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年間500本を越える映画を見る映画狂・恵介。TVやDVDで見る映画は映画ではない。映画はアメリカや東南アジアや日本でも劇場で試写室で見る映画のみに限られ、その感想やコメントを毎日書き込みます。今まで休んだのは上海に滞在した2012年の4日間だけ。サイバーコップが日本中国間のブログ・アクセスを切断したからです。それ以外は皆勤、アクセスは52万回を数える。

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    北海道在住の50歳まさきとしかの「きわこのこと」(幻冬舎:2015年8月刊)を読んだ。著者名も著書名もひらがなだけ。漢字が書けないのかしら。

    主人公・貴和子の薄幸な人生を新聞の三面記事の5つの事件であり事故を追う。
    それらの事故や事件影をおとしている「きわこ」という女の存在。
    2015年2月の「衝突事故男性の死因『窒息死』と判明」から時系列的にさかのぼる。2013年1月の「『超熟女専門』売春クラブ摘発」2012年7月「他人のベランダで暮らす男逮捕」「パトカー追跡中電柱二衝突 女性重体」そして最終章は2009年12月の「母親に強い恨みか 殺人容疑で長男逮捕」

    何が真実か訳が分からない。最終章の殺される母親は間違いなく「きわこ」で刺した大学生は義理の息子。なさぬ仲のきわこは兄の大学生と家出して既婚の男性・衛に遊ばれる妹美亜を溺愛している。衛は酔っ払い運転で3人を引き殺し美亜のアパートへ逃げ込んで来ている。夫々刺激的な出来事を描写しながらそれがどう繋がり関連があるのか分からない。夫々の章と章との繋がりもそうだ。

    僕の理解を超えた小説はただ疲れるだけだった。誰か解説をしてくれないだろうか?


    さて今日の映画の原題は「HELIOS 赤道」
    「ヘリオス」はギリシア神話の「太陽神」。曙女神エオス,月神セレネの兄弟。キルケ4頭立ての黄金の戦車を駆り,東から上って西に沈み,オケアノスの流れを黄金の杯に乗って戻ると考えられた。ヘリオスの息子、パノプテスは父の戦車の操縦を誤り、地球を火の海にしてしまう。
    漢字の副題「赤道」もヘリオスも灼熱に燃える。香港全体を1発で吹き飛ばす「小型核兵器・DC-8」のことを指すのだろう。国際間の核兵器争奪戦を描く。

    映画のアクションは殆ど香港を舞台にしている。
    韓国が開発した超小型核爆弾DC-8が「ヘリオス」(チャン・チェン)という名の謎の怪盗団とその仲間「使者」(MESSENGER)(ジャニス・マン)らによって奪われた。どうして韓国が原爆など開発するのだろうか?北朝鮮への対抗と言う意味なら分かる。
    香港なら中国がごっそりと原爆も水爆も保持しているから中国製にした方が手っ取り早いが小型核爆弾は技術力が優れている韓国が開発した方が通りやすい。

    一方、「香港は世界一安全で平和な都市」を標榜する香港警察はヘリオスが香港で中近東の武器商人Mr.ビッグ(マイク・リーダー)にヘリオスがDC-8を売り渡すという情報を入手する。

    香港警察・機器対策本部CTRU(Counter-Terrorism Response Unit)のリー・イン・ミン隊長(ニック・チョン)を中心に、本部の顧問に就任した核のスペシャリストであるシウ・チン・ヤン教授(ジャッキー・チュン)とともに、対策を練る。

    ヤン教授のジャッキー・チュンは芸暦30年の54歳香港のスター歌手。アクション俳優としても大活躍で「エグザイル」や「レクイエム」などで主演を勤めている。
    警官上がりの俳優47歳のニック・チョンは「インファナル・アフェア」シリーズ以降、警察ものアクションには無くてはならないスターだ。

    中国から情報を得た韓国政府は、国家情報院の理事官チェ・ミンーホ(チ・ジニ)と護衛のパク・ウチョルNIS諜報員(チェ・シウォン)を香港に送り、出迎えた香港駐在のNIS諜報員シム・インーミン(ユン・ジニ)と香港警察の若いファン警部(ショーン・ユー)とともに取引場所に向かう。
    次から次へといろんな人物が登場して誰が誰だか判別するのに時間がかかる。

    韓国や香港、中国の俳優は多数顔を見せるが日本人は誰も居ないのが淋しい。

    途中で殉死するが韓国のパク諜報部員はアクションも上手いし何よりもハンサム。調べてみたら韓国人気K-POPグループ「SUPER JUNIOR」のアイドルだった。

    取引現場に急襲した香港警察と、ヘリオスの「使者」が取引していた密輸組織Mrビッグとで銃撃戦となり、「使者」に逃げられるが、追ったパクがGPSを着装したDC-8を奪還することに成功する。
    香港警察もチェたちにDC-8を引き渡そうとするが、そこへ中国公安警察のソン・アン部長(ワン・シュエチー)が現れ、DC-8を韓国に戻すことはできないと言う。大体何もしないで最後に口を出すのが中国だ。

    香港が吹っ飛ぶほどの威力を持つDC-8を巡り、中国、香港、韓国の三者三様の思惑が張り巡らされる。そしてヘリオスと使者も再びDC-8を奪おうと動いていた。

    日本も京都の美しい寺院や京都市左京区にある、叡山電鉄の小さな赤い電車が走る風景があり「出町柳」駅など紹介されるがストーリーには余り関係が無い。

    監督は「コールド・ウォー 香港警察二つの正義」でデビューを飾ったリョン・ロクマンとサニー・ルクのコンビが演出をしているが、アクションはさることながらドラマが薄っぺらだ。
    プレスに制作費3000万ドルとあるから担当のPR会社の人に香港ドルですね?と聞くとUSドルだと言う。36億5千万円もかけているとはハリウッド並みだ。しかしハリウッドの業界紙ヴァラエティでは18M(22億円)でサバを読んでいるがそれでも巨額な制作費だ。

    映画の終わりでもDC-8の決着はついておらず、シリーズ物になるようだが、日本や日本人が余り関与しない映画はどれだけヒットするかで続編が公開されるかどうかが決まる。新宿東口の武蔵野館で正月第二弾の興行成績に注目しよう。

    1月9日より新宿武蔵野館にて公開される。

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    昨日書いたブログ「ヘリオス」にファン諜報部員でK-POPアイドルグループ「SUPER JUNIOR」のチェ・シウォンが活躍していたが、この映画では同じグループのカンインが主役。
    ただカンインは以前から映画には出ていて7年ぶりの出演をなのだそうだ。
    日本で言えばSMAPのようがグループ化、皆イケメンで歌が上手いし芝居も上手だ。ただこちらはアクションスパイ物ではなくて甘いロマンティックでちょっと悲しい映画だ。

    カンイン扮するドンフンは、ミュージシャン志望の青年で、ラブソングは歌えても自らの気持ちを伝えるのが苦手というキャラクター。 相手役のジェヒはイラストレイターだが漫画家を目指す活発な女性という設定。演じるパク・セヨンは韓国のバラエティ番組やドラマで活躍する女優。真逆の性格の2人の起伏の激しいラブ・ドラマに茶トラの猫・クルムが絡む。

     シンガーソングライターを目指す青年ドンフン(カンイン)と漫画家志望の女性ジェヒ(セヨン)は、共通の友人の結婚式で出会う。
    ドンフンがジェヒを見初め、披露宴で結婚祝いに自作の曲をギターで歌うドンフンを見てジェンヒは恋に落ちる。

    自然に恋人同士となったある日一緒にドンフンの生まれ育った島へ旅行した時フェリーの上でジェンヒが突如「一緒に住む?」と口にし同棲がはじまる。すべてジェンヒ主導のロマンスだ。

     毎晩近所で寂しそうに鳴いていた子猫が気になったジェンヒは半ば強制的にドンフンに許可を貰って連れ帰った子猫を「クルム」と名付けて飼うことに。
    気が強いジェンヒの言うなりに従うドンフンだが幸せだった。
    クルム伊達は関係ないか。クルムは「雲」と言う意味だそうだ。モビールに飛びつきじゃれるクルムは可愛い。

    自作のアルバムを出そうとするドンヒ、一流の漫画家になろうとするジェンヒ、それぞれの夢を追いながら愛を育む2人だった。

     が、音楽会社代表ヒョンソク(チョン・ギヨウン)が現れて二人の間に些細なすれ違いが生じる。
    ヒョンソクにジェンヒは恋人のアルバム制作を頼み了承される。アルバムのイラストも描くこともOKを取る。更にヒョンソクはネットで漫画を企画している友人にジェンヒを紹介する。

    ヒョンソクの高級車で二人のアパートまで送られて来るジェンヒを目撃してドンソクの中で何かが壊れ、そしてギクシャクした関係にな別れることになってしまう。アルバム制作は止めてしまうドンソク、漫画家としてデビューし人気が出てきたジェンヒ。

    監督はTVドラマ出身のイ・ジョンフン。劇場長編映画に慣れていない。

    それから1年後、ドンフンが引き取ったクルムがこの世を去り、2人はお葬式をするために再会を果たしドンフンの故郷の島へフェリーで日帰りの旅に出かける。
    「焼け棒杭に火が付く」かが観客の焦点となる。
    韓国のポータルサイトDAUMで話題となったデジタルコミックを原作に、1組のカップルの葛藤を描くもの。

     かつて一緒に飼っていたネコ・クルムが死に、再会した元恋人同士のドンフンとジェヒ。火葬してお骨を入れた箱を提げて葬儀のために生まれ故郷の島へ出かける2人。久しぶりに過ごす特別な1日は、互いの気持ちが再び動き出しそうな気配だった。
    ストーリー自体はクリシェで先が読めるが(実は最後のドンデンは読めないが)フラッシュバックが頻繁に入り現実と過去が混同してしまうのが困る。
    OST(劇中歌)「私の名前を呼んで」は、ピアニスト兼作曲家のYirumaの繊細な旋律に感受性豊かなカンインの歌声は心地良い。

    「良い朝だね。今日も寂しさで目が覚めた」という歌詞から始まる歌は、伝えられなかった気持ちを抱いたまま再会した恋人の姿と相まって切ない心情を訴える。「私の名前を呼んで/私は名前を忘れてしまった/私はあなたを失ってしまった」とベタベタの歌詞だが恋愛下手なミュージシャンドンフンの気持ちをそのまま感じさせてネタばれとなる。


    2月よりシネマート新宿で公開される。

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    この映画を見るために1昨日(5日)の夜、木場109シネマスクリーン2のIMAXシアターに出かけた。地下鉄木場駅から腰痛の僕には難行苦行で15分はかかる道程ながら是非見たいと思ったのは日本で唯一IMAX上映されるのはこの日の109のみだからだ。アメリカの状況を振り返って見れば良く分かる。

    アメリカでは10月2日より公開されたがデビュー週9日間は、365のIMAXと83の(PLF)premium large-formatに大型スクリーンのみトータル443館で1.6Mを挙げ11位に食い込んだ。2週目からはIMAX443館から3D2Dも含め一気に2509館と拡大興行に踏み切ったが3.6Mと酷い成績。2500館以上で上映の映画で史上第7位のウォースト記録だと言う。
    BOはIMAXで見た観客の口コミにかかっていたのだがそれに失敗したと言うことだ。

    ソニーとトライスターは失望を隠せない。
    「制作費は僅か35M(42億円)だから派手な宣伝は出来なかった。スタジオ関係者は素晴らしい作品だと誇りに思う作品だけにガッカリしている」とソニー配給チーフのロリ・ブルアーは正直だ。

    この大綱渡りはアカデミー長編ドキュメンタリ賞を獲得した2008年のイギリス映画「マン・オン・ワイヤー」(Man on Wire)などで知悉した話だ。
    主人公のフィリップ・プティが映画の中で写真(動画は無い)を前にして語り尽くしているからだ。

    しかし「百聞は一見にしかず」ロバート・ゼメキス監督は消滅して14年も経つ世界貿易センターの411Mの高さがどれほど地上から離れており、その間を張った42.7Mのロープの上を何度も「ウォーク」(行き来)する芸は人間技を超えたものかをヴィジュアルで証明してくれる。

