(承前) 僕の家は朝日新聞ファンで戦中から購読していた。
驚いたのは昭和25年の「伊藤律架空単独会見事件」で宝塚山中で共産党幹部と単独会見をしたとトップで大きな活字が躍っていた。
これが嘘っぱちだとバレたが朝日新聞ともあろうものが、と子ども心に憤慨した。
その後ロクな記事が無い。
南京大虐殺を煽る本多勝一記者の記事で中国人の日本人を見る目が変わり、済州島で慰安婦が強制連行のでっち上げ記事でパク・クネ大統領の「千年恨」を増長させ韓国ばかりか世界中に慰安婦像を建てさせる要因を作るなど朝日新聞は明らかに反日の「売国奴」だ。(安倍首相がラジオではっきりと朝日を名指しで「売国奴」と呼んだ)
そんな朝日が「電通ブラック批判」急先鋒で大キャンペーンを展開している。
週刊ポストの記事では、
大手広告代理店・電通の女性新入社員が過重労働で自殺した問題は、(中略)これまで広告代理店の不祥事には及び腰と言われた大手メディアも一斉にこれを取り上げたが、中でも急先鋒となったのが朝日新聞だった。
10月12日付の「社説」では「形式的で不十分な労働時間の把握、残業は当然という職場の空気。企業体質の抜本的な改善が必要だろう」と厳しく指摘。家宅捜索のあった翌日の11月8日朝刊は、1面トップ、天声人語、さらに2面でも図表入りで解説する力の入れようだった。
ところが、である。その1か月後の12月6日、朝日新聞東京本社が社員に長時間労働をさせていたとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けたのである。
財務部門の20代男性社員が2016年3月、法で定められた残業時間を4時間20分超過していたと労基署は指摘。
編集部門の管理職が部下の申告した出退勤時間を短く改ざんしていたことも判明した。さらに12月15日、社内調査の結果、他にも5人の社員が労使協定の上限を超える残業をしていたことが分かったと発表した。
紙面で労働問題を意欲的に取り上げている最中という「ブーメラン」だが、この最も身近な労働問題に関する報道は切れ味が鈍かった。
是正勧告についてはインターネットメディア「バズフィードジャパン」を始め、毎日、産経、日経などが相次いで報じたが、真っ先に情報を入手していたはずの朝日新聞はまさかの「特オチ」。各メディアの報道が出た翌日になってから「労基署、本社に是正勧告」とわずか240文字の小さなベタ記事を載せただけだった。
その後も、電通事件については14日に「過労死の四半世紀」と題した記事をオピニオン欄を全面使って展開している一方で、その翌日に発表した追加の社内調査結果については、またしても小さなベタ記事なのである。
この落差には朝日社内でも疑問の声があがった。
朝日労組が実施した組合員アンケートの回答には、
〈電通以上のブラック企業だ〉
〈電通問題を胸を張って追及できなくなった〉
〈本来であれば会社が率先して外部公表する内容の事案だ〉
といった辛辣な言葉が並んでいる。
「朝日は詐欺師と共産党系の反日売国奴ばかりだ」と僕の友人Mさんは看破するが同感だ。
朝日ファンだった僕だがサンゴ礁事件(1989年)で朝日購読を打ち切った。
朝日新聞記者が八重山群島西表島の西端、崎山湾のアミサンゴを撮影に行った際に「K・Y」と落書きされているのを発見。
自然環境破壊のモラルを世に問い正そうとダイバーの低モラルぶりを報道。
しかしこれが完全なデッチ上げだったのだ。
その朝日新聞が自分の事を棚にあげて電通を「ブラック企業」キャンペーンを展開している。
誰かリベンジをしてくれ!
