「アスラン」、
    喧嘩が強く、旦那を尻にしいているくせに嫉妬深い「サイコパス」、
    下町の市場で働く商売人や客と触れ合う看板猫の「デニス」、
    遊び人風で周囲の大人たちの心を虜にする「ガムシズ」、
    高級なデリカテッセンにいつも美味しいエサをもらっている礼儀正しい「デュマン」。
    生まれも育ちも全く違う彼ら彼女らを主人公に、自由奔放に暮らせるイスタンブールの幸せな猫たちに迫る。



    監督を務めたのはイスタンブール出身の女性監督ジェイダ・トルン。幼少期から街の猫に親しんでおり。同作の撮影ではカメラの位置を地面近くに設定し、猫の目から見た街の様子を、猫にしか見ることのできない街並みを見せながら、不思議な旅へ案内してくれる優しい映画だ。

    僕みたいな老人は映画の中でも誰かが言っているが、え猫は「人生を再点火して元気つけてくれる」

    11月よりシネスィッチ銀座にて上映される

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     スティーブン・キング原作、New Lineの「It」(邦題「IT/イット:“それ”が見えたら終わり」WB配給:11月3日より丸の内ピカデリー他全国公開される)が4130館で予想を遥に超えた117.2M(127億円)で首位。

    内IMaxは377館で上映され7.2M。海外市場は46か国で開け62M。ワールドワイド総計は179.2M(194億円)。
    低迷で終わった夏映画は昨年のサマーシーズンBOにくらべ14.6%のダウンの3.8B(4115億円)と言う悲惨な成績でした。

    「この『It』はハリウッド『救いの神』となり、前年とくらべ年初頭からの総BOが6.5%下がっていたのを上方修正の5.5%ダウンまで持って来た」とポール・ダーガラベディアン・ComScoreのシニアメデア・アナリストは語る。

    今年になって3位となる週末BOデビュー記録で、上は「Beauty and B~と「Guardians of the Gala~2」の2作品のみ。
    制作費は35M(38億円)。ホラー映画は他のCGIを多用する作品に比べ制作費は安くつき、このようにヒットすれば粗利益は莫大なものになる。


    日本人が悪者になる中国や韓国映画は多い。
    配給会社も酷いものは輸入しないようだが、このような大作になると在日の人々は勿論、日本人でも見てみようかという人も現れる。

    ましてやクライム・サスペンスの最高峰、「悪魔を見た」(11)のイ・ビョンホンとキム・ジウン監督が再びコンビをくむのだから。

    韓国映画が好きな僕は真っ先に駆けつける。
    (イ・ビョンホンが端役でがっかりしたが)

    日本帝国支配の1909年から終戦の45年までの36年間は朝鮮の人々にとって屈辱と忍耐の時代だった。
    しかし日本は国家予算の多くを割いて道路、鉄道を整備し、文盲が殆どの人たちに教育制度を確立し、ダムを造り電力を全国に供給し、国家として体を成していなかった朝鮮のインフラを作ってあげた
    それが今では全く感謝されるどころか「日帝36年の屈辱」としてとらえられていないのが淋しい。

    今でも苦い思い出は現役の営業局長時代にサムソンのショウルームのデザインを依頼され完成式に招かれリー会長と流暢な日本語で会話を楽しんだことだ。
    その後がいけない。通訳やガイドをしてくれたサムソンの若い社員を飲みに連れて行った時だ。かなりジンロが廻ったところで一人が「日帝36年を貴方はどう反省されてますか?」と聞く。

    日本政府が如何にインフラに巨額の国家予算を費やしたか、彼らは知らないし、知っていても気にもとめない。むしろどれだけ朝鮮総督府が圧制をしいたかの話ばかり。

    戦争を知らない若者と戦中派の僕とでは意見は最初からすれ違い。全部僕がご馳走してあんな不味い飲食は無かった

    そう言う韓国人向けに大ヒットした映画だと日本人として見る前に構えてしまう。

    大日本帝国への反乱は幾つかある。三・一運動は、1919年3月1日に日本からの朝鮮独立運動。独立万歳運動や万歳事件とも呼ばれるが、その三・一運動の非武装路線を批判し、同運動の失敗後は国外での武装闘争を模索していた金元鳳ら13名によって吉林省にて結成されたのがこの映画で描かれる「義烈団」だ。
    正義と猛烈を朝鮮独立精神の基軸に置き、「日本帝国主義の心臓部に弾丸を撃ち込む」必殺主義を掲げた。

    義烈団は日本の朝鮮半島における植民地組織とその要人への直接攻撃を実施し、1920年に釜山警察署などの警察機関を爆破、翌年には朝鮮総督府爆破を実行し、更に1922年には、呉成崙を中心とする3名が、上海へ立ち寄った田中義一陸軍大将狙撃事件をひきおこした(未遂)。
    1923年には申采浩によって「朝鮮革命宣言」が出され、武装闘争による日本支配の破壊と朝鮮民族の覚醒と決起を促す。

    この映画は1920年代末、日本が韓国に立てた主な施設を破壊しようと、ハンガリーから上海を経由して京城(ソウル) に爆弾を持ち込もうとする義烈団と、彼らを追う日本警察との暗闘と懐柔、かく乱作戦を描いている。

    冒頭のシーンから引き込まれる。
    レジスタンの闘士、パク・ヒスン(キム・ジャンオク)が日本警察の一個中隊に包囲され民家に逃げ込む。朝鮮人でありながら日本警察の、イ・ジョンチュル警部(ソン・ガンホ)は部下に殺すな、生け捕りにせよ!と命令する。
    イとパクは旧友でパクを逃がしてやりたい。

    ここで僕は安心する。これは単純な反日映画では無い。主役のソン・ガンホは二重スパイで無く、純真に日本警察に忠実だ。

    朝鮮総督府警察局東部長(鶴見辰吾)の命をうけ過激な武装独立運動団体・義烈団を監視しろとの特命を受け、イ警部は義烈団のリーダー、キム・ウジン(コン・ユ)に接近する。