    この映画ではそのフィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が背景にワールド・トレード・センターを見ながら、「自由の女神」のトーチから1874年の「クーデター」の模様を過去にフラッシュバックしながら仔細に語る。
    人から良く聞かれる「死を賭した綱渡り」と「死」は別物で綱渡りはフィリップの人生そのものだ、と強調する。

    フィリップが8歳の時世界一の綱渡り・チェコの「白い悪魔」一座がやって来る。一目見たフィリップが忽ちタイトロープの魅力に取り付かれ、座長のパパ・ルディ(ベン・キングスレー)の教えを請う。子供なんて相手にしなかったルディだがフィリップが少年から青年になってくると熱心さにほだされてコツを教えるようになる。

    面白いのは殆ど綱を渡り終えて「後三歩」と言う時が一番危険だと諭す。徒然草に高名の木登り名人が弟子に教える場面がある。高い樹を登っている最中は何も注意をしない、あとちょっとで地上と言う時に「気をつけろ」と忠告する。同じ哲学だ。北館で綱渡りを終え警官が後三歩で手を伸ばすシーンが緊張するのはパパルディの警告の所為だ。

    1973年にパリにやって来たフィリップは大道芸人で日銭を稼ぐ。
    ある日、歯痛で訪れた歯科医の待合室で世界貿易センターが完成すればエッフェル塔を抜いて世界一になると言う雑誌の記事を読む。

    大道芸人仲間でギターの弾き語りで美大の学費を稼いでいるアニー(シャルロット・ルボン)に出会いセンタービルの綱渡りの夢を語る。夢を共有するアニーと恋仲になる。美大の同級生でアナーキストのカメラマン、ジャン=ルイ(クレイマン・シボニー)がクーデターの仲間に加わる。

    挑戦のターゲットは、地上110階、高さ411mを誇るニューヨークのワールド・トレード・センター。プティは仲間たちとNYへ飛び時間をかけ計画を成功させるための準備に着々と取りかかる。

    予行演習でパリのノートルダム大聖堂の2つの尖塔の間の空中散歩や、シドニーのハーバーブリッジの横断など、数々の挑戦で既に世間の注目を浴びるフィリップ・プティ。しかしこのクーデターが成功すれば世界的なアーティストになれる。人生の目的が達成できるのだ。

    摩天楼の荘厳なツインのタワーで、1974年当時、世界一の高さを誇ったニューヨークのワールド・トレード・センター。その四半世紀後にテロリストたちによって倒壊した貿易センタービルにはニューヨーカーたちは特別な想いを寄せる。
    未だ南館は完成間近だが、この間をワイヤーロープ一本でつなぎ、命綱なしの空中闊歩にある男が本当に挑んだ。1974年8月6日未明。
    霧が晴れ太陽が登る。足がすくむスリル、地上から見上げる群衆は蟻より小さく見える。

    伝説の男プティ役には「インセプション」や「ダークナイト ライジング」のジョセフ・ゴードン=レヴィット。茶髪に悪戯っぽい目を輝かせた小男プティ(苗字のプティは小男の意)を熱演する。
    「ウォーク」自体は違法で裁判でセントラルパークの地上2メートルでの綱渡りを毎週行い、行楽客を楽しませることを命じられたフィリップはNYに残りアニーは美大を卒業するためにパリへ戻り別れる。
    この後再会したかどうかは分からないがロマンスは終わったようだ。
    アニー役はカナダ女優シャルロット・ルボンで「イヴ・サンローラン」(14年)でセザール賞助演女優賞候補になっている。
    パパ・ルディ役のベン・キングスレーは本来の出自・インド人役(ガンジー)だったり中近東の自動車教習所教師だったりチェコのサーカスの座長だったり、異邦人役はなんでもござれだ。

    監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズや「フォレスト・ガンプ/一期一会」などのアカデミー賞受賞監督ロバート・ゼメキス。映像の魔術師もこのところヒット作に恵まれないがこの映画も不発のようだ。
    原作はフィリップ・プティ本人の「TO REACH THE CLOUDS」

    1月23日より3Dで全国公開される。

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    国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に遂に登録されてしまった「南京大虐殺」。
    更に悪いことは中国政府に反論するために日本政府が出した民間研究書は南京事件否定派の学者の著書が引用されているために日本政府の印象を悪くしているという。

    主張しているのは静岡県立大学の剣持教授で「意見書は否定派の学者に組していてナチスのユダヤ人虐殺を否定するのと同じ印象を世界に与えかねない」と。ナチスのユダヤ人虐殺は厳然たる事実だが30万人市民の「南京大虐殺」はあり得ないと信じる僕にはこの剣持教授は朝日記者と同様「売国奴」でバカじゃないかと思う。

    日本政府も主張しているように非戦闘員の殺害行為や略奪行為はあったことは認めるが被害者の上限は4万人、または2万人程度」と2010年の日中歴史共同研究で中国側の30万人に反論している。

    日本政府の主張が正しいことは事件のあった翌年(1938年)の国連(昔の国際連合)で中国代表が日本軍の残虐行為を総会で糾弾している。「日本軍の市民虐殺は2万5千人に及ぶ」この公式記録をどうして日本政府は持ち出して中国側に反発しないのだろう。

    菅官房長官は日本が最大のユネスコ分担金支払い国だが支払い削除や停止を検討すると発表している。アメリカですら払っていないユネスコ分担金で殆ど負担していない中国の反日の宣伝に使われているのでは良い面の皮だ。
    日本はユネスコ(国連教育科学文化機関)に対して、莫大な分担金を支払っているが昨年度2014年度の分担金の国別の比率は次の通りである。
    【1位】アメリカ22%
    【2位】日本10・834%
    【3位】ドイツ7・142%
     途中省略
    【9位】中国2・06%
    【11位】韓国1・85%
     
    1位がアメリカとなっているが、アメリカはパレスチナがユネスコに加盟したことに反発し、過去2年間分担金を支払っていない。従って日本が分担金支払い1位で経済大国・中国の5倍強支払っている。そして中国の謂れも根拠も無い日本攻撃の資料を提出し記憶遺産に登録させた。
    日本政府は毎年、国際機関に5000億円以上の金額を投じている。多くは世界銀行やIMF(国際通貨基金)などの金融機関だが、次いで多いのが、ユネスコを含む国連の各機関で、2013年度は約2000億円を拠出した。

    ユネスコ向けは約43億円だがそれでも第一位の支払い国。中国は8.05億円で韓国の5.35億円と並んで偉そうな顔をして「南京大虐殺」や「慰安婦」を登録しようとしている。
    日本もアメリカに習い支払拒否をすべきだと言う菅官房長官の発言は正しい。何が悲しくて自分を無差別攻撃する中国や韓国の記録を登録するのに金を払わなくてはならないんだ!


    昨日(7日)が初日の丸の内ピカデリーで15時50分の回に出かけた。場内は4割以下の入り。一番の書き入れ時に少々淋しい観客数だ。

    伊坂幸太郎節を満載したこの映画はいつものように短絡的で底が浅いが奇想天外なストーリーは楽しめた。だが謎が多くどうして?が、処々にあるが1年後にキーパーソン・菫(麻生久美子)が事件の発端となった恋人が助けた幼児を連れて現れ主人公・元中学教師の鈴木(生田斗真)にカラクリと謎解きをしてくれるので全貌が解明される。
     
    ハロウィンの夜、渋谷駅前スクランブル交差点で、ドラッグでハイになった男が何者かの指令で群衆の中に車を暴走させ10数人を殺害する。
    ハロウィン仮装の幼児を助けようとした恋人小百合(波瑠)を殺されて犯人へのリベンジを誓った鈴木(生田)。

    恋人が倒れた現場で蹲っている時「真犯人は寺原親子」と書いたカードを拾い、教職を辞め寺原の経営する会社=裏社会の「フローライン」に潜入した。
    会社の上司・比与子(奈々緒)の指令でかつての教え子、バカ女をリクルートするが比与子に睡眠薬を盛られアジトに拉致される。

    比与子にジュニアをピックアップせよと指令が来る。鈴木と一緒に渋谷のスクランブル交差点で車を止めて待つ。
    寺原ジュニアにリベンジの絶好の機会が訪れたと思う矢先、押し屋・槿(すみれ)(吉岡秀徳)と呼ばれる殺し屋の仕業でジュニアが群衆の中から全速で走るタクシーに跳ね飛ばされ目前であっけなく死んでしまう。
    殺し屋の隠れ家を探るため鈴木が後を追う。

    一方渋谷の高層ホテルの部屋では標的を自殺に追い込む殺し屋「鯨」(浅野忠信)。寺原ジュニアの依頼で暴露記事を書こうとするジャーナリストを自殺させる。
    寺原は自分たちを知りすぎた鯨の殺害をもう一人の殺し屋「蝉」(山田涼介)に命じる。

    「鯨」は特殊な力・催眠術で被害者を自殺に追い込む。鯨の周りには15歳の時に殺した父親(宇崎竜童)を始め手にかけた亡霊が犇めきあっている。
    「蝉」はナイフ使いの名人で寺原親子に対抗して危険ドラッグ製造組織に単身で乗り込み10数人をアッと言う間に喉を搔き切っている。趣味はシジミのみそ汁、一仕事を終えてシジミを砂取りで水に漬け泡がブクブクと浮き上って来るのを見ている時が一番落ち着くと言う。
    蝉に指令を与える岩西はストローハットを被るダンディ、何かと言うと「ジャック・クリスピン曰く」とレコードを聴きながら一言垂れるのが蝉の気に入らないところ。夫々登場人物は夫々心の奥にトラウマを抱え一癖も二癖もあり、そして殺し屋同士の一騎打ちは凄まじい。
    諸悪の根源、寺原(石橋蓮司)がドラッグを独占しようとライバルを叩き潰し(冒頭の暴走車も危険ドラッグで若者が無謀運転させ当局の取締りを厳しくさせる目的)や殺し屋を競わせるのは少し無理がある。

    しかし諸悪の根源が凶悪で無ければ話が進まないから甘受しなければならないんだね。
    その寺原がバカ女の警棒のようなナイフのような凶器の一閃であっさりと車椅子の上で息を引き取るのに唖然とする。鯨か蝉、菫が討ち取るものと思っていたにに。

    タイトルの「グラスホッパー」。菫が解説する。グラスホッパー(とのさまばった)は密集して育つと黒く変色し凶暴になる。人間も然り。渋谷は世界有数の人口密集年。真っ黒に染まった凶悪な住人たちは気弱な草食男・鈴木に襲い掛かる。

    「重力ピエロ」「ゴールデンスランバー」「オー!ファーザー」など多く映画化されている人気作家・伊坂幸太郎のベストセラー小説を「犯人に告ぐ」「イキガミ」、生田主演の「脳男」などで知られる瀧本智行監督が、再び生田を主演に据えて演出をしている。

    エピローグで生前の小百合が愛情込めて作ったポタージュスープのタッパウェアを冷凍庫から取り出し電子レンジで温める鈴木。「タイムカプセル」で小百合の愛情を温め直すシーンが良い。

    丸の内ピカデリー他で公開中

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    海外で先行ロードショウをしていたがいよいよ先週の金曜(6日)よりアメリカ本土上陸で予想通り首位の座に座った。3,972館で上映され73M(89億円)のBOはスパイ物シリーズで史上2位の記録。
    観客の出口調査CinemaScoreでA-評価だったが、映画評論家の間ではダニエル・クレイグ主演4作品の中では最低の評価が軒並み続きます。

    ソニー映画スタジオ関係者は80Mを期待した人が多かった。それと言うのも前作「Skyfall (2012)」はシリーズ最高額$88.4Mを挙げているからだ。
    監督は前作に引き続きサム・メンデス。観客は半分以上が男性(62%)それも25歳以上が75%を占める。

    海外では先週から先行上映されていてUKで新記録の60.4Mを含め80.4Mでスタートを切っているが、この週末に76カ国で117.8Mを挙げ10日間累積190.8Mワールドワイド総計では300Mに達する。
    公開したどの国で首位のBOです。それも「Skyfall」を抜いているのです。メキシコで4.6M、ブラジルで2.9M、ロシア5.8M、香港2.4Mマレイシア2.3M、それにドイツの20.1M。
    ただし制作費は250M(305億円)もかけているからワールドワイドでは900M(109.8億円)以上の収入が必要だ。因みに前作「Skyfall」は1.1B(1342億円)。

