この作品、何処かで見たような気がしたが見ている内に思い出した。
オーストリア映画の「ピアノマニア」で10年ほど前のドキュメンタリだ。
フランスを代表するピアニスト、ピエール=ロラン・エマールと、調律を任されたシュテファン・クニュップファーとのやり取りを軸に、世界の名だたる演奏家が信頼を寄せるシュテファンの丹念な仕事ぶりを映し出す。
次々と高い要求をする完ぺき主義者のピアニストと、あらゆる手段を用いてその要求に応える調律師、究極の響きを求める「ピアノマニア」同士の妥協なき執念。
恐らく原作者の宮下奈都もこの映画を見て参考にしたに違いない。
ピアニスト、ピエール=ロラン・エマールが、バッハ晩年の未完の傑作「フーガの技法」を録音するに際し、演奏するピアノにスタインウェイ社の逸品「245番」を選ぶ。
スタインウェイ社の技術主任でドイツ人調律師のシュテファンは、バッハ時代の古楽器を研究し、
エマールからの細かい注文にも丹念にこたえながらピアノをたくみに調整していく。
究極の響きを求めるピアニストと調律師の共同作業を追う。
主人公は北海道育ちの外村直樹(山崎賢人)。
特に将来の夢もなく漫然と高校生活を過ごしていた外村の運命を変えたのは、先生に頼まれて体育館のグランドピアノまで案内した年配の男性の仕事ぶりだった。
転校して来た高校で外村はピアノの調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)と出会うと言う幸運に恵まれたのだ。
板鳥が体育館に設置してあるグランドピアノの前に立つと、何やら生まれ故郷、北海道と同じ森の匂いがした。
調律師である板鳥の仕事を見学していると、外村は果てしない森に踏み込んだような不思議な感動を覚えた。
外村はそこで、ピアノの調律を行う板鳥に魅了され、「弟子にしてください」と申し出る。
板鳥は、弟子をとることは断ったが、調律師になるための方法を教える。
外村は専門学校に進み、2年後の卒業とともに板鳥の勤務する「江藤楽器」に就職する。
採用の際、板鳥の推薦があったことはいうまでもない。
外村はピアノを弾けなかったし、音楽の素養は全くない。
毎日、仕事の後には店のピアノで調律の練習をしているし、家に帰ってからはクラシックを聴きこんでいるが、板鳥のような美しい音をつくることなどできそうにもない。
板鳥「焦ってはいけません。こつこつ、こつこつ、です」
お客さんのピアノを調律させてもらえるようになるのは、早くて半年後から。
外村は7年先輩調律師である柳伸二(鈴木亮平)について回り、見学をしながら仕事を覚えていく。
佐倉家の調律に同行し、外村は双子の女子高生、姉の和音(上白石萌音)と妹の由仁(上白石萌歌)に出会う。
外見はそっくりだが、和音のピアノは静謐であり、由仁のピアノは弾むような楽しさを表現していた。
柳は由仁にプロポーズする予定だったが、指輪を失くすエピソードが入るが面白いものではない。
劇中のピアノ曲を僕は余り知らないので、その意味でも楽しさを失う。
外村は、柳だけでなく、板鳥、秋野ら先輩の調律を目の当たりにし、次第に調律師としての修練を積んでいく。
しかし失敗の方が多く話としては盛り上がらない。
ようやく柳の結婚式で当初、家庭用のピアノのように調律を行い、会場の広さやテーブルセッティングなども考慮せずに行ってしまい、
和音のリハーサルの音を聴いて、急遽、板鳥のアドバイスを受けつつ外村は再調整する。
和音の美しい音色の演奏が行われる中、来賓で出席していた社長に「どうして板鳥君が、君みたいにまっとうで素直に生きてきた人を、推薦したのか、今ならよく分かる。外村君みたいな人が、根気よく、一歩一歩、『羊(羊毛でできたピアノハンマー)と鋼(弦)の森』を歩き続けるのかもしれない」と外村に語る。
これで初めてタイトルの意味が分かる。
第13回本屋大賞に輝いた宮下奈都の小説を実写映画化。
主人公・外村を「オレンジ」や「四月は君の嘘」「氷菓」などの23歳の山崎賢人、
外村の人生に大きく関わる調律師・板鳥を「Raylway」「64」「Desiny鎌倉物語」など演技派の三浦友和が演じる。
監督はデビュー作「orange-オレンジ-」(15)で山崎と組んだ橋本光二郎で、監督2作目になるが演出は不器用で未熟だ。
「高台家の人々」などの金子ありさが脚色。
しかしこの内容で2時間14分は長過ぎる。