    キムは古美術商に扮し壺を紹介したり、写真屋でポートレートを撮ったり、果ては陶器を焼く窯まで見せてくれる。イ・ジョンチルはキムをしっかりと監視する。

    この辺りで団長のチョン・チェンサンが出てたっぷりイ・ビョンホンのご尊顔を拝めるかと思ったが、本当にチョイ役でがっかりする。

    この存在感の無さからか義烈団・団長は戦後まで生き残る。

    スパイ合戦は狐と狸の化かし合い。
    出処不明の情報が双方間で飛び交い、誰が密偵なのか二重スパイか分からない中、義烈団は日本統治下の主要施設を破壊する爆弾を京城に持ち込む計画を着実に進めていた。
    そんな中、日本警察は義烈団を追って上海へ。そこでハンガリーから持ち込んだダイナマイトを受け取ることになっている。

    クラシックなスパイ映画は爆弾を積んだ列車が登場するのは常識。
    シュッポシュッポと蒸気機関車は国境を越えて京城へ向かう。

    主演は韓国を代表する実力派俳優ソン・ガンホ。日本警察イ・ジョンチュル警部に扮し、
    「サスペクト 哀しき容疑者」のコン・ユが義烈団リーダーであるキム・ウジンとして対立し火花を散らす。

    東警視の鶴見辰吾も50代で若い頃の軽さが無くなりいい味を出している。
    ソン・ガンホや部下の橋本になるオム・テグの日本語も流暢で及第点。
    変な日本語を喋られるとその時点で映画はシラケる。

    美術の時代考証も完璧だ。朝鮮総督府警察署内部、T-フォード、人力車、大日本帝国警察の制服などなど文句の付けようがない。

    背後に流れる音楽が秀逸。途中のアクションくを盛り立てる場面はパーカッションで刻み、少し余裕が出てルイ・アームストロングの「When You Are Smiling」で和ませ、終盤のクライマックスへのアクセスに「ボレロ」で伴走する。
    巧みな音楽の使い分けに舌を巻く。

    スタイリッシュでクラシカルなスパイアクションはたっぷり観客を魅了する。
    「クワイエット・ファミリー」「反則王」「箪笥」「甘い人生」「グッド・バッド・ウィアード」「悪魔を見た」「ラストスタンド」とどれを取っても名作を送り出しているキム・ジウン監督は僕の採点では韓国ナンバー1の映画作家だ。

    11月11日よりシネマート新宿にて公開される。

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    日本の映画興行を見ると、9日(土)スタートの「ダンケルク」が、動員22万人、興収3億2千4百万円をあげ、初 登場1位を飾った。
    2位は邦画の「三度目の殺人」も、土日2日間で動員18万人、興収2億3千3百万円。
    アメリカと違って日本映画興行成績は順調のようだ。


    日本古式の武術は礼儀正しいし、正しく無ければその時点で負け。
    柔道にしろ剣道にしろ弓道にしろ一礼してから始まる。

    小学館「ベツコミ」で連載され、コミック累計100万部を突破した「色気の魔術師」の異名を持つ、加賀やっこによる同名人気コミックの映画化。

    しかし主演の2人は見たことが無い。
    ヒロインの弓道部部長の岸本杏に扮するのは人気モデルの池田エライザ、
    「動物戦隊ジュウオウジャー」シリーズなどの声の出演をしていた中尾暢樹が先輩女子に恋する下級生部員の三神曜太を演じる。
    要するに主演二人は映画初出演と言うことだ。道理で馴染みが無い。。

    「色気の魔術師」だけに加賀やっこの高校生ラブ・ストーリーのセリフには「触れなば落ちむ」とするセックスを思わせる際どい言葉が羅列される。そのくせキスが最大の表現で身体に触れるがセックスまでには及ばない、寸止めを楽しめる。

    岸本杏が3年で2年の三神曜太の「先輩」であると言う制限付きのシチュエーションが、三神は年上の女性を尊敬しつつ征服しようとする、岸本は下級生を支配しようとするがメロメロになって屈服する、と言う

    そんな男女夫々の心理的な葛藤が良いんだな。

    中学生のときから6年間弓道に打ち込んできた高校3年生の岸本杏(池田エライザ)は、
    弓道部の部長として夏の大会に挑んだが、団体戦も個人も不本意な結果に終わってしまう。
    一方、ろくに練習もせずに入部当初から才能を発揮してきた後輩の三神曜太(中尾暢樹)が個人優勝を飾る。

    3年生の杏は大学受験を控え、この夏の大会を最後に引退を決意して三神に部長を引き継ごうとすると、
    三神は「引退は秋の大会まで延ばしもう一度弓を引いて欲しい」と懇願される。
    そして杏への一途な思いを募らせていたことを告白する。

    「入部してから俺は先輩の事、ずっと見てましたよ」
    杏の背中を見つめ続けていた三神の一途な愛がさく裂する。

    三神の不器用ながら一途な杏への想いと、ひたすらに、三神の想いに応えようとする杏。
    二人は両想いなのに、すれ違ってしまう関係はモタモタしている間に、
    同じ剣道部のイケメンたちの杏への恋慕で、ゴタゴタが起こる。

    映画初出演の2人の主演の脇を固めるのは
    三神曜太の親友で余命幾ばくもない、由木直潔役には「超特急」のタカシとして活躍中の松尾太陽。
    杏と曜太を取りく弓道部のイイ男たちに「特命戦隊ゴーバスターズ」などの鈴木勝大。
    2.5次元舞台を中心に活躍中の前山剛久、
    ダンス&ヴォーカルグループ「lol(エルオーエル)」の佐藤友祐、
    ハイパープロジェクション演劇の結木滉星ら、イケメンスターが総出演。

     監督は早稲田大学文学部を出て美学校で学んだ古澤健、45歳。1998年「home sweet movie」で PFFアワード脚本賞とぴあフィルムフェスティバル脚本賞を授与されデビュした。
    監督作品は「クローバー」「今日、恋をはじめます」「ReLIFE リライフ」など。
    素人の主演男女2人を見られる程に仕上げた演出は褒めて良い。

    850年の伝統を持つ小河原流弓道の指導を受けながら躍動的な静謐な中にダイナミックな弓道シーンを表現している。

    11月11日より新宿バルト9他で公開される。

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    随分乱暴でロジックが通らない話と展開なのだが、細かなことを気にせず総体を見れば面白い。
    そこそこ繁盛しているカフェを経営する亮介(松坂桃李)は、男手一つで自分を育ててくれた父がガンで余命宣告され、さらに婚約者千絵(清野采名)が突如姿を消したのでパニックに襲われる。