    前作「Skyfall (2012)」のデビュー週末はシリーズ最高額$88.4Mを挙げている。監督は引き続きサム・メンデス。制作費は250M(305億円)もかけたのでワールドワイドでは900M(109.8億円)のBOが必要だがこの勢いでは充分到達できるだろう。

    いつも007はプロローグが凄いが今回のものはど肝を抜く破天荒だ。
    メキシコシティの年に一度の祝祭である「死者の日」。

    ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は窓越しに隣のビルにいる男に狙いを定める。ボンドの手から逃れた男はビルを破壊しボンドと崩れ落ちるビルを逃れながら格闘になるが、挙句に男は広場に呼び寄せたヘリコプターに飛び乗る。追いかけたボンドがヘリにジャンプして死闘を繰り返しそしてヘリは落下。その際にボンドは男の手から「ある組織(スペクター)」のマークが刻印されたリングを抜き取る。
    そのリングを手がかりに殺し屋未亡人のルチア(モニカ・ベルッチ)にローマで開かれるスペクター総会を教えられ会議場に乗り込む。そして出会うのが凶悪なオーベルハウザー(クリストフ・ヴァルツ)。このオーストリア俳優は悪役が本当によく似合う。

    イギリスに戻り死んだM(ジュディー・ディンチ)に替わった新M(玲不・ファインズ)にレポートするがMはメキシコの件が上部に知れているとボンドに休職を命じる。
    情報部ではMI5や00の殺し屋は時代遅れで不要の論議がなされその情報部を取り仕切るC(アンドリュー・スコット)がボンドを含めMの馘首を検討している。
    マネー・ペニー(ナオミ・ハリス)も新奇な武器・ガジェット発明者Qも健在でボンドに協力してくれる。特にラボの外へ足を踏み出したことが無いQがスイスに飛んできて窮地のボンドを救ってくれるシーンは初めてなので感激する。

    タイトルにもなっている「スペクター」は半世紀以上続く007シリーズ初期に登場したジェームズ・ボンドの宿敵の名前。「ロシアより愛を込めて」(1963)など過去6作品に登場するお馴染みの宿敵。ボンドの手で絶滅した筈だが再び顔を出す。
    広く伝えられているようにこの作品で007引退するダニエル・クレイグ。映画の中でもスペクトルのボスを目の前にして銃を引っ込め「I’ve got something better to do」(お前を殺すより他に仕事がある)とつぶやいて愛しの美女マドレーヌ(レア・セドゥ)のもとへ歩み寄るボンドに昔日の姿は無く、その台詞でファンに別れを告げている。

    ボンドガールとなるモニカ・ベルッチは50歳でBGには老け過ぎる。
    30歳のレア・セドゥーはフランス映画で活躍する茶髪の潤んだ瞳の美女。
    憎まれ役Cには「SHERLOCK シャーロック」のアンドリュー・スコット、
    大活躍のQは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のデビッド・バウティスタなど。

    ボンド幼少期の秘密、スペクターとは一緒に育てられた義兄弟とは? エンディングシーンに大きな謎が投げかけられる。

    12月4日よりTOHO日劇他で公開される。これも3Dで見て欲しい。

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    1940年6月、日米開戦の1年半前。
    ドイツ軍はフランスに宣戦布告し首都パリは爆撃にさらされていた。
    ナチス・ドイツのフランス侵攻は、第二次世界大戦中の1940年5月のドイツ軍とその枢軸国軍と英仏など連合国軍との戦闘で熾烈を極めたダンケルク包囲戦連合国軍をドーバー海峡の追いやったドイツ軍に対し、フランス政府は6月10日にパリを無防備都市と宣言して放棄、政府をボルドーに移した。
    そして6月14日にはドイツ軍がパリに無血入城した。6月21日に、フィリップ・ペタンを首班とするフランス政府はドイツに休戦を申し込み、フランスは降伏した。独仏休戦協定が結ばれ、フランスはドイツの支配下に置かれる。

    ここまでがこの映画の背景で、フランス中部の田舎町ビュシーにはパリからの避難民が続々と到着した頃にナチス・ドイツの中隊がビュシーにも駐屯する。
    結婚して3年、戦地に行った夫を待つリュシル・アンジェリエ(ミシェル・ウィリアムズ)は、厳格な義母、マダム・アンジェリエ(クリスティン・スコット・トーマス)と大きな屋敷で窮屈な生活を送っていた。口の悪いマダムは財産目当ての結婚だろうと辛く当たる。

    リュシルの仕事はアンジェリエ家の農地を耕す農民から毎週小作料を徴収すること。食うや食わずのブノワ・ラバリ(サム・ライリー)などは地主一家に悪態をつきながらも物納で鶏などを差し出す。

    アンジェリエの屋敷に、ドイツ軍の中尉ブルーノ・フォン・ファルク(マティアス・スーナールツ)が滞在することになる。町の夫々の邸宅にはドイツ軍将校や兵士が寄宿する。
    アンジェリ家に当番兵の車で着いたブルーノ中尉は紳士で優しい30台の将校。獰猛なナチの兵士を恐れて一家はホッと胸を撫で下ろす。

    ブルーノはあてがわれた部屋に鍵がかかっているピアノを見つけ、弾きたいとリュシルに頼み開けて貰う。作曲家だったと言うナチス中尉は自作の「フランス組曲」を毎日のように弾く。未だ完成していないと言うが美しいメロディは心すさむ占領下の生活に潤いをもたらす。

    ピアノと音楽への愛を共有する2人は、いつしか互いの存在だけが心のよりどころになっていく。それは同時に、狭い世界に生きる従順な女性だったリュシルが、より広い世界へと目を向ける転機にもなっていくのだった。

    戦時下でのロマンスは小説や映画にどれだけあるか?ましてや作り方もスタイルも古めかしいがいつの間にか引き込まれる。当然先は読めるが二人の情緒が迸る先に難関が現れるのでハラハラする。

    留守で帰って来ないと筈の義母、マダム・アンジェリエの突然の帰宅、妻(ルース・ウィルソン)を寝取られブノワはナチ将校、クルト・ボネ中尉(トム・シリング)を射殺してしまう。リュシルは家の隠し部屋にブノワを押し込める。

    ボネ中尉は凶暴で住民にハラスメントをしていたから観客は同情もしないが、中隊長の少佐は怒り狂う。48時間以内に犯人を突き出さなければ町人5人を処刑するか、子爵で町長(ランベール・ウィルソン)を銃殺する。

    ドイツ軍は一軒残らず家々を捜索するが分からない。ただブルーノ中尉の当番兵がタバコの臭いがすると。それは俺の吸っているタバコだ、とブルーノは押し留めるが、バカなブノワだ。隠れている時にタバコを吸うとは。当番兵は忘れない。ミシェルがトランクに彼を隠しパリへ向かう通行許可書にチェックポイントでトランクを調べろと書置きをしてある。

     僕は誤解していたが、主人公ミシェルは原作者でその頃人気小説家として活躍していたイレーヌ・ネミロフスキー自身がモデルだと思っていた。
    しかし第二次大戦が勃発しパリに侵攻したナチスによりユダヤ人だったイレーヌは1942年にアウシュヴィッツに送られ、1ヶ月後に処刑された。続いてパリを離れていた夫も捕えられ収容所で殺される。

    ここに登場するミシェルは純粋なフランス人でブルーノ中尉を愛するが暴虐の限りを尽くすナチスを嫌悪し、ドイツ軍将校を殺害してゲリラに加わるブノワを隠まいパリへの逃亡を助ける。

    ブルーノ中尉と親しく便宜を図って貰っていることから町の人たちから「NATIS WHORE」(ドイツ売女め!)と罵られる中、ブノワをトランクに隠してパリへ向かう終盤の先に更なら難題が残っている。大団円の盛り上がりは尋常でない。

    残されたイレーヌ・ネミロフスキーの娘2人は逃亡の間も母の形見のトランクを大切に保管したが、そこに入っているノートを母の日記であると思い込み、辛い思い出に向き合うことを恐れ、読まないまま長い年月を過ごした。
    それが小説であることに気づいたときには、作者の死後、60年以上がたっていた。疎開生活中に、小さな手書きの文字で綴られた「フランス組曲」は、2004年に出版されるや大反響を巻き起こし、全世界350万部を超えるベストセラーになる。その5部作の最初の2部が映画化されたのだ。
    だからナレーションでブルーノ中尉は死んだこと、パリに辿りついた重傷のブノワは間もなく傷がもとで亡くなるとナレーションが入るが「尻切れトンボ」の感覚を引きづったまま映画は終わる。

    監督は、アカデミー賞受賞作品[ある公爵夫人の生涯](THE DUTCHES)のソウル・ディブ。何度も見たような戦争中の敵味方のロマンスを手際良く、泣けるようなストーリーを甘いピアノ曲に乗せて展開する。
    主演は「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズ、相手役に「君と歩く世界」のマティアス・スーナールツら美男美女の演技派でドラマをしっかりと見せる。最近この手の泣けるロマンスが無かったので堪能できる映画だった。

    1月8日よりTOHOシネマズシャンテ他で公開される。

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    この映画を見る前に背景を学んでおく必要がある。
    先ず主人公ディーパンはタミル人で反政府武装組織の兵士だったが戦争に嫌気がさし脱走していた。
    政府軍と反政府武装組織「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)の間での内戦は26年間で7万人以上の犠牲者を出したが6年前の2009年に終結した。この映画は内戦中の物語だ。

    ディーパンに扮するジーザセイザン・アントニーセイザン自身、1980年代後半に少年兵とし反政府組織LTTE(Liberation Tiger of Tamil Eelam)に属し戦っていたが組織を抜けパリに移住。現在は著名な小説家でありエッセイストで映画にもこのように俳優として出演している。ただ主演はこの映画が始めてだ。

    スリランカ民主社会主義共和国は、シンハラ人(74%、主に仏教)やタミル人(18%、主にヒンドゥー教)、スリランカ・ムーア人など約2,000万人が住む多民族国家だが、シンハラ人とタミル人は宗教の違いから対立していた。

    シンハラ人は、紀元前483年に北インドから上陸したアーリア系(インド・ヨーロッパ語族)の民族。タミル人は、主に南インドに住むドラヴィダ系(ドラヴィダ語族)の民族で、紀元前2世紀中頃にセイロン島北部に到来したり、英国植民地時代に紅茶などのプランテーション労働者として強制移住させられ定住するようになった。
    公用語はシンハラ語とタミル語だが、両民族間をつなぐ言葉として英語が使われている。昔「セイロン」と呼ばれていたが「スリランカ」とは、シンハラ語で「光輝く島」という意味だ。


    反政府組織「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)の一兵士であった主人公・ディーパン(ジーザセイザン・アントニーセイザン)は自分の妻子は殺害されてフランスへの亡命を決意。全く知らない他人で既に死んでいる「ディーパン」のパスポートを取得し、難民申請手続きに通過しやすいようにとその場で出会った見知らぬ女性ヤリニ(キャラリースウェリ・スリニヴェイサン)と9歳の女の子・イラヤール(クラウディーン・ヴィナシーサンビー)を連れて行くことにする。

    こうしてパリ北東部郊外団地で3人の「家族生活」が始まった。ディーパンは団地管理人の仕事に就き、「一家」3人は細々と暮らすことになる。
    「一家」はいつしか心を通わせ地域にも溶け込み始めるが、団地内の一角は麻薬取引の温床でありマフィアたちの巣窟となっている。

    そこにたむろするギャングや売人たちの存在、そして、彼らの暴力的で破壊的な言動はディーパンがかつて戦場で負った心の傷を、トラウマを次第に広げていく。
    ところが移民や貧困層の集まる郊外の団地で起こる様々な問題は、かつて兵士であったディーパンの心の傷をよみがえらせる。

    元兵士だけあってギャング団との死闘は鮮やかに切り抜ける。そのアクションシーンは楽しめる。
    「バンリュー」と呼ばれるパリ郊外で暮らすスリランカ出身のタミル人移民を描き、EU諸国では大きな社会問題となっている移民問題、郊外問題に正面から切りこんだ力作と評価されている。言葉の壁、文化や習慣の溝、貧富や階級の差など越えなければならないバリアは大きい。