6月8日よりTOHOシネマズ日比谷他全国公開される。
オーストリア映画の「ピアノマニア」で10年ほど前のドキュメンタリだ。
フランスを代表するピアニスト、ピエール=ロラン・エマールと、調律を任されたシュテファン・クニュップファーとのやり取りを軸に、世界の名だたる演奏家が信頼を寄せるシュテファンの丹念な仕事ぶりを映し出す。
次々と高い要求をする完ぺき主義者のピアニストと、あらゆる手段を用いてその要求に応える調律師、究極の響きを求める「ピアノマニア」同士の妥協なき執念。
恐らく原作者の宮下奈都もこの映画を見て参考にしたに違いない。
ピアニスト、ピエール=ロラン・エマールが、バッハ晩年の未完の傑作「フーガの技法」を録音するに際し、演奏するピアノにスタインウェイ社の逸品「245番」を選ぶ。
スタインウェイ社の技術主任でドイツ人調律師のシュテファンは、バッハ時代の古楽器を研究し、
エマールからの細かい注文にも丹念にこたえながらピアノをたくみに調整していく。
究極の響きを求めるピアニストと調律師の共同作業を追う。
主人公は北海道育ちの外村直樹(山崎賢人)。
特に将来の夢もなく漫然と高校生活を過ごしていた外村の運命を変えたのは、先生に頼まれて体育館のグランドピアノまで案内した年配の男性の仕事ぶりだった。
転校して来た高校で外村はピアノの調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)と出会うと言う幸運に恵まれたのだ。
板鳥が体育館に設置してあるグランドピアノの前に立つと、何やら生まれ故郷、北海道と同じ森の匂いがした。
調律師である板鳥の仕事を見学していると、外村は果てしない森に踏み込んだような不思議な感動を覚えた。
外村はそこで、ピアノの調律を行う板鳥に魅了され、「弟子にしてください」と申し出る。
板鳥は、弟子をとることは断ったが、調律師になるための方法を教える。
外村は専門学校に進み、2年後の卒業とともに板鳥の勤務する「江藤楽器」に就職する。
採用の際、板鳥の推薦があったことはいうまでもない。
外村はピアノを弾けなかったし、音楽の素養は全くない。
毎日、仕事の後には店のピアノで調律の練習をしているし、家に帰ってからはクラシックを聴きこんでいるが、板鳥のような美しい音をつくることなどできそうにもない。
板鳥「焦ってはいけません。こつこつ、こつこつ、です」
お客さんのピアノを調律させてもらえるようになるのは、早くて半年後から。
外村は7年先輩調律師である柳伸二(鈴木亮平)について回り、見学をしながら仕事を覚えていく。
佐倉家の調律に同行し、外村は双子の女子高生、姉の和音(上白石萌音)と妹の由仁(上白石萌歌)に出会う。
外見はそっくりだが、和音のピアノは静謐であり、由仁のピアノは弾むような楽しさを表現していた。
柳は由仁にプロポーズする予定だったが、指輪を失くすエピソードが入るが面白いものではない。
劇中のピアノ曲を僕は余り知らないので、その意味でも楽しさを失う。
外村は、柳だけでなく、板鳥、秋野ら先輩の調律を目の当たりにし、次第に調律師としての修練を積んでいく。
しかし失敗の方が多く話としては盛り上がらない。
ようやく柳の結婚式で当初、家庭用のピアノのように調律を行い、会場の広さやテーブルセッティングなども考慮せずに行ってしまい、
和音のリハーサルの音を聴いて、急遽、板鳥のアドバイスを受けつつ外村は再調整する。
和音の美しい音色の演奏が行われる中、来賓で出席していた社長に「どうして板鳥君が、君みたいにまっとうで素直に生きてきた人を、推薦したのか、今ならよく分かる。外村君みたいな人が、根気よく、一歩一歩、『羊(羊毛でできたピアノハンマー)と鋼(弦)の森』を歩き続けるのかもしれない」と外村に語る。
これで初めてタイトルの意味が分かる。
第13回本屋大賞に輝いた宮下奈都の小説を実写映画化。
主人公・外村を「オレンジ」や「四月は君の嘘」「氷菓」などの23歳の山崎賢人、
外村の人生に大きく関わる調律師・板鳥を「Raylway」「64」「Desiny鎌倉物語」など演技派の三浦友和が演じる。
監督はデビュー作「orange-オレンジ-」(15)で山崎と組んだ橋本光二郎で、監督2作目になるが演出は不器用で未熟だ。
「高台家の人々」などの金子ありさが脚色。
しかしこの内容で2時間14分は長過ぎる。
6月8日よりTOHOシネマズ日比谷他全国公開される。