    父は家で死にたいと強引に退院し戻って来た実家で荷物を整理していた亮介は「ユリゴコロ」と書かれた1冊のノートを見つける。

    そこには人間の死でしか心を満たすことができない、美紗子(吉高由里子)という女性の衝撃的な告白がつづられていた。亮介は、創作とは思えないノートの内容に強く引き寄せられている。
    タイトルの「ユリゴコロ」は心の「拠りどころ」のことらしい。

    中学2年生の美沙子(清原果那)は同級生の女の子を溺れさせ、妹の帽子を溝から拾い上げようと上半身を鉄板の下に潜らせていたが、その鉄板に体重をかけて男の子の上に落とし殺してしまう。
    その時の鉄板を持ち上げていたのが大学生の洋介(松山ケンイチ)。

    警察では洋介が鉄板を落としたことになり、過失傷害致死で3年の実刑を受け3年間の刑務所暮らし。
    出所後のキャリアは滅茶苦茶になり、アルコール依存症からガンを発症し死の床についている。

    父洋介を看護しながら亮介はそのノートを読んで人間の死に「生き甲斐」を見つける異常な関心を寄せる女、美沙子こそ自分を産んだ母だと確信する。

    すると自分には「人殺しの血」が流れているのだ!
    嘆き苦しみ病身の父を責める亮介のところへ失踪した千絵の元同僚だったと言う細子(木村多江)が訪ねて来て、千絵は無事だ、昔の愛人だったヤクザに捕まっているだけで殺されたり傷つけられたりはしていない、と伝言を持って来る。
    ここから急転直下の大団円。

    ここから以下はスポイラー(ネタバレ)になるから読むのを避けた方が良い。
    細谷からの連絡がある。千絵の監禁されているアパートが見つかった。住所を片手に亮介は部屋を訪ねると、ヤクザは3人とも床に血を流して死んでいる。血の中に通称「引っ付き虫」が転がっている。キク科の「オナモミ」の種子で実家の庭に群生している。細子こそ亮介の母で「ユリゴコロ」の筆者だったのだ。 どうして亮介が気づかなかったか?「ひっつき虫」が教えてくれるまで分からなかったのか、いい加減なロジックが多い。(整形したと言うが声まで変わってはいないし、気づかれる)(それに細子はサイコと読める)

    でも冒頭に述べたように細かなことを気にせず「悪魔のような女」の半生記は恐ろしく、クライムサスペンスとしては問題なく堪能できる。
    第14回大藪春彦賞を受賞し、第9回本屋大賞にもノミネートされた沼田まほかるのミステリー小説を映画化。

    主演のファムファタール、宿命に振り回され、苦しむ殺人者・美紗子を、「蛇にピアス」などの吉高由里子が全裸も厭わず熱演する。宿命に振り回され、苦しむ殺人者・美紗子を、「蛇にピアス」などの吉高由里子が熱演する。2012年の「僕等がいた 前篇・後篇」で主演を務めて以来、5年ぶりの主演作品。
    時代を隔てて、美沙子に振り回される若い男に松坂桃李と松山ケンイチ。大物男優の芝居は安心して見ていられる。

    他の出演者に佐津川愛美 清野菜名 清原果耶そして木村多江。
    観客も木村多江の細子にすっかり騙される。

    脚本・監督を務めるのは、このところ「君に届け」(10)、「近キョリ恋愛」(14)とヒットを飛ばす熊澤尚人。

    9月23日よりバルト9他で公開される

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    このところ日本映画が面白い。

    三浦しをん原作の「まほろ駅前多田便利軒」シリーズ1と2のシリーズ映画化が好評だった大森立嗣監督が、再び三浦の小説を原作に描く、今回はがらりと変わったサスペンスドラマ。

    過去の忌まわしい記憶に翻弄される3人の幼馴染の姿を通して、人間の心の底に蠢くバイオレンスとセックスを描き出す。

    東京の離島・美浜島で暮らす14歳の中学生、黒川信之(福崎那由他)は、幼馴染で唯一の同級生である美少女・美花(紅甘)と付き合い、森閑とした木立の陰でセックスする仲になっている。
    二人の後を9歳の小学生の輔(岡田篤哉)が付き纏う。
    輔は酔った父親、洋一(平田満)から毎日暴行を受け生傷が絶えない。

    ある夜、信之は、バンガローを営んでいる美花の家に宿泊客がいるから会えないと言われブラブラしていると神社の境内の森で美花が宿泊客とセックスをしているのを目撃する。

    美花は楽しんでやっているように見えるが、その癖口では「殺して」と声を出す。
    客も美花に誘われて合意のセックスだと主張するが、激情に駆られた信之は客を絞め殺してしまう。
    輔は現場と死体をカメラに収める。

    いきなり中学生のセックスと殺人で驚くことばかりの冒頭だ。あれよあれよと思う間っもなくタイトル「光」が出て本編が始まる。

    ただ絶世の美少女でファムファタルの美花役の紅甘がブスなので、がっくりする。もっと美少女は居なかったのかね。この映画は美花の言動が男2人を振り回す展開なのでミスキャストは残念だ。


    そんなある日、島を大津波が襲い、信之と美花、信之を慕う年下の輔、そして数人の大人だけが生き残る。
    島での最後の晩、信之の美花を守るためとはいえ恐ろしい暴力の痕跡も津波とともに流されて消えた。

    それから25年後。
    島を出て今は東京都下の小さな街の市役所勤務の39歳の信之(井浦新)は、若い妻、南海子(橋本まゆみ)と5歳の椿(早坂ひらら)と3人で平穏に暮らしている。