    「ディーパン」は第68回(2015年)カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で最高賞のパルム・ドールを受賞した。オーディアール監督にとってコンペティション部門出品作品は「預言者」「君と歩く世界」に続く3作目だが、パルム・ドール受賞は初となる。

    大賞授与はコーエン兄弟ら審査委員の全員一致で決まったが発表した途端、批評家やメディア、観客からブーイングの嵐で授賞式は荒れ模様になったと言う。僕もブーイングに与する。ぎこちないプロットやギャング団の抗争の後突如としてパリからロンドンでの平和な一家での描写は呆気に取られるのは事実だ。

    「ディーパン」は、「君と歩く世界」「真夜中のピアニスト」「預言者」などのジャック・オーディアール監督の最新作。

    主演のタミル人(フランス国籍取得)ジーザセイザン・アントニーセイザンは自分のキャリアと同一の軌道も多いためか演技がリアルで板についている。口髭と顎鬚が濃く乱れた髪の下に光る目は鋭い。これからも映画界で生きていけるだけの芝居を見せてくれる。

    ディーパンの妻ヤリニとなるキャラリースウェリ・スリニヴェイサン、偽装夫婦だけに部屋で踊るダンスもギコチ無い。団地内で老人の介護を引き受けるがハビブ老人の部屋は荒れ放題。団地の住人は似たりよったり。そんな折に老人と同居する若者ブラヒム(ヴィンセント・ロッティアス)出会い心時めかす。ブラヒムは団地に巣食う悪い奴なのだ。スリニヴェイサンはインドの舞台女優で映画は始めてだがしっかりした演技をしている。

    彼らの娘に扮するクラウディーン・ヴィナシーサンビーは学校に馴染めず情緒的に不安定な少女を好演している。

    賛否両論の映画でパルム・ドールに相応しいかどうかは別としていかにもジャック・オーディアール監督らしいジャンル映画。
    あまりヒットしないことは確かだが見て損は無い。

    2016年新春TOHOシネマズシャンテ他で公開される

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    今朝(12日)は朝早く(10時上映)から築地の東劇まで足を運んだ。
    驚いたことに座席の半分近くが埋まっている。老人が多いがこれだけ良質の素材を揃えた作品を映画ファンは見逃す訳が無い。

    何しろ藤沢周平の短編を原作として文化勲章受章の大スター仲代達矢が主演し、「最後の忠臣蔵」の杉田成道監督による時代劇と銘打たれたら見に行かざるを得ないじゃないですか。
    だが何で1週間だけの朝10時から1回興行なのか映画館の受付で聞いてみた。
    実はこの映画は既に日本の有料TV「スカパー!」で10月31日放映したものを限定で公開しているのだからと言う。

    そう言えば、アメリカのタイム・ワーナーはHBOと映画専門チャンネル「Cinemax」を運営しており、契約世帯は2011年で約2800万世帯]。 ケーブルテレビの基本料金とは別に月額10ドル~15ドルの視聴料を支払うことで視聴可能となる。
    「Cinemax」は映画を制作し有料放送で流してから映画館で上映する。

    日本でも同じ方式がある。WOWOWはお馴染みだが、この映画のようにスカパー!と時代劇専門チャンネル、BSフジが協力して4作の新オリジナル時代劇「藤沢周平 新ドラマシリーズ」4部作を制作したと。
    「果し合い」はその第一弾だ。
    第二弾からは時代劇専門チャンネルで、壇れい主演「遅いしあわせ」は11月23日、中村梅雀主演「冬の日」は12月6日、最後第4弾は北大路欣也の「三屋左衛門残日録」は年が明けた新春放映予定となっている。

    江戸時代。過去のある出来事が(これが何だったか後半になって明らかになるが)で、兄が家督を継いだ庄司家の厄介になっている部屋住みの老武士・庄司佐之助(仲代達矢)。
    足を引きずりながら食欲は旺盛、義姉(原田美枝子)から「大きなネズミが米櫃を空っぽにしている」とあからさまな嫌味も気にしない。

    囲碁の名人でヘボな住職や隠居相手に3局を指し1勝1敗から3局目は勝って「指南料」と称して小遣い稼ぎに余念が無い。
    そんな部屋住みである彼を疎ましく思う家族だったが、甥(益岡徹)の娘・美也(桜庭ななみ)だけは「おおおじ」と呼んで佐之助の話し相手をし、身の回りの面倒をみていた。

    ある日、佐之助は美也から、思いを寄せる相手がいるのにもかかわらず、父の上役から持ち込まれた結婚相手を両親に決められそうで悩んでいることを打ち明けられる。

    結局、両親が持ち込んだ縁談を断る美也だったが、怒った相手は美也が慕う男に果し合いを申し込む。相手は420石大身の次男坊、剣術は師範代を勤める手だれ。到底勝ち味は無い。生き延びたたら駆け落ちしようと言う約束も空手形に終わりそう。
    それを聞いた佐之助は、美也の窮地を救うため身を捨てる覚悟で刀を手にする。70を過ぎ足の不自由で身体能力が衰えた老人が助っ人に入って相手を倒せるか?

    藤沢周平作品は「たそがれ清兵衛」を始め多くの佳作を生み出した山田洋次を別格として、何人もの監督が挑戦している。篠原哲雄(「山桜」「小川の辺」)平山秀幸(必殺剣,鳥刺し)黒土三男(蝉しぐれ)など。黒土三男が一番酷いと思っていたがこの杉田成道の演出が一番で気が悪い。

     「北の国から」などフジTVの看板ディレクター上がりながら「優駿」や「最後の忠臣蔵」でしっかりした作品を送り出しているのに「果たし状」は手を抜いたか主人公のように老いて痴呆になったかと思うような出来栄えだ。もう72歳なら無理もないか。

     先ず大音量のBGMは何だ!それも詰まらない「グリーンスリーブス」をピアノと弦楽器で流し続ける。伝統的なイングランドの民謡で、ロマネスカと呼ばれる固執低音の旋律は繰り返されるとイラつく。時代劇だと思い出したように能の鼓と掛け声。バカみたい。

    若き日の佐之助は許婚に横恋慕する男と果たし合をしたことから人生が挫折する。許婚の織江が駆け落ちしようと約束するのを断り、織江は心の病で1年後に死ぬ。農家の娘ミチを妾に貰うが生まれる赤子は部屋住みでは育てられず間引き、後悔に満ちた人生を送った佐之助は、美也の窮地を救うことで自分自身の救済もし人生のケジメをつけようとする。

    ストーリーは良いが盛り上がらない。若き日のフラッシュバックがぎこちなくお粗末。それに最後に美也に横恋慕の剣術自慢の男を倒す居合いに迫力が無い。アクション監督も居ないので殺陣のシーンが盛り上がらない。

    脚本を「春との旅」の小林政広になんか書かしたのが間違い。あの映画でも仲代は活きていなかった。音楽を「蜩ノ記」の加古隆が担当するが前述のように滅茶苦茶。

    共演の「最後の忠臣蔵」の桜庭ななみは可憐で良かった。「脇役物語」の益岡徹の甥も悪くない、「愛を乞うひと」の原田美枝子は意地悪オバサンを好演している。役者が揃っているのにスタッフ陣がだらしないの一言。

    築地・東劇にて限定1週間の公開中。

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     畑野智美の「感情8号線」(祥伝社:2015年10月刊)は「環状8号線」の文字通りで沿線に住む夫々の人物を中心に「輪舞」のように繋がっている。荻窪に住む女優を目指す劇団員の真希はバイト仲間に片想い。八幡山のアパートで同棲相手のエリート社員は暴力(DV)男だった。千歳船橋の亜美は新婚ホヤホヤなのに何故か落ち着かない。そんな時に元彼に出会う。二子玉川の多摩川に面した高級マンションに暮らす専業主婦の芙美は誠実な夫が浮気をしているのを知ってしまう。上野毛在中の里奈は美人で25歳。仕事も順調だが上司との不倫も終わり恋愛も空回り。田園調布の麻夕は親が用意した政略結婚で相手も決まっているが仕事仲間で芝居をやっている男が忘れられない。

    畑野智美は36歳。「国道沿いのファミレス」で小説すばる新人賞を受賞したばかり。これと言った小説は未だ無い。各主人公とも何れも畑野の女性の視点から描かれていてイキイキと浮かび上がって来る。
    セックス描写も凄い。上野毛の中西里奈はたまたま誘われて見に行った芝居の打ち上げで受付をしていた若いイケメンの男の子とラブホへしけこむ。後ろから攻められて声が出る程良い。ラブホへ入る前に未成年では無いよねと言ったら去年の暮に成人になったと運転免許書を見せる。
    終電も無くなるし帰ろうとすると触られて抵抗できなくなり、股間に顔を埋めて舐められる。もう少しと言うところで「里奈さんのテクニックも見せて」「やだ」といいつつ目の前に差し出された股間に顔を埋めて咥える。下半身が震えている。早く入れたい。
     延々と続く描写はかなりリアルだ。朝までして名前も聞かずに別れる。

    女性のセックス描写は当然のことながら女性の感性、女性の感じるポイントをつくから興味がある。
    大した小説では無いが興味深く読んだ。

    劇団ピチチ5(クインテット)を主宰して数々のユニークな芝居を送り出し「演劇界の鬼才」と呼ばれる福原充則。
    その舞台を映画化した福原の初監督作品。

     1幕ものの舞台だけに動きは制限されており、セリフの面白さがだけが命。個性的な登場人物が次々と現れ自分の主張を論理的に述べるセリフには笑わされる。
    どこかの都市郊外の住宅街。カレー屋の開店を明日に控えた妻・あさこ(黒川芽以)と夫(野間口徹)が、幸せいっぱいに準備をしていた。二人は結婚して暫く経つが出版業界に勤めていた夫はあさこと一緒に居る時間を増やそうと15年勤続の会社を辞めて念願のカレー屋を開こうとするもの。

     「ねえー、どっちの食器が良いと思う?」カレーを盛り付ける皿を陶器とシルバーと両方見せてあさこに選ばせる優しい夫。(明日開店だろ、今頃食器の選択やっているかよ!と、言う非現実的なものには目を瞑らなければならないが、瞑る場面はいくつもある。小劇場の芝居だね)
    夫の大学の後輩(川合正悟)が椅子の脚を調整するために次々と切って行き短足の椅子が出来上がる。(こんなギャグは珍しくもない)デブと決め付ける先輩に対して「個人的には人生で一番体重が減っていてデブじゃない状態だ」と。

     そんな中、ウェイター志望の「オレ様調の」バイト応募者(今野浩喜)が面接を受ける。雇い主の夫のことばかり聞いて自分のことは語らない。自分は年季の入ったベテランのフリーターで「オレ様に任せなさい」。あさこが出てきて「いいじゃない、今から働いてよ」でチョン。

     カートンボックス3箱に詰めた「レトルトカレー」をカレー屋の開店祝いに持ってきた若者、どうもあさこと訳ありのストーカー(栩原楽人)だ。近所の人たちが騒ぎを聞きつけ通りに出てくる。カレー屋といいながら「レトルトカレー屋」の評判が立ったら大変だとカートンを慌てて隠す。

     ヤクザ兼業の中年の不動産屋(永島敏行)が嫌に慣れ慣れしくあさこに近寄る。
    開店準備中のカレー屋に次々と現れる奇人変人たち。

    どうもその理由はあさこにあった。ストーカー男は1年前まであさこと親密な関係にあった。しかも「童貞も捧げたのはあさこさん」
    ヤクザな不動産はこの数ヶ月の関係らしい。あなたと一緒になるとは言ってないわよ」とあさこは言うが「上の口ではそう言ったが下の口では受け入れていた」。そのためにヤクザはボストンバッグから血のついた1億円をつかみ出す。「お前のために人を刺した」と。

     亭主は自分だけだと思っていたのに妻がこんなに「ヤリマン」だと知って驚く。
    遊びで男を上に乗せたと非難するが、あさこはその時その時は本気のセックスで一度だって「遊びのセックスは無い」と断言するから浮気された真面目な亭主は立つ瀬が無い。

