思ったことを滅茶苦茶に本音を撒き散らすドナルド・トランプが共和党大統領候補のトップを独走している。
私事ながら私がNY駐在時代に住んでいたセントラル・パークサウスのアパート「トランプ・パーク」の大家だったし、トランプJrは僕の主宰する「オペレーション・スマイル」本部の理事を最近まで勤めていた。
トランプ曰く。「メキシコからの不法移民を防ぐために『万里の長城』を国境に築け」移民も麻薬もアメリカに持ち込ませないと。
麻薬密輸団の映画は目立つ。古くは「トラフィック」から注目され「ブレイキング・バッド」「ボーダーライン」とか実在の麻薬王をモデルにした「エスコバル」など中南米のカルテルの話が多いが、アメリカと国境を接しているメキシコはその件数の面からも凄まじい。
「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグローがプロデュースして製作総指揮を手がけ、2006年から続くメキシコ麻薬戦争の最前線をとらえたドキュメンタリーを見るとドナルド・トランプの主張の正しさが良く分かる。
メキシコ、ミチョアカン州の小さな町の内科医ホセ・ミレレスは、暴行レイプは当たり前、平気で殺人を犯して地域を苦しめる凶悪な麻薬カルテル「テンプル騎士団」に対抗するべく、市民たちと銃を手に蜂起する。メキシコ政府は腐敗しきり警察も頼り無い。
ミレレスは精力的に各地を訪問し「殺されるのを待つか、銃を買って自分たちを守るか」賛同した者たちは銃とユニフォームを与えられ各地でカルテルを撃退し大きな成果を挙げて行く。
一方アメリカ側では、コカイン通りとして知られるアリゾナ砂漠のオルター・バレーでアメリカの退役軍人ティム・フォーリーが、メキシコからの麻薬密輸を阻止する自警団「アリゾナ国境偵察隊」をリオ・グランでの南部に結成する。「俺のやっていることは正しい事だ。自分たちが戦っている相手は悪なんだ」と。
2つの組織は勢力を拡大していくが、問題なのはメキシコの自警団、カルテルを憎む人々が増え組織が巨大になって行くとやがて麻薬組織との癒着や政府や警察への賄賂が横行するようになる。
ミレレスの組織が大きくなるにつれ内部で違法行為を行う者、麻薬を製造するものまで現れる。
「俺たちの作る麻薬(アンタフェミン)などは学校で教わる化学の実験で簡単に作れる。これをアメリカに密輸するのは悪いことだとは分かっているが俺たちは貧乏だ。貧乏を抜け出すためにアメリカに少し犠牲になってもらうんだ」
大きくなりすぎた自警団はやがて政府の介入で吸収される側と反発する分派の二つに分れることになる。
監督とカメラは命がけで組織内部に入り込みインタビューをしたり、麻薬工場を撮影したりする。大変なドキュメンタリだ。
こんな記録映画を見る限り、ドナルド・トランプの大統領立候補演説は暴言では無い、その場限りの言い逃れでは無い、アメリカの7割近くを占める白人の本音だと感じる。
今ではメキシコばかりかイスラム教徒の入国まで禁止をしようと訴える。
若き映画監督マシュー・ハイネマンが決死の覚悟で取材を敢行し、メキシコ社会の実態を明らかにしていく。惜しくも洩れたが今年の第88回アカデミー長編ドキュメンタリ賞にノミネートされた作品だ。
5月渋谷イメージ・フォーラムにて公開される。
私事ながら私がNY駐在時代に住んでいたセントラル・パークサウスのアパート「トランプ・パーク」の大家だったし、トランプJrは僕の主宰する「オペレーション・スマイル」本部の理事を最近まで勤めていた。
トランプ曰く。「メキシコからの不法移民を防ぐために『万里の長城』を国境に築け」移民も麻薬もアメリカに持ち込ませないと。
麻薬密輸団の映画は目立つ。古くは「トラフィック」から注目され「ブレイキング・バッド」「ボーダーライン」とか実在の麻薬王をモデルにした「エスコバル」など中南米のカルテルの話が多いが、アメリカと国境を接しているメキシコはその件数の面からも凄まじい。
「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグローがプロデュースして製作総指揮を手がけ、2006年から続くメキシコ麻薬戦争の最前線をとらえたドキュメンタリーを見るとドナルド・トランプの主張の正しさが良く分かる。
メキシコ、ミチョアカン州の小さな町の内科医ホセ・ミレレスは、暴行レイプは当たり前、平気で殺人を犯して地域を苦しめる凶悪な麻薬カルテル「テンプル騎士団」に対抗するべく、市民たちと銃を手に蜂起する。メキシコ政府は腐敗しきり警察も頼り無い。
ミレレスは精力的に各地を訪問し「殺されるのを待つか、銃を買って自分たちを守るか」賛同した者たちは銃とユニフォームを与えられ各地でカルテルを撃退し大きな成果を挙げて行く。
一方アメリカ側では、コカイン通りとして知られるアリゾナ砂漠のオルター・バレーでアメリカの退役軍人ティム・フォーリーが、メキシコからの麻薬密輸を阻止する自警団「アリゾナ国境偵察隊」をリオ・グランでの南部に結成する。「俺のやっていることは正しい事だ。自分たちが戦っている相手は悪なんだ」と。
2つの組織は勢力を拡大していくが、問題なのはメキシコの自警団、カルテルを憎む人々が増え組織が巨大になって行くとやがて麻薬組織との癒着や政府や警察への賄賂が横行するようになる。
ミレレスの組織が大きくなるにつれ内部で違法行為を行う者、麻薬を製造するものまで現れる。
「俺たちの作る麻薬(アンタフェミン)などは学校で教わる化学の実験で簡単に作れる。これをアメリカに密輸するのは悪いことだとは分かっているが俺たちは貧乏だ。貧乏を抜け出すためにアメリカに少し犠牲になってもらうんだ」
大きくなりすぎた自警団はやがて政府の介入で吸収される側と反発する分派の二つに分れることになる。
監督とカメラは命がけで組織内部に入り込みインタビューをしたり、麻薬工場を撮影したりする。大変なドキュメンタリだ。
こんな記録映画を見る限り、ドナルド・トランプの大統領立候補演説は暴言では無い、その場限りの言い逃れでは無い、アメリカの7割近くを占める白人の本音だと感じる。
今ではメキシコばかりかイスラム教徒の入国まで禁止をしようと訴える。
若き映画監督マシュー・ハイネマンが決死の覚悟で取材を敢行し、メキシコ社会の実態を明らかにしていく。惜しくも洩れたが今年の第88回アカデミー長編ドキュメンタリ賞にノミネートされた作品だ。
5月渋谷イメージ・フォーラムにて公開される。