    だが生活に飽き足らない南海子は工場務めの野性的な34歳の輔(瑛太)に惹かれ週に3回程セックスをしている。そして、そんな時に椿は暴漢に襲われる。

    これも唐突で何故輔と信之の妻、南海子なんだ?と思う。ストーリーがかなりのご都合主義。

    奈美子役の橋本まゆみはグラビアアイドル出身でヌードはお手の物。輔のベッドで男を攻め抜き、いつも全裸で歩き回り、出勤の輔をドアまで送る。

    金が欲しいのか兄貴と呼びたいのか、輔が信之の前に現われ、奥さんの浮気と椿のレイプをビラに書いて撒くよと脅す。

    市役所勤務に支障も出るだろう。おまけに25年前の美浜島での宿泊客絞殺事件の真相をバラすと脅し、証拠写真もあると仄めかす。

    クールな信之は妻の浮気は承知していたし、椿のレイプもどうにもならないと諦めていたから取り合わない。大体が輔を見下し、やれるものならやって見ろと見限っていた。

    だが美花に関わって来ると信之は人が変わる。
    美花はは今では大女優、篠浦未喜(長谷川京子)として世に知れ渡っている。

    輔の部屋に転がり込んで来た父、洋一はアルコール依存症でボロボロだが、昔のように輔を殴る蹴ると昔通りの暴行を加え、金を要求する。

    輔は暴行を受けながら父と相談の上、篠浦未喜に写真のコピーを送り金を無心する。

    信之は何としてでも篠浦未喜(=美花)守ろうとするが、輔は記憶の中の信之を取り戻そうとするかのように2人を脅しはじめる。

    信之は未喜から受け取った300萬円をそのまま輔に渡し、大量の睡眠薬を酒に混ぜて父親を殺すように指示する。

    封印したはずの過去が再び動き始め、昔の信之兄貴の再現に喜ぶ輔は喜々として指示に従う。

    これまで映画化された三浦作品とはかなり趣の違うバイオレントな作品だ。
    その上、輔と南海子のセックスシーンは延々と繰り広げられる。あの宿泊客絞殺以来何も感じなくなったと言う未喜役の長谷川京子のベッドシーンも大胆だ。
    (長谷川京子の顔がかなり変わっている。整形を受けたか?)

    映画は「暴力とは何か?」を全編をとうして問う。
    「暴力」で繋がる人間関係、「暴力」があるから「生きていける」人生。「日常に潜む暴力」とその先にある希望を見出そうとする。

    主演の信之を演じるのは「さよなら渓谷」などで大森監督とタッグを組んできた井浦新。大森監督作品への参加は3度目。

    もう一人の主役の輔を演じる瑛太と大森監督とは「まほろ駅前多田便利軒」シリーズに主演し気心は知れている。大森立嗣ワールド全開を楽しんでいる。

    ひとつ気になるのは内容がバイオレンスとセックスだけに映画をスタイリッシュにまとめようとしていること。抽象画やアブストラクトなオブジェ、場違いなジャズなど目障り、耳障りだけだ。

    11月25日より新宿武蔵野館他で公開される。

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     飯田橋の逓信病院には毎月通っているが、昨日(15日)午前の受診が終わって病院を出ると警官隊と街宣車が2台連なって揉めている。

    病院の脇道を100Mも登ると「朝鮮総連」で、朝の中距離弾道ミサイル(IRBM)発射に抗議しているのだ。

    僕は知らなかったが、スマホのニュースによると北朝鮮は15日午前6時57分ごろ、平壌郊外の順安(スナン)区域から東北東方向に弾道ミサイル1発を発射した。約3700キロメートル飛行して北海道上空を通過、午前7時16分ごろ襟裳岬の東約2200キロメートルの北太平洋に落下したとのこと。

    機動隊の警官は20名程、病院駐車場横に車輪の着いた移動式の鉄のレールを張り巡らし通行止めをしている。

    右翼の街宣車は「バカヤロー、てめえ、ミサイルなぞ発射しやがって」調のやくざ言葉で怒鳴っている。
    傍は逓信病院の大きな建物だけで朝鮮総連へは怒声の講義も届く距離で無いので、通行止めにした警官隊に「テメーラ、それでも日本人か!」と怒りをぶちまける。

    もう一台の街宣車は女性の澄んだ声でとうとうと「核弾頭を打ち上げられるようなミサイルの開発を中止せよ」と日本国家を代表するような論理的な説得をしている。

    韓国や中国の日本大使館の前では韓国人や中国人が堂々とデモの示威行為を行い時には生卵や汚物を投げこみ、慰安婦像や労働者像を建てるのを官憲は止めようとしない。

    右翼の街宣車が怒るように、建物正面に車を止めて抗議行動が何故許されないのか?
    単に騒動やゴタゴタを避けたいために数十人の機動隊員を出動させて街宣車を追い返すのは如何と思うが?

    朝鮮総連への怒りをぶちまける、右翼のやくざ調のおっさんに僕は賛成だ。

    広瀬錫扮するヒロイン・島田響が弓道着をまとい、凛々しい表情で弓道に励む。
    先日紹介した「一礼してキス」も弓道を素材としているJKものなので混同する。ただ「一礼~」は上級生の女子に下級生の男子生徒が恋をする話だが、こちらは冴えない世界史の先生に女子生徒が熱烈なラブコールを送る。
    そして何よりも無名の俳優しか顔を出さない「一礼~」と違い、広瀬すずと生田斗真と言う旬のビッグスターが登場する。

    このところこの映画のように若い女性たちが日本古代の武術、「弓道」とか薙刀(なぎなた)の「あさひなく」や剣道に励む、「武士道シックスティーン」や
    柔道にとりくむ「柔道ガ-ルズ」など、日本映画は伝統のマーシャル・アートに素材を求める作品に溢れている。

     主人公は南高校2年17歳の弓道部員、島田響(広瀬すず)。武器用でオクテな女の子で未だ本当の恋を知らない。
    クラスメイトで同じ弓道部員の千草恵(森川葵)や川合浩介(竜泉涼)は任帰郷しの関矢正人(中村倫也)や美人教師、中島幸子(比嘉愛未)に夫々熱を上げているが響きにはピンと来ない。

    でもそんな響にもちょっと気になる先生がいる。世界史教師・伊藤貢作(生田斗真)だ。いつも寝ぐせのついたボサボサ頭にダサイ眼鏡をかか、受け答えもぶっきらぼうで滅多に冗談も言わない。何をを考えているか分からない響きにとっては「大人の先生」。