     あさこを巡って店内大乱闘。屋根へ避難した後輩は「前からあさこさんが好きだった」とコクる。「減るもんじゃないから」せめてここで一発と迫りキスをする。

    ここで「世界中を幸せにするため」と「愛の救世主・あさこ」が立ち上がる。「私が愛を撒き散らし世の中丸ごと幸せにしてみせる」
    会社へ行く途中のサラリーマン、土手をジョッギングする運動選手にキスの嵐。追いついた夫が棒を持ちあさこは廃車のオートバイのサドルで一騎打ち。勝ったあさこは走るバスを止め中の乗客にセックスサービス。
    「愛を語れば変態ですか」と自分の正当性、救世主振りをアピールする。

    舞台では出来ないが映画ではせめてあさこは全裸で走りまわるのかと思ったらワンピースの下に黒のレオタードでがっちり保護された姿形はあまりセクシーではない。

     ただこの手のハチャメチャでロジカルなコメディは福原充則の独特な世界ですっかり堪能する。
    可愛い28歳の黒川芽衣もジャンルの違った舞台俳優やお笑いと一緒にアンサンブルを生み出しているのは福原の演出力だろう。
     あさこ一筋の真面目な夫役、野間口徹が好演。
    福原といつも組んでいるからアンサンブルのキーを務める。

    登場人物各自のユニークな理屈を聞いていると頭がおかしくなるから1時間半を切る長さも丁度良い。笑い転げてすっかり満足。

    11月28日より新宿ピカデリー他で公開される。

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     昨日(13日)東京都内で「東和ピクチャーズ」の星野智彦社長が記者会見し10月に設立された東宝東和の子会社としてハリウッドのメジャースタジオ・パラマウントのマーケティング&配給を行うことになるが、同社の設立報告と今後の抱負を語った。

    「とにかくパラマウントの映画を当てていきたい」と。当たり前のことを言うが、業界最下位だったユニバーサルを引き受けてメロメロ状態だったが、「ワイルドスピード」シリーズの大ヒット以来出る作品が悉く当たり「他力本願」で東宝東和のユニバーサル部門は累積赤字を解消するどころか昨年以来大躍進を遂げている。

    ハリウッドのパラマウントからも発破をかけられPPJでは「ターミネーター」に続き「ミッション・インポシブル」も大ヒットとなり「さあこれからだ」と社員一同張り切っている最中に、社員に知らせず頭越しに東宝東和の星野社長とPP海外配給&MKT担当共同社長Mark Vianeがメルローズのハリウッドスタジオ本社で直接交渉し「東宝東和とパラマウントはPPの映画を日本で配給する」ことを契約した.
    契約には東宝東和松岡会長もPP・CEOブラッド・グレイも立ち会っていない、Not a big deal。東宝東和とパラマウントはPPの映画を日本で配給することを契約した.

    「晴天の霹靂」に打たれたPPJ社員一同呆気にとられている状態での再活だ。虎ノ門・城山トラストタワー6階のオフィスは60名いた社員も串の歯が抜けたようにガラガラ。社公認で仕事を抜け出し再就職活動に励んでいるが、映画業界は好景気とも言えず、メジャーからインディやPR会社への格下げ転進も自尊心が許さず苦しい再活状況だ。

    「東和ピクチャーズ」の星野社長はTOHOシネマズの#2・常務取締役で東宝東和の社長を兼務しているから現場の仕事はしない。従来のPPJ岡崎社長や星野MKT部長など社員全員は1月まで業務を続けるが2月から「東和ピクチャーズ」に完全に引き継ぐ。

    2007年にUIPから分離独立したPPJはこの8年間、どうにか岡崎社長(前WD)&星野MKT部長(前GAGA)コンビでマネージして頑張って来たがもはやこれまでだ。
    2016年2月1日よりで新生「東和ピクチャーズ」の配給する最初の映画はクリスチャン・ベイル主演スィーブ・カレル、ブラッド・ピット共演の「ザ・ビッグ・ショット」からだ。
    興行成績は作品次第と言うユニバーサルとの成功を体験した東宝東和は、PPJからスタッフを引き継がない。自前の社員たちの手腕やお手並みは果たしてどんなものだろうか?


    さて今日の映画「母と暮らせば」はタイトルから黒木和夫監督の「父と暮らせば」(2004年)を思い出す。
    広島原爆で生き残った主人公福吉美津江(宮沢りえ)の前に、死んだ筈の父・竹造(原田芳雄)が現れる。美津江は絶えず自分だけ生き残ったことを死んだ人たちへ申し訳なく思い恥じている。
    そんな美津江が勤める図書館で原爆の資料を集める木下 正(浅野忠信)と出会い生まれるロマンスも否定的だ。

     原爆被災地の広島と長崎。死んだ筈の広島での父親と長崎での息子。生きている広島での娘と長崎での母親。
    順列組合せみたいだが面白いことに両方の映画でロマンスの相手を演じるのが浅野忠信だ。
    しかし比べて見ると映画としての迫力や感動は「父と暮らせば」が優れており監督の力量は黒木和夫の方が山田洋次より上だと言うことだ。

     映画の直ぐ後で死んだ原田芳雄の芝居が優れていたのではないだろうかと僕は思う。
    吉永小百合は人気は高く大スターだが演技は下手だ。

     原作は井上ひさしと明記していないが、晩年に構想していた「ヒロシマ」「ナガサキ」「沖縄」をテーマにした「戦後命の三部作」の意思を山田が引き継ぎ、「ナガサキ」をテーマに制作された。
    だからエンドクレジットで井上ひさしへ感謝の献辞がされている。

    「ヒロシマ」が舞台である井上の戯曲「父と暮せば」と対にして「ナガサキ」が舞台となっている。

     冒頭はB29のコックピット。1945年8月9日の朝は雲が立ち込め目標の小倉は目視できない。命令はレーダー攻撃は不可、目視して原爆を投下せよ。
    第二目標の長崎も70%は雲で覆われていた。突如雲の切れ目が出来、長崎市内が眺望できる。搭乗員3人はコックピットでシルエットになり「悪魔の使者」のイメージを強烈に刻む。

    郊外の住宅で助産婦をしている伸子(吉永)は朝御飯を急がせ長崎医大に通う次男の浩二(二宮和也)を送り出す。
    長男はフィリピンのジャングルで戦死した。死んだその日に痩せ細ったボロボロの長男が母・伸子の夢枕に現れ別れを告げた。
    満員の市街電車に掴まり通学する浩二。

    朝一限の授業は川上教授(橋爪功)の解剖学。人間の心臓はその人のこぶし大、ほぼ300グラム。浩二は川上教授が好きだ。家にも度々訪ね川上の母校、熊本の五高寮歌「武夫原頭に草萌えて」は浩二の愛唱歌にもなっている。

     教室は太陽が照りつけ窓を開け放しても暑い。太陽の光の向こうにB29の爆音、と思った瞬間強烈な光が長崎医大を襲う。教授学生職員800人は一瞬で命を失う。
     
     それから3年、悲しい伸子の慰めは浩二の恋人だった小学校教諭の町子(黒木華)が訪ねて来てお線香を上げ浩二の話題に花を咲かせることだ。
    今日は1948年8月9日、3年目の祥月命日だ。長崎市街を湾を隔てて見下ろす墓地で戦死した父親や長男と一緒に祀られる次男浩二の冥福を祈る。医大に通えば召集も受けず命永らえると思ったのが原爆で狂ってしまった。
     墓場の参拝の人たちの多くは同じ日の命日でアメリカの非人道的な原爆攻撃に腹を立てている。
    だが山田監督はこの話題は一言のみで深耕しない。
     反米、反核は前面に出さない。

    その日の夜、3年前に原爆で死んだはずの息子・浩二が現れる。長男の例があるので伸子が驚かない。二人は積もる話しに花を咲かせる。最近見た映画のこと(浩二は券を買わずに入場できると自慢する)親戚知人のこと、川上教授は生き延びたが原爆症で亡くなったこと。
    2人の話題は浩二の恋人・「町子の幸せ」になって行く。
    町子玉子やお餅などを伸子に届けながら、その話になると「私は一生浩二さんの妻で他の人とは結婚しません」と言い張る。

    毎晩現れる浩二と伸子の話題は尽きない。しかし最後は町子の幸せについて、そんな幸せな母子の時間は永遠に続くと思われた。


    山田洋次監督と「男はつらいよ」シリーズ「母べえ」「おとうと」などで何度も組んだ吉永小百合。
    長年組んでいると互いに限界を知るのか84歳の山田と古希(70歳)を過ぎた吉永の間にスパークは飛び散らない。

    息子・浩二役の二宮和也が山田洋次の下で始めて芝居をする。こちらは火花が飛ぶ、浩二と言う純朴で素直なお母さん子を好演する。
    「小さいおうち」でベルリン国際映画祭銀獅子賞(女優賞)を受賞した黒木華が町子に扮して張り切る。

    トリビアを一つ二つ。出てくる教会は、黒崎教会は、明治30年(1897年)に、ド・ロ神父の指導により敷地が造成され、大正9年(1920年)に完成したカトリック教会。ステンドグラス一枚の質素なもので、聖堂は信徒が奉仕と犠牲の証として積み上げたレンガで造られている。告別式で歌われる賛美歌も「主よ、御許にちーかずかん~」なんてポピュラーなものでなくてホッとする。

    長崎医大の川上教授は熊本の五高出身、いつしか五高歌が浩二の愛唱歌になり何度も映画の中で歌われる。第五高等学校寮歌「武夫原頭に草萌えて 花の香甘く夢に入り」とバンカラが売り物の寮歌が多い中で甘いメロディと歌詞は特異なもの。特に二宮が喉を響かせる歌声は何度も画面に現れて印象深い。

    この作品は山田洋次 監督の83作品目で次の「家族はつらいよ」(3月12日公開)が84作目で山田監督のエージ・シューティングだ。

    12月12日より丸の内ピカデリー他で公開される。

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    昨日(14日)の雨の中にも関わらず京橋のフィルムセンターの大ホールはほぼ満員の盛況。志村喬・生誕110周年を記念して特集が組まれている。

    1934年、29歳の時に新興キネマ京都撮影所に入社し芸達者な時代劇の脇役として活躍するがそれ以上には認められていなかった。

    1943年東宝入社が切掛けとなり黒澤明監督と出会い「酔いどれ天使」(48年)以来三船敏郎とともに黒澤作品の看板スターとなる。
    黒澤作品30本の内21本に出演している。

    生涯400本以上(信じられない数だ)に出演し、二枚目でも三枚目でもない人間味と朴訥さのキャラクターを演じるのが志村の持ち味。

     僕は志村の作品はかなり見ている積りだったがこの映画は見ていない。暴君の野球監督に扮する丸山誠治監督の60年前、1955年作品は今見ても時代の古さを感じない。
    脚本は「不滅の熱球」で野球に詳しい菊島隆三が書き卸し、「君死に給うことなかれ」の丸山誠治が監督。

     出演者は主演の志村喬の他に、あの三船敏郎が脇で支え、「浮雲」の岡田芙莉子、その頃は新人の藤木悠のほか、ベテラン夏川静江、清永将天など岡田を除いて鬼籍に入って人ばかり。御大、加東大介が新聞記者でワンシーンに少しだけ顔を出す。

     試合場面には中日ドラゴンス・ダイアモンズ(当時の中日二軍)選手が出場していて様にはなっているが、今のように特殊効果(VFX)が使えないから期待の新人大西の左腕から繰り出す速球は山なりのスローボール。野球場は名古屋の中日球場。

     プロ野球「TOKYOスパローズ」(国鉄スワローズを頭に置いているのだろうか)の監督・島村(志村)は51歳、18年も監督を務め、選手時代を含め生涯野球一筋の男だった。

     映画の冒頭、小学2年の息子照男(伊東隆)はトイレの前で我慢して立っている。島村は毎朝しゃがみながら、その日の作戦を練るからトイレは中々使えない。  母親(夏川)が「あら、またー」と言ってお隣の裏からトイレ貸してくださいと声をかける。お馴染みらしく「どうぞどうぞ」と返事があるのが面白い。
    今は子役にスポットが当たり上手な子どもが多いがこの伊東隆の下手なこと。泣くシーンなんか丸山監督がよくOKを出したものだ。

     トイレから出て計算尺と算盤で勝率を計算する。計算尺なんて今の若い人は知らないだろう。

     年を取ってから生まれた「恥かきっこ」小学2年の息子照男(伊東)を可愛がらず、42歳の妻(夏川)が気を配って家族を纏める。
    息子のPTAにも顔を出したことも無く、相談をしても野球のことしか頭に無い。だから島村は家族から孤立し犬のコロしか相手になってくれない。