富山県警捜査一課の四方篤(岡田准一)は富山湾を臨む氷見漁港に佇んでいた。そこで刺殺体で発見された男は少年時代の親友だった。
荒れ狂う日本海、暗雲立ち込めた富山湾は印象に残る。
荒ぶる日本海、立山連峰を望む古い町並み、美しい間垣の集落、能登半島に沈む夕陽など、厳しく、寂しく、美しいスクリーン上の風景は絶景だ。
松本清張の「ゼロの焦点」を思い出す。
25年前の1992年、親に捨てられた13歳の四方は同じ境遇の田所啓太、川端悟と共に軽喫茶「ゆきわり草」を営む仁科涼子(安藤サクラ)と涼子を慕う山形光男(吉岡隆徳)に懐いていた。
しかし涼子には身持ちの悪いヤクザの夫(渋川清彦)がいた。
涼子に乱暴し絶えず金をせびっている。
少年たち3人は涼子を救うために夫を殺そうとする。
だが少年たちの力では無理だが3人寄ってタカって止めを刺す。
二階から駆け降りた涼子はナイフを握り虫の息の夫の胸を突き通す。
夫役・渋川清彦のチョビ髭刺青の小物ヤクザは相変わらず上手い。
強烈なDVで観客の憎悪を掻き立てるからこそ少年たちの動機は正当化される。
しかし社会的には許されることでは無い。
呆然と立ち尽くす男の子たち3人に、涼子は総て「自分がやったことで、君たちは関係無いのよ」
と言い含めて警察に自首する。
そして収監された刑務所で女の赤ちゃんを産む。
少年たちはそれからバラバラになり涼子の言いつけ通り互いの連絡も取らなくなり
自分の目指す道を歩む。
そして25年、刑事になった四方の前に友人の小さなガラス店の親父、川端悟(柄本佑)が死体となって横たわり、事件の前日に会ったと言う大きな工務店を経営する田所啓太(小栗旬)が容疑者となっている。
四半世紀振りの再会がこんな形ではと悩む四方は、刑事の勘で田所は何かを庇っている、絶対に犯人では無いと確信をしている。
だが警察の上司や同僚には通じない。
「駅 STATION」(81)「夜叉」(85)「あ・うん」(89)「鉄道員」(99)など12本の名作を世に送り出してきた監督・降旗康男とキャメラマン・木村大作のベテラン黄金コンビ。
(高倉健の顔が無いのは寂しいが)
81歳の監督、77歳の撮影監督の2人の巨匠が9年ぶりにタッグを組んで挑むのが「追憶」。
タイトルそのものは使い古された題名だがベテラン二人の作品には相応しいのだろう。
北陸の寒々とした日本海と背後に聳える山脈、3人の少年たちの友情と、罪を被ってくれた恩人のオバさん。
少年時代から四半世紀経った関係者の異変。
前半は見事な出来栄えで、観客は完全に画面と物語に引き込まれる。
しかし盛り上がるべき終盤のクライマックスが実に呆気なくご都合主義でテンションを外される。
原作無しで脚本家の2人、青島武と瀧本智行の力不足と想像性欠如から納得性が欠けているのだ。
辻褄を合わせたように旧友3人の友情を壊さず事件を解決しようとする。
それも唐突過ぎる。
おまけに出所した保子に付き添い、今は夫婦となった山形光男の存在があいまいな上に、
映画のフィロソフィーめいた言葉を呟くだけと言うのは不気味ですらある。
降籏・木村の黄金コンビが撮ると言っても、こんな半端な本ではエンディングは狐に摘ままれる。
オリジナル脚本と胸を張れる本ではない
後半を書き直して欲しいものだ。
主演は全世代から幅広い人気を誇る国民的俳優の岡田准一。この人が歌手だと言ったって信じない人も居るだろう。
実に役者として上手くなった。
だが惜しむらくは背(タッパ)が低く共演の小栗旬の肩にも届かない。
小栗の他に、柄本佑、長澤まさみ、木村文乃、安藤サクラ、吉岡秀隆といった豪華俳優陣が脇を固める。