    響は、いつも部活に精を出していて、恋をしたことがない女子高生。「好き」がどういうことなのかすら初めて気付く純な彼女は、アプローチも何もかもまっすぐで不器用。

    授業を忘れてベンチでうたた寝をしていたり、居残りを命じられた響に命じた関矢先生はとっくに帰宅したのに最後まで付き合ってくれる優しさ。

    クールで生真面目だが実は生徒への愛に溢れる世界史教師・伊藤貢作にいつしか響は真剣な恋心を抱いてしまう。

     逆に薫から目が離せない伊藤は教師の身、生徒との付き合いは「禁断の恋」だ。
    伊藤に想いを寄せる様々な思いが交錯する中、初めての恋の相手である教師の伊藤と不器用で純粋すぎる

    「じれったい恋」のエピソードが種々紹介され、観客を笑わせ同情をひく。
    しかし思わず、知らず接近した響と伊藤が唇を衝動的にあわせてしまうところから当然のことながら大騒動が持ち上がる。

    主人公のタイトルロール「先生」の伊藤貢作を演じるのは、32歳の生田斗真。
    作家太宰治を描く「人間失格」(10)で注目された生田は、幅広い役に挑戦し体当たり”の演技を見せているが、トランスジェンダーの男女の役を演じた「彼らが本気で編むときは、」は勇気ある試みだった。生田にとっては「僕等がいた」(12)以来5年ぶりとなる、普通の男性役だ。

    そして伊藤に人生初めての恋をしてしまう女子高生、島田響役に19歳の広瀬すず。
    2年前の「海街ダイアリー」で注目されるや否や、日本映画のアイドル的存在で快調に伸びて来た美少女広瀬すず。
    余りに不器用で男女関係に無知なので「カマトト」的な嫌味を感じるが、広瀬の演技力は物語の展開とともにそんな印象を払拭してくれる。
    弓道練習は過酷を極め、「いままでで一番難しかったです」と広瀬は言う。

     他に響が所属する南高弓道部の部長・川合浩介役の竜星涼、響の親友でおなじく南高弓道部員の千草恵役の森川葵、響たちが通う南高と同じ地区の北高弓道部のエース・藤岡勇輔役の健太郎、伊藤の同僚である関矢先生役の中村倫也らが脇を固める。

    原作の著者・河原和音は、2016年公開となった映画「青空エール」や「俺物語!!」など、その作品が続々と実写化される人気少女漫画家だ。
    1996年から2003年まで別冊マーガレットで長期連載されていた、累計発行部数570万部突破している同名の大ヒットコミック河原和音の人気少女漫画「先生!」の映画化。
    倫理的なことなど忘れれば気軽に楽しめる青春コメディ。

    10月28日より新宿ピカデリー他で公開される

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     8月18日からアメリカで上映が始まったLionsgateのこの作品は夏の大作が「疲労」で映画興行が落ち込む中、低レベルだが3週連続首位の座を占めた。

     4週目はS・キング原作のホラー映画「IT」に首位の座を追われて3位におちて、3322館で4.9Mに終わったが、
    4週目国内累積が64M、海外26カ国で開けて累積は60M.。ワールドワイド総計は125M(139億円)になる。始まって4週目でこの数字ならまずまずの成績だろう。

    話の大筋は、殺し屋ダリアス・キンケイド(サミュエル・L・ジャクソン)は国際司法裁判所で証言することになり、 安全に移動するために世界最高のボディーガード、マイケル・ブライス(ライアン・レイノルズ)を雇う。

    2人はダリアスを殺し証言を阻止しようとする凶悪な刺客たちを蹴散らしながらオランダ・ハーグの裁判所を目指す。

    派手なカーチェイスや銃撃戦、裏切りや内通者などの陰謀を交えたシンプルなストーリーのB級アクション映画だが、詰らない夏のシリーズ大作が犇めいたサマーシーズン終了間際の間隙を縫って出て来たニッチェ作品だ。

    監督は「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」(14)などのアクション・コメディ。得意のパトリック・ヒューズ。

    この映画は調べてみると、日本では劇場公開の予定が無く8月25日からネットで公開されている。

    仕方が無いのでそのNetflixに申し込み、大画面では無くPCのモニターのVOD(月額650円)で見た。PCモニターの小さな画面で鑑賞したものを映画と呼べるかどうか疑問に感じるね。
    映画業界の衰退を加速させるものでしょうね。

    主演はカナダ出身の40歳、ライアン・レイノルズ。
    ウルヴァリンなどで誰でも知っているが今一つ人気が無い。
    ところが昨年、大ヒットした異色なスーパーヒ-ロ―「デッドプール」のユーモラスなアクションで風向きが変わって来た。
    その勢いでこのB級アクションもののヒーローも乗りに乗っている。

    批評家はB級作品とバカにしているが観客の評価も出口調査(CS)で「B」評価と余り高くない。観客は女性層が48%と大半を占める。

    元CIA捜査官で辣腕のボディーガード、マイケル・ブライス(ライアン・レイノルズ)は日本人の武器商人、クロサワ(サオトメ・ツクオ)の護衛を担当する。任務を無事に終えたと思った矢先、プライベイトジェットに乗り込んだクロサワはブライスにジェット機の窓から手を降ったところを狙撃銃で額を撃ち抜かれてしまった。ブライスの護衛警備の名声は地に落ち三流の仕事しか回ってこない。

    それから2年後。ブライスは一線を退き、民間の会社社長の護衛をすることで生計を立てていた。
    その頃、ベラルーシの独裁者、デュコビッチ(ゲイリー・オールドマン)は民族粛清と称し大量殺人を犯したとして国際司法裁判所(the International Court of Justice)で審議され裁かれることになっていた。しかし、彼が犯した罪を追及することは目撃者も死亡し少なうなっており、困難を極めていた。

    デュコビッチは自らの罪を立証できるような人間を片っ端から殺していたためである。国際司法裁判所の最後の希望は混乱と暗殺の中を生き延びているダリウス・キンケイド(サミェル・L・ジャクソン)の証言であった。
    デュコビッチに扮するゲイリー・オールドマンは顔中髭だらけの悪人面。憎々しさは上手い。

    観客は、十数万人以上の死者を出したボスニア・ヘルツェゴビナ内戦当時、セルビア人武装勢力の司令官で、戦争犯罪などに問われているラトコ・ムラディッチがモデルだと簡単に想定がつく。デュコビッチとムラディッチは日本人は区別できない。