    ある日家族にも相談せず、新人投手大西(藤木悠)を我が家の二階に同居させる。180センチ、フェンシングで鍛えた藤木は野球選手の雰囲気を出す。

     家をかえりみない島村に引きかえ、大西は親切で人懐っこく、島村の子供たちと親しくなり、やがて同年輩の娘のみち子(岡田茉利子)と親しくなる。
    島村は娘に何かあったらと、そのことばかり気になり二人が親密になることを許さない。
    この頃の岡田は大きな瞳を光らせ輝くばかりに美しい。藤木もスリムで背の高い好青年役を楽しんでいる。

     主将の矢野(三船敏郎)がいくら薦めても、大西はなかなか試合に出して貰えなかったが初めてピンチランナーとして出場したのが嬉しく、監督のサインを無視し投手の隙をついてホームスティールを敢行し、その1点で勝ちをえた。
    久しぶりの勝利に同僚は大喜び大西はヒーローとなるが、監督のサインに従わなかった大西を島村は詰問し口論の末にブン殴ってしまい即刻遠征から外してしまう。

     大西は素直に謝り「犬の面倒をみろ」と監督の命令通り家に戻り犬小屋を掃除し始める。
    これを知ったみち子は父に腹をたて、口論の末家出をした。
    主将の矢野(三船)は2人の真面目な愛情を知り、大西を自分の家に引取り、みち子は女友達の家に泊めて貰った。

     翌日の試合で、島村は塁審が落球しているのにアウトの判定に抗議し、興奮のあまり止めに入った主審(恩田清二郎)をなぐりつけた。
    ビデオ判定なんて無いから審判の判定は絶対だ、それを自分が正しいと殴ってしまうのだから無茶だ。
    島村は無期の出場停止を食う。

     その出場停止期間中に今まで家をかえりみなかったことを反省し、台所に棚を作り塀のペンキを塗り、犬の散歩をする。
     そして何年ぶりかで妻の希望で一緒に少女歌劇を見て、お好み焼きに立ちよってソースを付け鉄板で焼いて妻に食べさせる。初めてのことで妻は驚喜する。監督引退を仄めかすと妻は「野球一筋の貴方が好き」と。心温まる一言ではありませんか。

     お好み焼き屋から妻が家に電話を入れると娘から素晴らしい知らせが。
    コミッショナーから出場停止を解かれたことを知った島村は急いで九州福岡の遠征地にかけつける。野球が出来るとなると人が変わる島村を志村は熱演する。
    福岡で試合に勝って「炭坑節」で盛り上がる宴会の最中に妻の急死を知らせる電報がついた。

     帰京した島村は魂が抜けたように妻の霊前に座ったが、その心を知らぬ子供たちは、涙一つみせぬ父を憎んだ。

     葬儀の日も最終試合だと島村はゲームにのぞんだ。
    この試合に勝ちさえすればリーグの最下位を脱出できる。

     4対3のリードのうち9回裏スパローズの捕手が負傷した。
    島村は老躯にプロテクターとマスクをつけて捕手をつとめ老巧なプレイで見事な勝利をえた。
    盗塁を矢のような投球で刺し、バックネットスレスレのファウルボールを捕殺する。
    最下位を免れたばかりか4位になり、優勝したように胴上げされる島村。

    選手登録をしてない監督がキャッチャーを務めるなんてことが出来る訳が無いが、大目に見ることにする。

    そう言えば横浜DENAとの最下位争いを抜け出し5位になった中日ドラゴンズの選手兼捕手の谷繁元信のイメージと重なる。
    60年後のストーリーを丸山監督も脚本菊島も予言していたのか。
    このシーンがあるから白黒スタンダード画面の古い野球映画が新しく見えるので面白い。

    わきかえる喚声の中を、黙々と引きあげた島村は、控室で来年の再契約を申し出たオーナーの小池(藤原鎌足)に辞表を出した。「後は矢野に任せます」と。

    晩秋の陽ざしも淡い墓地で、島村は妻の墓標の前にひまずき、初めて声を上げて泣いた。

    この場面は流石菊島隆三の脚本、泣き所をしっかりと押さえている。
    木陰から墓前で父親の号泣する姿を見てみち子も照男も貰い泣きするシーンは盛り上がる。

    ハリウッドは野球映画を多々送り出しているが、日本映画では少ないと言うか殆ど記憶に無い。
    撮影も演出も未熟ながら野球一筋の頑固な男の生き様を見事に描いた作品で今見ても感動する。

    京橋フィルムセンターで志村喬特集として上映された。

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    宮部みゆきの「悲嘆の門」(毎日新聞社:2015年8月刊)「連続切断魔事件」と呼ばれるサイコキラーから始まるスリラーは興味を引かれた。
    宮部の初期の「火車」や「理由」「模倣犯」などですっかりファンになったが最近は異世界、パラレルワールドや妖し、怪物、モンスターなどが登場するのでやや興醒めをしていた。

    主人公は出来の悪い三流大学1年生・三島孝太郎。
    先輩の真岐誠吾に可愛がられ、彼とフィアンセの山科鮎子の経営するインター。ネット監視会社でサイバー・パトロールのアルバイトを始める。
    ネット上に存在する犯罪に結びつきそうな書き込みを発見する仕事なのだが、IT初心者でも簡単に始められるし、それに大学生活に熱が入らなかった孝太郎はこのパトロールに熱が入る。

     そんなある日、死体の一部を切り取る殺人事件が次々と発生。
    最初は死体の一部、足の指を切り取る「指ビル」だったが、後には指ばかりでなく脚を切断することから「切断魔」と呼ばれる連続殺人事件が勃発する。
    サイバー・パトロールにも熱が入る。

    さらに西武新宿線の沿線付近のホームレスがいつのまにか次々と姿を消していて、ホームレス狩りをする中高生のサイトをチェックしていた孝太郎の先輩・森永が、連続失踪事件ではないかと言い始めて調査を開始する。

    ところが、同僚で検索をしていた森永宗司までが失踪してしまう。
    行方を捜し始めた孝太郎は、バブル期に成金が建ててたが、その会社が倒産し廃虚となった円筒形の「茶筒ビル」に行きつき、そこで恐ろしいガーゴイルに似た怪物「ガラ」に遭遇する。ガラは背中に翼を持って空を飛ぶ女戦士、「闇の守護戦士」だ。

    三島孝太郎の先輩、真岐も山科も35歳と同年齢、二人とも魅力的な人柄で孝太郎は鮎子のモデル然としたスタイルの良さと美し顔立ちに忽ち恋に陥ちた。尊敬する先輩の彼女と言うことで心の中で封印する。
    その鮎子も名古屋本社から上京した夜に渋谷道玄坂で失踪、発見された時には手の指が10本とも切断されていた。連続切断魔に尊敬する鮎子が5人目の犠牲者となったと元刑事で引退した都築と必死で犯人捜査。迫力ある筆力でグイグイと物語は展開するが、守護戦士ガラが登場すると僕の興味は薄れる。

    孝太郎はガラの左目の透視力を借りて犯人を割り出す。真岐や山科たちの大学時代の同級生で、真岐に横恋慕して嫉妬から鮎子を殺し連続切断魔事件に似せた田代慶子の犯罪だった。ガラは大鎌で慶子の首を刎ねる。

    この辺りから魔界だの結界だの無名の地だの万書殿だの訳に分からないのが出て来るし、ガラの他に可愛い狼のユーリまで登場する。「悲嘆の門」は万書殿を守る門で大きなドラゴンが門を固めている。ガラと龍の死闘、勝っても今度は龍に代ってガラが悲嘆の門の番人になる。

    僕にとっては、こんな魔界の話なんて面白くも何ともない。
    今,日経の朝刊に連載している時代劇「迷いの旅籠」のも「あやかし」がとりつく話だ。
    宮部には初期の推理ものやスリラーに戻って欲しいと思う。


     「007 SPECTRE」と一緒に11月6日からアメリカで上映が始まったFOXとBlue Sky3のDアニメ「The Peanuts Movie」は3897館公開され45M(54.9億円)の好成績で第二位。
    先週末(13~15日)も007とコンビでワン・トゥ・フィニッシュ。館数は更に増え6201館で前週より42%ダウンながらの24.2M。アメリカでの10日間累積で82.5M(100.6億円)と

     言うまでもないがチャールズ・M・シュルツの有名なcomic stripに基ずく映画化。制作費は100M(122億円)「アイス・エイジ4」でデビューしたスティーブ・マーティノが監督をしている。チャールズ・M・シュルツは2000年に亡くなったが、息子・クレイグ・シュルツと孫のブライアン・シュルツが脚本を担当している。

     マンガが始まってから65周年、TVスペシャルから50周年の記念を祝っての映画化だ。
    若い世代はスヌーピーに必ずしも知っているとは限らないからスタジオのマーケティング、宣伝PRは一筋縄では行かない。

     年寄り世代も巻き込んで「ピーナッツと一緒に育った世代も再活性化してシリーズものにしたい」とFOX配給のチーフクリス・アーロンはスタジオの意向を語っている。
    観客の出口調査では最高のA評価、観客はファミリー層が70%、女性客は55%と半数を占める。男性向けアクション映画「007 SPECTRE」と観客を住み分けている。エスニック面でみればヒスパニックが26%と最多。

    赤い風船を追って空を飛ぶスヌーピーと言ういつもの単純なストーリーに常連のチャーリー・ブラウン、ルーシー、ライナスが顔を見せる。

    何をやっても上手く行かない不器用な少年チャーリー・ブラウンはドジばかり。凧を揚げれば木に引っかかるし、野球をやってもエラーばかりで勝ったためしが無い。遊び仲間のおせっかいで意地悪なルーシーや妹のチャッカリ屋で理屈ぽいサリーなどからからかわれっ放し。弟のライナスは賢い子だが指しゃぶりだけは止められない。ただチャーリー・ブラウンは親友のスヌーピーだけが頼り。そのスヌピーですらチャーリーの不甲斐なさにため息をついている。

    そんなチャーリー・ブラウンの日常に大事件が起こる。小学校のクラスに赤毛のキュートな女の子が転校してきた。一目惚れのチャーリー・ブラウン。話しかけようとするが勇気が湧かずスヌーピーに付き添ってもらい花束を持って彼女の家の玄関に立つが今一歩踏み出せない。

    スヌーピーには空を飛ぶ大きな夢がある。パイロットのフライングエースとなりパリの空に出撃し宿敵「レッド・バロン」を倒すミッションに燃えパリに着くとそこに可愛いパリジャンのフィフィに出会う。ロマンティックな空のデートでパリのエッフェル塔や凱旋門などの観光案内を観客にもサービスする。

     3D映写なので空撮は迫力があるし、こんなシーンを見ると昔のスヌーピーより進化しているのが分かる。

     映画はやはり子供向けで最後は赤い風船を追いかけるチャーリーブラウンで締めるが、それにしても10日間の公開で100億円を突破する好成績にシリーズ化は決定したようだ。日本でもアメリカでもアニメは強い。

    12月4日よりTOHOシネマズスカラ座他で公開

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     この映画は韓国や中国が大喜びする。
    日本人はかくも残酷で冷酷で非人間的な人種だと強調しているからだ。
    「反日」が旗色鮮明な作品だ。
    ブラッド・ピットのカミさんになったアンジェリーナ・ジョリーが監督しプロデユースしている。

     今年40歳のジョリーは女優としてはアカデミー助演女優賞を「17歳のカルテ」で獲得するなど成功し、人道主義に目覚め、カンボジアやヴェトナム、エチオピアの孤児を養子にするなど慈善活動に乗り出しUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使に任命されるなど幅広い活動をしている。そして社会的、人道的な運動を広めようと監督業に乗り出し「最愛の大地」でボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を背景とした血腥いロマンスを描いている。そしてこの「不屈の男」だ。

     刑務所長・渡辺伍長(後・軍曹)の執拗な苛め「日本帝国の敵!」と叫んでぶん殴る、竹刀で突く、鞭で叩く、ありもしない「南京大虐殺」や「慰安婦問題」で日本を責め立てる中国と韓国の喜ぶ顔が目に浮かぶ。