5月6日よりTOHOシネマズ日劇他で公開される
驚いたのは昭和25年の「伊藤律架空単独会見事件」で宝塚山中で共産党幹部と単独会見をしたとトップで大きな活字が躍っていた。
これが嘘っぱちだとバレたが朝日新聞ともあろうものが、と子ども心に憤慨した。
その後ロクな記事が無い。
南京大虐殺を煽る本多勝一記者の記事で中国人の日本人を見る目が変わり、済州島で慰安婦が強制連行のでっち上げ記事でパク・クネ大統領の「千年恨」を増長させ韓国ばかりか世界中に慰安婦像を建てさせる要因を作るなど朝日新聞は明らかに反日の「売国奴」だ。(安倍首相がラジオではっきりと朝日を名指しで「売国奴」と呼んだ)
そんな朝日が「電通ブラック批判」急先鋒で大キャンペーンを展開している。
週刊ポストの記事では、
大手広告代理店・電通の女性新入社員が過重労働で自殺した問題は、(中略)これまで広告代理店の不祥事には及び腰と言われた大手メディアも一斉にこれを取り上げたが、中でも急先鋒となったのが朝日新聞だった。
10月12日付の「社説」では「形式的で不十分な労働時間の把握、残業は当然という職場の空気。企業体質の抜本的な改善が必要だろう」と厳しく指摘。家宅捜索のあった翌日の11月8日朝刊は、1面トップ、天声人語、さらに2面でも図表入りで解説する力の入れようだった。
ところが、である。その1か月後の12月6日、朝日新聞東京本社が社員に長時間労働をさせていたとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けたのである。
財務部門の20代男性社員が2016年3月、法で定められた残業時間を4時間20分超過していたと労基署は指摘。
編集部門の管理職が部下の申告した出退勤時間を短く改ざんしていたことも判明した。さらに12月15日、社内調査の結果、他にも5人の社員が労使協定の上限を超える残業をしていたことが分かったと発表した。
紙面で労働問題を意欲的に取り上げている最中という「ブーメラン」だが、この最も身近な労働問題に関する報道は切れ味が鈍かった。
是正勧告についてはインターネットメディア「バズフィードジャパン」を始め、毎日、産経、日経などが相次いで報じたが、真っ先に情報を入手していたはずの朝日新聞はまさかの「特オチ」。各メディアの報道が出た翌日になってから「労基署、本社に是正勧告」とわずか240文字の小さなベタ記事を載せただけだった。
その後も、電通事件については14日に「過労死の四半世紀」と題した記事をオピニオン欄を全面使って展開している一方で、その翌日に発表した追加の社内調査結果については、またしても小さなベタ記事なのである。
この落差には朝日社内でも疑問の声があがった。
朝日労組が実施した組合員アンケートの回答には、
〈電通以上のブラック企業だ〉
〈電通問題を胸を張って追及できなくなった〉
〈本来であれば会社が率先して外部公表する内容の事案だ〉
といった辛辣な言葉が並んでいる。
「朝日は詐欺師と共産党系の反日売国奴ばかりだ」と僕の友人Mさんは看破するが同感だ。
朝日ファンだった僕だがサンゴ礁事件(1989年)で朝日購読を打ち切った。
朝日新聞記者が八重山群島西表島の西端、崎山湾のアミサンゴを撮影に行った際に「K・Y」と落書きされているのを発見。
自然環境破壊のモラルを世に問い正そうとダイバーの低モラルぶりを報道。
しかしこれが完全なデッチ上げだったのだ。
その朝日新聞が自分の事を棚にあげて電通を「ブラック企業」キャンペーンを展開している。
誰かリベンジをしてくれ!