    ムラディッチ被告はボスニア東部のスレブレニツァで95年、イスラム教徒約8000人が虐殺された事件を指揮したとして、オランダ・ハーグの旧ユーゴスラビア戦犯法廷から国際司法裁判所へ虐殺、戦争犯罪、人道に対する罪で起訴された。

    凄腕のヒットマンとして知られるキンケイドは、刑務所暮らしの妻(ソニア)(サルマ・ハエック)の釈放と引き替えにデュコビッチを有罪にする証言をすることで司法取引に同意した。

    インターポールの高官、ジャン・フーシェ(ジョアキム・デ・アルメイダ)はアメリア・ルーセル(エロディ・ユン)をキンケイド護送チームのリーダーに任命した。

    ルーセルはブライスの元カノでもあった。
    護送部隊はデュコビッチの息がかかった者たちによって襲撃され、キンケイドとルーセル以外の全員が殺されてしまった。

    アクション映画といいながら退屈でスローなシーンが続くがこの熾烈な護送部隊襲撃事件で眠りから覚める。

    安全な場所に身を隠した2人は、インターポール内に内通者がいる可能性を疑っていた。その可能性が高い以上、インターポールに救援を求めるのは危険だと判断したルーセルは、昔のボーイフレンド、ブライスに協力を要請した。

    ルーセル役のエロディ・ユンはカンボジア人の父親とフランス人の母親の間に生まれた36歳のフランス国籍の女優。日本では馴染みが無いがフランスではTVドラマで活躍し

    キンケイドとルーセルに裏切られた因縁があるブライスはその要請を断ろうとしたが、
    これまでの汚名返上に協力することを条件に、キンケイドの護衛に参加することにした。

    ルーセルは報告のためにインターポールに向かい、ブライスとキンケイドは追っ手から逃げ続けることとなった。
    キンケイドとブライスはウマがあい仲の良いバディ・ムービーに逃走のロードムービーの要素が加わる。
    インターポールの内通者(もぐら)はやはりフーシェであった。
    フーシェはキンケイドを売り渡す見返りをデュコビッチに求めたが、デュコビッチはフーシェの腕を突き刺し、「報酬を払うのはキンケイドが死んだときだ」と冷たい。

    追っ手の殺し屋たちは、キンケイドのスマートフォンから居場所を割り出すことに成功し、2人を奇襲する。終盤にかけてのカーチェイスと銃撃戦は今までのスローさを挽回するゆに盛り上がる。

    国際司法裁判所への出頭時間の締め切りまで息を尽かせぬハラハラドキドキ場面の連続だ。
    証言されたら身の終わり。
    デュコビッチとフーシェは次々と手を変え品を変えてキンケイドとブライスを襲撃する。

    ユーモアやジョークを散りばめるが観客の方にそれほど余裕が無い。

    今後劇場の大スクリーンへの上映に替えPCやスマホでお手軽に映画が見られるようになるが、僕はあくまでも小屋の大スクリーン、何と言っても3DやImaxに拘りたい。

    ネット映画は「映画」ではない。ストーリーを追うだけの紙芝居だ。

    インターネットのNetflixのVODで上映中

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    原作は寺山修司の唯一の長編小説と言うか、15章からなる連作短編集。天井桟敷の芝居は見たがエッセイ集は「書を捨てて町へ出よう」以外は読んでいないのでこんな長編小説があるのを初めて知った。

    寺山自身も言っているように各章ごとにジャズのアドリブの乗りで書いたと。新宿歌舞伎町で出会った2人の男が友情を育て憎しみ合い愛し合いボクシングをするだけの話だけだが、2人を囲む登場人物が一癖も二癖もあるチャーミングで男臭く魅力的で興味が湧く。

    更に「もう戦後ではない」昭和60年台の歌謡曲や、小説、詩などのフレーズが散りばめられていたり、猥雑でセクシーでバイオレントな歌舞伎町のいろんな「荒野」が物語の舞台となっている。

    この粗削りで粗野な素材からエッセンスとテーマ、スピリットを抜き出し翻案し現代(というか近未来の)2021年に再現した共同脚本の岸善幸と港岳彦の力量は並々ならぬものだ。

    殆ど港と岸のオリジナルと呼んでも良いのではないか。両方の時代とも東京オリンピックの後と言うのも面白い。

     21歳の沢村新次(菅田将暉)。オレオレ詐欺の仲間、山本裕二(山田裕貴)のだまし討ちに相手を叩きのめしたことで少年院に入れられ3年振りに出所した。どこにも居場所は無い、燃えているのは「復讐」だけだ。だがプロボクサーでデビューしたばかりの裕二にあっさり叩きのめされる。

    倒れかかった新次に手を指し延ばし助けたのは通りがかった二木健二(ヤン・イクチュン)。一部始終を見ていた元ボクサーの片目の堀口(ユースケ・サンタマリア)で強くなりたかったらボクシングを習えと、歌舞伎町の裏通り、自分の「海洋(オーシャン)拳闘クラブ」に誘い込まれた新次と健二。

     床屋で働く健二は吃音障害と赤面対人恐怖症で引っ込み思案で人前に出ない。
    韓国人の母親は幼い頃に亡くなり元自衛官の父親、建夫(モロ・師岡)は健二を暴力で支配していたが、堪りかねた健二は住んでいた家を出て堀口の勧めるままにボクサーになり新次と共にジムで寝泊りする。

    引退して18年、ボクシングで失った左目が見えない堀口に喧嘩が強い信次はまるで通用しない。優しい健二は相手を殴れないがたまたま出す右パンチは鋭く威力満点だ。

    10歳年上の健二を「兄貴」と呼ぶ新次は優しい健二を慕う。
    堀口はリングネームを考える。
    「新宿・新次」、床屋が本職の健二は「バリカン健二」だ。二人も周りの人間も堀口のネーミングが気に入る。

    やがてプロライセンスの取得し合いをパスしたバリカン・二木建二と、やがてライバルになる新宿新次との青春を軸に、セックス好きの曽根芳子(木下あかり)、トレーナーの恐ろしい強面馬場(でんでん)、など多彩な変わったキャラクターが繰り広げる人間模様が飽きさせない。

    しかしボクシングと関係無い、「自殺防止研究会」や自殺のライブ中継とか「社会奉仕プログラムの自由化」とかの意味が分からない。何でこんな異質な要素を大切に扱うのか?