    ユニバーサルの制作で、日本では必ず東宝東和が配給することになっているのだが、この作品は「良識ある態度」でオクラにした。国民感情を考えれば当然の措置で東宝東和としては正しい道を選んだ。

    日本軍に捕虜をとられていたアメリカやオーストラリアではヒットして120億円以上の「ラスト・サムライ」をも凌ぐ興行成績を挙げたと聞く。

    オクラにしたなら何処でも手を挙げれば買える。
    「ビターズエンド」と言う主義も節操も無いインディの配給会社が早速購買して来年2月に渋谷のアート系劇場で公開することとなった。

    ユニバーサル映画制作には電通が協賛して制作費を提供しているが、マサカこんな反日映画だけに資金を出してはいないだろうと、エンドクレジットを見ていたら「In Association with Dentsu」と出ていたのにはのけ反った。
    電通は映画の内容もチェックしないで無暗矢鱈にそれもこんな「反日映画」に金を出すのか?
    来年の株主総会ではこの点を追求しよう。

    電通は2008年からユニバーサルに毎年50億円ずつ投資していて二次使用三次使用で元は取ったが、2013年「ワイルドスピード」以来万年最下位のスタジオが出す作品出す映画悉く当たり、何とメジャーでナンバー1になってしまった。おまけに3D、IMAX映画なので海賊版が流れない中国で大ヒット、今年の株主総会では僕の質問に待っていましたとばかり、ユニバーサルへの投資は素晴らしいリターンがあると担当役員が鼻をうごめかして回答した。

    しかしこれは金の問題じゃない、「売国奴映画」なんだ、こんなモンに資金を提供するかよ!とボクは怒り心頭に発している。

    アンジェリーナ・ジョリーが「最愛の大地」に続いて監督、第2次世界大戦で日本軍の捕虜となったオリンピック・アスリートルイ・ザンペリーニの半生を描いたドラマ。
    陸上競技の選手からB-24スーパーマン号の爆弾投下手となった主人公ルイ・ザンペリーニ(ジャック・オニール)が、エンジン不調で海上に墜落し漂流47日目に日本軍に救助されその後いくつかの捕虜収容所で虐待を耐え、生き抜く姿を描くもの。

     カリフォルニア・トーランスの田舎町。少年のザンペリーニは仲間たちからはDINO(イタ公)とバカにされ苛められる。イタリアは独日と枢軸国だったからでなく、移民として1900年初頭に入って来たイタリア人やアイルランド人は社会の底辺で貧しい労働者としてこき使われ先住民のWASP(アングロサクソンで新教の白人)たちから差別を受け苛めに会うのだ。

    ルイは運動神経と身体能力に優れ長距離ランナーとして頭角を現し全米陸上競技5000メートルで高校新記録を樹立し1936年のベルリン・オリンピックに出場する。出場しただけで入賞すらしなかったが最後の1周のラストスパートが記録に残るタイムだったというのが勲章だ。
    そのルイ・ザンペリーニ(ジャック・オコンネル)は、第2次世界大戦に空軍の爆撃手としてB-24に乗り込み南太平洋の戦地へ向かう。

     しかし、爆撃機が南太平洋上に不時着し3人の生き残った乗員、フィル(ドーナルド・グリーソン)やマック(フィン・ウィットロック)とともに47日間漂流する。かもめを捕まえ腹を割き食べると不味くて吐く様が笑える。魚は日本人みたいに「生」で食べるが美味い。サメと戦い台風の大波に弄ばれ,更に遭遇した日本軍爆撃機の機銃掃射を受けながらの漂流。マックは衰弱死をするが二人は生き延びて捕虜となり、クェゼリン島を経て東京の大森捕虜収容所に移送される。1940年の「東京オリンピック出場が夢だった」と語るルイにフィルは実現して東京に着いたじゃないかと冗談を言う。
    しかしザンペリーニを待ち受けたワタナベ伍長(MIYAVI)はオリンピック選手と言うのが気に食わない。最初の日から殴る蹴るは当たり前の非人道的な虐待が始まる。

     「不屈の男」はハリウッド大手のユニバーサル・ピクチャーズの作品。昨年全米公開され、アカデミー賞で3部門の候補になった。

    映画はこの実際の映像で幕を閉じる。
     人気俳優アンジェリーナ・ジョリーさんが監督した映画「アンブロークン」が、日本公開をめぐり揺れている。米国でヒットし50カ国以上で公開されながら日本では東宝東和がオクラにしたことで収まったかに見えた。

    旧日本軍の捕虜虐待を描いた内容に、ネットなどで「反日映画」とボイコット運動が起きている。
    「日本貶め映画」「事実無根」「どんどん抗議の声を上げていくべきだ」とフェイスブック上の「CHANGE.org」に不穏な言葉が躍る。
    アメリカのメディアに掲載された映画評でも、虐待場面の余りの長さから「意味のない拷問マラソン」(ニューヨーク・ポスト)や「中国で反日感情をあおる可能性も」(ロサンゼルス・タイムズ)といった指摘がある。
    僕の言いたいポイントはLA TIMESの突いているところだ。中国・韓国を図に乗せる。尖閣諸島も竹島も日本の領土ではない。南京大虐殺や慰安婦をどうしてくれる。靖国神社参拝は許さない。そこに繋がって行く。

     深読みすればアンジョリーナ・ジョリーはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使、UNHCRは国連の下部組織だ。あの朝鮮朝顔の潘基文(パン・ギムン)がトップの国連におもねっていまいか。次期韓国大統領を狙う潘基文は中国の抗日勝利70周年記念パレードに態々出席するなど「反日」を露にしている。ジョリーの映画に肩入れするのも頷ける。

    「FACEBOOK」では「アンジェリーナ・ジョリーの反日映画を阻止しよう!」と名付けられたページには1200人以上が参加し、連日、映画批判が投稿されたが映画を見ていない空論で迫力無く3月から4月頃には下火になった。

     ネットで調べると「史実を世界に発信する会」(東京)の茂木弘道事務局長は「映画は見ていないが、事実無根の思い込みや決めつけによる作品で、上映の必要はない。この映画こそ日本人性悪説に基づいた人種差別だ」と語る。
    同会は渡部昇一・上智大名誉教授やNHK経営委員の長谷川三千子さんらが顧問だ。
     
    ルイ・ザンペリーニの強靱な意志と寛容の精神に感銘を受けて映画化を決めたというジョリーは、複数の取材に対し「『反日映画』ではなく『許し』の物語だ。映画を見てもらえればわかる」と強調している。
    映画の終盤で直江津の捕虜収容所から解放され、郷土カリフォルニア・トーランスの地を踏んだザンペリーニは、その後キリスト教に帰依し牧師となって布教に励む。「リベンジを忘れ許すことこそキリストの教えだ」と言うくだりは確かに怒りを忘れて感動する。

    その後ルイ・ザンペリーニは昨年肺炎で97歳の生涯を閉じるまで「不屈の精神」で生きた。エンドクレジットで実物のルイが紹介される。ニュースリールで1998年の「長野オリンピック」で聖火ランナーとして長野市を走る姿はとても80歳とは思えない。

    主役のルイ・ザンペリーニを「名もなき塀の中の王」などのジャック・オコンネルが熱演する。イタリア系アメリカ人なのだからアイリッシュのオコンネルはミスキャストではないか。顔立ちからイタリア人とは思えない。
    肝心の渡辺鬼伍長は日本人ミュージシャンのMIYAVIが映画初出演。目に隈取りをして悪人相は浮き出ている。これが「売国奴」の顔なのだ。

    てっきり実在の渡辺はB・C級戦犯で処刑されたと思っていたら一旦拘置されるが28年の講和条約後に釈放されたと言う。どんな微罪でも捕虜虐待は戦犯で死刑になっている。あれだけの数の捕虜の証人がいながら釈放されたということは渡辺はそれほど酷い「虐待」をしていなかったと言う証左ではないか。

    時代考証でおかしなことがいくつか。下肥は戦中戦後を通して大切な肥料。僕の家にも農家の人が野菜を持って来て引き換えに下肥を運んで行った。河へ捨てるなんて考えられない。「オデッセイ」で火星に残されたマット・デイモンもヨハンセンのウンチを大切に土にばら撒く。

    乃南 アサ の小説「水曜日の凱歌」に大森捕虜収容所が出てくるが東京大空襲でも自国の捕虜が何処に居るかを突き止めてあり空襲はしなかったと言う。収容所が油脂焼夷弾で燃えるのも疑問だ。
     刑務所長を伍長や軍曹などの下士官が努める訳が無い。
    予備の将校が召集されて所長になる筈だ。

    脚本には「ノーカントリー」などのジョエル&イーサン・コーエン兄弟が書いている。



     映画を見ないで騒いでも意味が無い。しっかり鑑賞した上でオカシナ点や中韓に利する展開を指摘して反対運動を盛り上げなければならない。

    2016年2月渋谷シアターイメージ・フォーラムにて公開される。

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    重松清の描く悲しい重い人情話が好きで映画も見,小説も読んでいる。
    直木賞をとった短編集「ビタミンF」なんかに比べると他の作品の方がもっと良い。
    「あすなろ三三七拍子」「峠うどん物語」「また次の春へ」などに感動したが、中でも2010年に吉川英治文学賞を受賞したこの「十字架」が一番優れている。そして忠実に映画化されたこの作品も朴訥で不器用ながらドラマの本質を抉っている。

    つい先週も名古屋市の中学1年の男子生徒が「いじめを受けた」とする遺書を残し地下鉄に飛び込み自殺した問題が起きている。
    学校や教育委員会はすっかり慣れっこになって早速謝罪と事実調査を始めたがこの映画では校長も担任も抵抗してPTAや両親と対峙の姿勢を示すから問題は深みにはまる。

    東京に西の郊外の住宅地の中学校で2学期が始まったばかりの1989年(平成元年)9月4日、中学2年生の生徒が自宅の庭にある柿の木で首を吊って死んだ。

     問題は自殺したフジシュンこと藤井俊介(小柴亮太)の遺書だ。

    「僕はみなさんのいけにえになりました」と言う書き出しから「永遠にゆるさない。呪ってやる。地獄に落ちろ」と三島武大と根本晋哉との2人を挙げる。
    確かに酷い、を通り越している。殴る蹴るは当たり前、体育のマットでグルグル巻きにして放置、便所のトイレでパンツを脱がせて糞尿に漬ける。苛めにはもう一人お調子者で、よく嘘をつく堺翔平がいたが名前は記されていない。俊介がいなくなったら自分がいじめられるという恐れもあって次から次へとい苛めのアイデアを出していた。本当は堺が一番悪いかもしれない。

    感謝しているのはフジシュンの「親友のユウちゃん」にされてしまったサッカー部の真田祐(小出恵介)。「親友になってくれてありがとう」
    さらに憧れのテニス部のマドンナで、誕生日がフジシュンの命日になってしまったサユこと中川小百合(木村文乃)。「迷惑をおかけして、ごめんなさい。誕生日おめでとうございます。幸せになってください」と

    中学校の苛めの構造は一人の弱者に暴行を加える少数の加害者、そして多数の傍観者たち。
    映画の観客も自分が中学生だったら先生に「つげ口」や「苛めを止める」勇気も傍観者の一人になっていたと考える。そしてその代表者がユウとサユなのだ。

    この映画は傍観者の立場、主人公ユウの視点で描かれているので重い負担が観客にカブさって来る。
    そして「親友なら何故息子を見殺しにした!」とユウとマユを許そうとしない父親、藤井晴男(永瀬正敏)は責め立てる。勤めから帰宅して庭先の柿の木の枝にぶら下がっている俊介の遺体見つけ抱きしめて大声で叫ぶ。

    母親、澄子(富田靖子)は庭に膝まづき泣き叫ぶ。俊介は戻らない。
    「親友」と遺書に書かれたユウに母親は心から「感謝する」「シュンに優しくしてくれたのね」。小学校時代の二人は互いの家に行き来もし一緒にサッカーで遊んだ仲だが、苛めが始まってからユウは「何もしなかった」そして「見殺しにした」「それも罪ではないかと」父親に言われるまでも無く自分をさいなむ。