富山県警捜査一課の四方篤(岡田准一)は富山湾を臨む氷見漁港に佇んでいた。そこで刺殺体で発見された男は少年時代の親友だった。
荒れ狂う日本海、暗雲立ち込めた富山湾は印象に残る。
荒ぶる日本海、立山連峰を望む古い町並み、美しい間垣の集落、能登半島に沈む夕陽など、厳しく、寂しく、美しいスクリーン上の風景は絶景だ。
松本清張の「ゼロの焦点」を思い出す。
25年前の1992年、親に捨てられた13歳の四方は同じ境遇の田所啓太、川端悟と共に軽喫茶「ゆきわり草」を営む仁科涼子(安藤サクラ)と涼子を慕う山形光男(吉岡隆徳)に懐いていた。
しかし涼子には身持ちの悪いヤクザの夫(渋川清彦)がいた。
涼子に乱暴し絶えず金をせびっている。
少年たち3人は涼子を救うために夫を殺そうとする。
だが少年たちの力では無理だが3人寄ってタカって止めを刺す。
二階から駆け降りた涼子はナイフを握り虫の息の夫の胸を突き通す。
夫役・渋川清彦のチョビ髭刺青の小物ヤクザは相変わらず上手い。
強烈なDVで観客の憎悪を掻き立てるからこそ少年たちの動機は正当化される。
しかし社会的には許されることでは無い。
呆然と立ち尽くす男の子たち3人に、涼子は総て「自分がやったことで、君たちは関係無いのよ」
と言い含めて警察に自首する。
そして収監された刑務所で女の赤ちゃんを産む。
少年たちはそれからバラバラになり涼子の言いつけ通り互いの連絡も取らなくなり
自分の目指す道を歩む。
そして25年、刑事になった四方の前に友人の小さなガラス店の親父、川端悟(柄本佑)が死体となって横たわり、事件の前日に会ったと言う大きな工務店を経営する田所啓太(小栗旬)が容疑者となっている。
四半世紀振りの再会がこんな形ではと悩む四方は、刑事の勘で田所は何かを庇っている、絶対に犯人では無いと確信をしている。
だが警察の上司や同僚には通じない。
「駅 STATION」(81)「夜叉」(85)「あ・うん」(89)「鉄道員」(99)など12本の名作を世に送り出してきた監督・降旗康男とキャメラマン・木村大作のベテラン黄金コンビ。
(高倉健の顔が無いのは寂しいが)
81歳の監督、77歳の撮影監督の2人の巨匠が9年ぶりにタッグを組んで挑むのが「追憶」。
タイトルそのものは使い古された題名だがベテラン二人の作品には相応しいのだろう。
北陸の寒々とした日本海と背後に聳える山脈、3人の少年たちの友情と、罪を被ってくれた恩人のオバさん。
少年時代から四半世紀経った関係者の異変。
前半は見事な出来栄えで、観客は完全に画面と物語に引き込まれる。
しかし盛り上がるべき終盤のクライマックスが実に呆気なくご都合主義でテンションを外される。
原作無しで脚本家の2人、青島武と瀧本智行の力不足と想像性欠如から納得性が欠けているのだ。
辻褄を合わせたように旧友3人の友情を壊さず事件を解決しようとする。
それも唐突過ぎる。
おまけに出所した保子に付き添い、今は夫婦となった山形光男の存在があいまいな上に、
映画のフィロソフィーめいた言葉を呟くだけと言うのは不気味ですらある。
降籏・木村の黄金コンビが撮ると言っても、こんな半端な本ではエンディングは狐に摘ままれる。
オリジナル脚本と胸を張れる本ではない
後半を書き直して欲しいものだ。
主演は全世代から幅広い人気を誇る国民的俳優の岡田准一。この人が歌手だと言ったって信じない人も居るだろう。
実に役者として上手くなった。
だが惜しむらくは背(タッパ)が低く共演の小栗旬の肩にも届かない。
小栗の他に、柄本佑、長澤まさみ、木村文乃、安藤サクラ、吉岡秀隆といった豪華俳優陣が脇を固める。
5月6日よりTOHOシネマズ日劇他で公開される