    終盤、「新宿・新次」と戦うためにのみ他のジムに移籍した「バリカン健二」。
    「愛するために憎む」と言うフィロソフィーを掲げリングに上がるがパンチを80回以上食らうシーンは見ておれない。煮詰めたテーマがここにあるのだろう。

    主人公の新次には「仮面ライダー」出身の若手俳優で「キセキ」などの24歳の菅田将暉。

    もう一人の主人公バリカン健二には09年、監督・主演の「息もできない」で数々の賞を授与された42歳の韓国ヤン・イクチュン。

    さらに、片目のジムオーナー堀口にユースケ・サンタマリア、
    新次の幼い時に捨てた母親、君塚京子に木村多江、好色な芳子に木下あかり、ジムの不動産社長、宮本太一に高橋和也、勃起せずAVや覗き見専門と言うのがおかしい。

    バリカンの暴力的父親をモロ師岡、新宿新次の天敵、山本裕二を山田裕貴、酒を飲みながら暴力的トレーニングをつける馬場役をでんでんなどといった芝居の上手い魅力あふれる役者陣が顔を揃える。

    監督・脚本はデビュー作「二重生活」が注目された岸 善幸。
    前編、後編を併せて5時間を超す超長尺作品を飽きもさせずたっぷりと堪能させる。

    試写室も補助椅子を出して超満員。日本映画が面白い。

    U-Nextで有料配信も劇場公開前にVODでされると言う。

    10月7日より前編を10月21日より後編が新宿ピカデリー他で公開される

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    世界的ファッションデザイナーのトム・フォードが、監督した2009年の「シングルマン」以来7年ぶりに手がけた映画監督第2作。

    「シングル~」は、1960年代のLAが舞台、ホモの大学教授、ジョージは8ヶ月前交通事故で恋人のジムを亡くして以来、生きる目的を失い、ピストル自殺を企てる。
    弾丸を購入し、荷物を整理し、遺書をしたため準備を進めていたが、生徒のケニーが彼に近づいてく。
    ヒットしなかったがジャンル映画で面白かった。

    この映画もアート作品のジャンルだろう。
    原作はアメリカの作家オースティン・ライトが1993年に発表した「Tony and Susan」(邦題「ミステリ原稿」)を自ら脚色し映画化したサスペンスドラマ。 

    冒頭のパーティ場面に驚く。スーザン・モロー(エイミー・アダムス)が経営するアートギャラリーのパーティだ。

    会場に設えた群衆に囲まれた丸い小さな舞台の上でロックの激しいビートに合わせて真っ白な裸の肉塊が踊っている。
    真っ黒な背景にスポットライトを浴びた白い巨大な肉塊は全裸で秘所も隠していないのに腹部の脂肪が垂れ下がりアソコはまるで見えない。

    ファッション・アイコンのトム・フォードならではのインパクトあるイメージから映画はスタートする。

    パーティ会場へ宅配便で箱に入った部厚い原稿が届けられる。
    18年前に離婚した元夫だったトニー・ヘイスティング(ジェイク・ギレンホール)からだ。
    「スーザンに捧ぐ」と献辞入り。献辞までされたら読まずには居られない。喧噪の届かない二階のオフィスでページを捲る。

    主人公、スーザン・モロー(アダムス)はアーティストではないが美術に関心があり、LAの繁華街でアートギャラリーを営んでいる。

    アートディーラーとして成功を収めているものの、再婚した夫ハットン(アーミー・ハマー)との関係も退屈で心が満たされずがうまくいかない。

    そんな彼女のもとに、パーテイ最中に、元夫のエドワードから謎めいた小説「夜の野獣たち」(Nocturnal Animals)と題された原稿が送られてくれば直ぐに目を通したくなる。。

    原稿を読み始めたスーザンから、カメラの視点はそこに書かれた不穏な物語の主人公、トニー(ジェイク・ギレンホール二役)の視点へ移り、現実とフィクションに別れて行来する。
    カットバックやフラッシュバックは良く使う手段だがフォード監督はスムーズに移動し違和感が無い。

    小説は古いメルセデスに荷物を積み込み、一家揃ってテキサス州マルファへ向かうところから始まる。
    西テキサスの夜の漆黒なハイウェイ。2台の不審な車がぶっつけて来る」。

    運転中のトニーをスーザンは元夫、エドワードに置き換えている。
    逃げ込んだドライブインで、レイ(アーロン・テイラー=ジョンソン)ら3人に襲われ、トニーは昏倒する。

    トニーの妻、ローラ(アイラ・フィッシャー)と幼い娘、インディア(エリー・バンバー)は拉致された。
    家族を見失ったトニーは警察を呼び、担当のボビー・アンディーズ警部補(マイケル・シャノン)と共に行方を探す。

    ローラを自分に見立てると娘のサマンサ(インディア・メネズ)が心配になり電話で元気な声を聴き安心して小説に戻る。

    スーザンの家はハリウッドヒルの小高い丘の上にありLAの夜景を見渡せる宮殿のような豪壮な邸宅。

    スーザンに捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。
    精神的弱さを軽蔑していたはずの元夫の小説に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、に奇妙な既視感を覚えて、一度エドワードに会ってみたいと思うようになるスーザン。リッチな生活を送る主人公と元夫が書いた過激な小説の世界がリンクしているのではないかとさえ考える。

    エドワードは何故小説を送って来たのか?
    18年経っても,まだスーザンに未練をのこしているのか?それともこれは念の入った復讐なのか?

    アートギャラリーのオーナー、主人公スーザン・モローを演じるのは43歳イタリア生まれのエイミー・アダムス。
    2005年の「June bug(原題)』で演じた妊娠アシュリの演技で注目を浴び、
    2008年「魔法にかけられて」ではおとぎの国から現実のNYへ迷い込んだプリンセスの役で、GG賞主演女優賞にノミネート。
    その後も2013年の「マン・オブ・スティール」ヒロイン役、魔性の女性役で13年の「アメリカン・ハッスル」、聡明な言語学者に扮した今年5月の「メッセージ」など活躍している。

    エイミーの元夫で小説家のエドワード、そして小説の主人公、トニーの二役を演じるのは36歳のジェイク・ジレンホール。
    芸歴は多彩1999年の「遠い空の向こうに」の主演を評論家から高い評価を得た。2006年「ブロークバック・マウンテン」ではアカデミー助演男優賞にノミネートされた。

    小説に登場するボビー・アンディーズ警部補はマイケル・シャノン。
    2009年の「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」の脇役演技でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。

    スーザンの2番目の夫、妻に無関心で浮気ばかりしているウォーカーを演じたのは、アーミー・ハマー。2010年の「ソーシャル・ネットワーク」でウィンクルボス兄弟、2015年のスパイコンビ映画「コードネーム U.N.C.L.E.」でイケメンスパイを演じた。

    暴行殺人犯のレイ・マーカスはアーロン・テイラー=ジョンソン。警察が駆けつけると家の前庭に便器を置きウンチをしているのに笑っちゃう。
    イギリス生まれの27歳。
    この作品でGG助演男優賞を授与されている。

    ファッション・アイコンのトム・フォー監督の世界に閉じ込められる2時間弱のスタイリッシュでファンタジーの世界を楽しむ。

    11月3日よりTOHOシネマズ・シャンテ他で全国公開される。

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    原作は、ユダヤ系米人作家ダイアン・アッカーマンによる2007年のノンフィクション「ユダヤ人を救った動物園 ヤンとアントニーナの物語」(亜紀書房刊)。

    第二次世界大戦中のポーランド・ワルシャワで、動物園の園長夫妻ヤンとアントニーナがユダヤ人を動物園の地下の動物用檻に匿い、300名もの命を救った感動の実話だ。

    1939年、ポーランド・ワルシャワ。ヤン・ザビンスカ(ヨハン・ヘルデンベルグ)とアントニーナ(ジェシカ・チャステイン)夫妻はヨーロッパ最大の規模を誇るワルシャワ動物園を営んでいて市民の憩いの場となっていた。

    冒頭のシーンが可愛い。餌をやるために園内を走り回るアントニーナ。彼女を追いかけるラクダの子。ぴったりと伴走するキュートさでアントニーナの動物への愛情の深さが分かる。動物たちを母性で包み込むアントニーナ。彼女は言う「動物は信用できるが、人間は信用しない」と。

    1939年9月1日にドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発。ナチの絨毯爆撃で動物園も被弾し炎上、動物たちが逃げ出し、街頭でポーランド警察に2頭の象が射殺される。

    そしてナチの軍隊がワルシャワを占領して動物園の存続も危うくなる中、ヒトラー直属の動物学者で親衛隊将校のルッツ・ヘック(ダニエル・ブリュール)が親切ごかしに言う。
    「あなたの動物たちを力を合わせて一緒に救おう」と言う暖かい言葉と「絶滅種の動物を預かり安全なベルリンへ移送しよう」との申し出に不審の念を抱く。果たして後になって分かるがアントニオーニに下心を抱いていた。

    動物園を存続させるために夫婦は知恵をしぼり、軍隊に豚肉を供給する「養豚場」を作る。これならナチの許可が降りる。

    夫のヤンから「この動物園を隠れ家にする」という驚くべき提案をしてくる。ヤンがユダヤ人強制居住区・ゲットーから買い入れた干し草を運ぶ時にユダヤ人たちをトッラックに次々と忍び込ませて、動物園の檻に運び込もうと言うのだ。

    だが映画ではホロコーストとか占領軍のナチの圧制とか逃亡するユダヤ人の危機と言う恐怖シーンは全く描かれていない。 

    一番感動するのは戦争やナチとは関係ない、象の赤ちゃんが難産で心肺停止状態の中、アントニーナがいきり立った母象に踏み殺される危険を冒して赤ん坊を心肺停止から蘇生させるシーンだ。

    ユダヤ人たちも無名の集団で誰ひとり個性的に描かれている人は居ない。
    アントニーナは得意のピアノや温かい食事で、彼らの傷ついた心を癒していく。
    時にそのピアノは曲によって「安全よ、出て来ても良い」とか「隠れて」「逃げて」などの暗号になった。

    ヤンがゲリラに加わり街頭戦で首を討たれて重傷を負う。ドイツ軍に捕らえられたことは事実で、夫の行方を探るためにヘッツのアパートへ押しかける。情報を教える代わりに交換のものをとアントニーナはベッドに押し倒される。

    映画はセックスがあったかどうか顛末を伝えず、次のシーンに移動するが、おそらく身体を許したに違いないと僕は疑う。

    ナチの恐怖やユダヤ人の悲劇、アントニーナの貞操モラルなどを飛ばして動物園を描くので、気が付くと戦争は終わって1945年の秋になっている。ドイツ敗戦から5カ月が経っているのだ。

    そんなことで、この「救出活動」がドイツ兵に見つかったら自分たちだけでなく息子、リスザルド(ヴァル・マロク)の命すら狙われてしまう。危険を冒しながら、アントニーナはいかにして300人のユダヤ人の命を救ったのか?と言う肝心な描写は曖昧のままだ。

    映画のテーマとして曖昧に描かれているのは、自らの命の危険を冒してでも、ナチス・ドイツに対して勇敢に立ち向かった夫婦の強い信念なのだがポイントを外れた描写ばかり。
    終戦の平和になった動物園の事務所の柱に「ダビデの星」を描くアントニーナとトムの姿はテーマを強調するための「蛇足」の感がある。

    主人公・アントニーナを演じるのは、シールズのウサマ・ビン・ラディン暗殺を描く「ゼロ・ダーク・サーティ」に主演してアカデミー賞他多くの賞レースにノミネートされたジェシカ・チャステイン。強さと優しさを兼ね備えた美しい女性を熱演している。

    監督はニュージーランド出身の41歳、ニキ・カーロ。長編2作目の「クジラ島の少女」(03)は世界の注目を集め数々の賞を授与されている。ハリウッドに招かれた女流監督は戸惑いながら演出をしている。

    12月15日よりTOHOシネマズみゆき座他で全国公開される