    子に先立たれた親の気持ちが母親は感情に流され泣き叫び、父親は加害者や学校への追及ばかりでなく傍観者たちへと向けられる。
     
    俊介の自殺後、クラス担任の富岡は「信じてたんだ、先生は」、「裏切られたよ」などと怒鳴り散らし、責任逃れをする富岡を真田は冷ややかに見つめた。校長も教師一同も必死で逃げまくる。

     マスコミの取材が殺到した告別式にはクラス全員で参列した。斎場のホールに設えられた焼香台で焼香を済ませた。その後、真田と中川の2人に遺体が安置されているホールの中に入って欲しいとの両親の意向が伝えられたが、中川は欠席していたため、真田だけが遺体に対面した。俊介の母親は「ありがとう、ありがとうね」などとうめき声を出しながら真田にしがみついた。

    俊介の弟の健介は泣きはらした目で真田をにらみつけた。俊介の父親・晴男は真田の胸ぐらをつかんで「親友だったら……なんで、助けなかった……」と真田に詰め寄る。

     葬儀の後父親は俊介の遺書をマスコミに公開し、週刊誌が「いけにえ自殺」と名付けた。マスコミの取材攻勢は日に日に激しさを増し、三島と根本の自宅は真夜中までTVカメラやフラッシュに囲まれ「死ね!」の落書きが壁に塀に階段に溢れる。

    同じ高校に進学した真田と中川は「サユ」「ユウくん」と呼び合う恋人同士になり、真田は都心の大学に、中川は郊外の大学に合格。2人とも、東京で一人暮らしを始めます。だがお互いに俊介のことにどう整理を付けたらよいのか分からずに、悩み続ける。思い「十字架」を背負って行かなくてはならないのだ。

    だが十字架を背負ってからの行動が、真田と中川がそれぞれ違ってくる。誕生日プレゼントの赤い貯金箱が祭壇に飾られているのを見て真田は愕然とする。

    父親は俊介をいじめ殺したことを永遠に忘れさせないために、中学の卒業式に俊介の遺影を持って乗り込んで来る。真田らを永遠に許さないと。永瀬正敏の熱演の怨念がこの映画の牽引力だ。庭の柿の木を切り倒すシーンには殺気を感じる。

    主人公・真田祐を演じる小出慶介は好演しているが中学時代のフジシュンとの会話が違和感を覚える。小出は31歳、俊介の小柴亮太は15歳でこちらは日年齢だが小出はオッさんだ。サユの木村文乃の28歳もやはりオバさんだな。中学時代は別の役者に変えた方が良かったかも。

    「地雷を踏んだらサヨウナラ」「長州ファイブ」など社会派ドラマが得意な五十嵐匠が監督と脚本。
    「十字架」を背負った真田祐と中川小百合、息子を失ったフジシュンの両親の20年間の軌跡を描いた「重いオモーイ」映画で見終わった後は脱力感すら覚える。と言うことは映画が良く出来ていると言うことか。

    2月より有楽町スバル座にて公開される。

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     韓国ほど「顔の美醜」を問題にする国は無い。だから美容整形外科医は引っ張りだこ。JK(女子高生)は卒業するまでに8割は美容整形の手術を受けているという。

     そんな韓国だからこそ朝起きる度に顔が変わっている主人公の話は受ける。
    英語で「Take one at one’s face value」と言う表現がある。「額面通りで受け取る」や「顔の美醜でその人の価値を決める」の意。

     この映画の原案は上記のテーマを基に2013年のカンヌ・ライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルで三冠を獲得したドレイク・ドレムス監督の同名「THE BEAUTY INSIDE」の40分のソーシアル・フィルム。
    広告主は東芝とインテル。主人公アレックスが毎朝異なる人物に生まれ変わり色んな人とめぐり合う。
    登場人物は13カ国のフェイスブック利用者がオーディションに応募し物語りの展開に寄与している。

    映画「ビューティー・インサイド」はソーシアル・フィルムをフィクションにして主人公ウジンとウジンの愛する女性イス(ハン・ヒョジュ)のロマンスに変えてしまう。

    映画の冒頭、昨晩連れ込んだ女性の傍らで目が覚めるウジン。鏡を見るとデブで腹が出ている。昨日のウジンと様変わり。ズボンも上までチャックがかけられない。幸いサスペンダーだからずり落ちることは無い。とるものとりあえず相方が目を覚ます前にホテルの部屋を抜け出す。

    18歳の時から寝て起きる度に全く違う人物に変わってしまう現象が起きるウジン。年齢や性別だけでない、男、女、老人、幼児、外国人、ありとあらゆる人になってしまう。
    毎日が違う人だから他人と顔を合わせる商売は出来ない。デザイナーとしての才能を活かしインターネットを通して家具デザイナーとしての活躍をしている。ウジンのカメレオン的病気を知っているのは親友のサンベク(イ・ドンフィ)と母親(ムン・スク)だけだ。父親がウジンと同じ「病気」で消えたので息子の悩みや恋人との関係に気を配ってくれる。

    映画紹介は主人公の名前とカッコ内に演じる俳優の名前を入れるがこの映画だけはそうは行かない。何しろウジンを演じるのは123人も居るのだから。日本からも女優、上野樹里がある日のウジンを演じている。他にウジン役はパク・ソジュン、パク・シネ、ソ・ガンジュン、チョ・ダルファン、ユ・ヨンソク、イ・ボムス、イ・ドンウクなどプロのほかに素人が多数¬演じている。

    だがある日、家具屋で働くイスに一目惚れしたウジンは、彼女をデートに誘い、同じ顔を保つために3日連続で寝ずにイスと会う。眠らなければ同じ顔を続けられる。

    イスもウジンに惹かれるが彼の病に気付く。恋人同士になるが付き合うには相当な神経や気配りが必要だ。その間の泣き笑いのエピソードは面白い。
    しかしイスは神経を病み始め「精神安定剤」を多量に服用して救急病院に担ぎ込まれる始末。
    ウジンもイスも分かれることに合意する。

    そして数年後、外国からイスに「椅子」が贈られて来る。(日本語で偶然に「イス」だから韓国語は関係ないと思う)ウジンだと直感するイス。彼女に理想的な椅子の話を何度もしたからだ。

    唐突に画面はチェコのプラハに飛ぶ。市街電車の走り抜ける古い街並みはエキゾティックな
    ムード一杯だ。ソウルからプラハへのワープは何か意味があるのだろうか?
    でも見ている方ではチェンジ・オブ・ペースで心地良い。

    ソウルで電話を受けるサンベク。
    「ウジンか?何言ってるかサッパリ分からん。お前が韓国人になった朝にでも電話をくれ」
    一方的に電話を切るシーンは笑える。

    チェコ人の髭もじゃの家具職人のウジン。
    こじんまりした家具店「レア・ファニチャー」の扉を叩く音、イスだ。
    チェコ語と韓国語で話は通じない(振りをするウジン)。

    やおら英語をしゃべり始めてウジンも受けざるを得ない。月日のギャップは忽ち埋めてしまう二人。
    市電の通りを抜け、かもめが頭上を舞うカレル橋の上でプロポーズ。
    ウジンは123人に姿を変えてイスに近づきリングを渡しキスをする。

    イス役はクラシカルな美女「王になった男」「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」のハン・ヒョジュ。
    NYのFIT(ファッション・インスティチュート)を卒業しCM界やミュージックビデオで大活躍したペクがこの作品で長編映画監督デビューとなる。手法もトーン&マナーもCMそのものだ。ファンタジーロマンスを演出するには十分な資質を備えている。甘い大団円だがホロッとさせる箇所が何度もあり堪能できるエンターテインメント。
    ただ音楽が頂けない。単調なピアノか弦。何度も繰り返される「アマリーロ」も退屈な曲だ。

    1月22日よりTOHOシネマズ新宿他で公開される。

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     映画の脇役にスポットを当てた作品は人気がある。
    陽の当たらない脇役人生の哀しみと苦悩、まわりの人たちの目や家族の思い、映画の裏側、楽屋落ち、主役の人柄素顔、華やかな世界の知られざるダークサイドを露にされる。
     
    昔は(1982年)つかこうへいの舞台から映画化された「蒲田行進曲」が大評判になった。
    大部屋役者がスタントをやらされる、下手をすれば死亡するか怪我を免れない「階段落ち」を主役・銀ちゃんのスタントで必死に敢行するヤス。演じた平田満はこのヤス役からビッグになった。
     
    最近では去年公開された「太秦ライムライト」。
    55年間斬られ役に徹した福本清三を主役に彼の半生を描いた下積み役者人生。福本自身の実話でもあって忽ちのヒット。トロントでは演じた福本清三本人に男優賞が与えられるオマケまでつく。

    だから脇役俳優の「亀岡拓次」の映画に期待したのだが、どうにもとっちらかってややがっかり。
     確かに亀岡拓次を演じる安田顕は何処かで見た馴染みの顔だ。
    だが安田顕と言う名前ははじめて知った。
    だから虚実が入り混じった映画で素材は面白いのだが。

    メインプロットを亀岡がロケ先の下諏訪で訪れる小さな居酒屋のママ・室田安曇(麻生久美子)への想いだけに絞ったらクリシェかもしれないが締まった人情話、失恋のエレージーになったのではないかと残念だ。

    とっちらかった上に2時間を遥かに越える長尺にもウンザリだ。

    亀岡拓次、37歳独身(安田自身は42歳)。職業は脇役専門の俳優。何でもこなせる万能で最強の脇役なので仕事が途切れることはない。泥棒やチンピラ、ホームレスと演じた役は数知れず、大作から自主映画まで、声がかかればどんな役でも応じる亀岡は、監督たちに重宝される俳優だった。

    映画の冒頭で警官隊のピストルで撃たれて死ぬ主役の演技が拙い、「拓ちゃん教えてあげてよ」と監督から声がかかり真っ赤に染まった胸を押さえてバッタリ倒れる段取りを教示してみせる。

    撮影が終わると、妻子も居らずぼろアパートで一人住まい。
    安い居酒屋をひとり飲み歩く地味な生活を続けている。お酒が趣味で、撮影現場と酒場を行き来する毎日を送っている。ビールや日本酒を美味そうに飲む芝居は実の演技だ。

    フィリピンのホステス「ベンちゃん」と飲むシーンではお茶でなく本物のウィスキーをがぶ飲みしてセリフや芝居がめちゃくちゃになるのには笑った。

    分からないのは突如現れるスペイン(スペッソ?)の巨匠ガルシア・リカルド。舞台で戦争シーンが影絵で始まるかと思うとモロッコの砂漠に飛び、アラブ人の扮装した亀岡が頭に水がめを乗せて砂漠を一人で歩く。延々と歩くと後ろからリカルド監督が追いかけて来て「君の後姿、背中は人生そのものだ」なんて意味不明のことを喚く。

    時代劇を撮る老監督古藤(山崎務)からは濠に飛び込む捨て身の芝居をほめられたり、舞台に出て気に入られたベテランの大女優・松村夏子(三田佳子)の胸をきつく揉んで冷やかされたり、脇役人生の毎日を延々と描く。

    そんな生活にオアシスのように浮かび上がって来るのが信州・下諏訪の居酒屋「ヤスダ」のママ。ロケ先とは関係無く、バイクに乗って雨の中、中央道をひた走って(何時間掛かるのだろう)下諏訪まで辿りつく。流石に疲れ果てバイクを止める時にバイクを倒して右手に打撲傷を負う。
     優しく湿布薬を塗り包帯をしてくれる安曇ママ。そして二人で名物寒天をつまみにビールと日本酒を飲み交わしている内に安曇の私生活に触れプライベイトな予定を聞いてしまう。


    原作は自身も劇団を持ち、俳優としても活躍する作家の戌井昭人の小説「俳優・亀岡拓次」。芥川賞候補には何度もなっている著名な作家だ。

    「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督が脚本を書き映画にした。戌井昭人の原作を大切にする余り思い切った翻案が出来なかったところに弱味がある。細かく丹念に追う小説とバッサリとエッセンスを汲み取りイメージにする映画は文法が違う。
     横浜は映画美学校の卒業生で36歳、まだまだ場数を踏んでいない。青臭さが残る映像はこれだけのベテラン俳優豪華キャストを持て余しているようだ。

    1月30日よりテアトル新宿他で公開される

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    「太陽がいっぱい」や「見知らぬ乗客」などサスペンスとスリラーで知られる作家パトリシア・ハイスミスの1952年に発表した「ザ・プライス・オブ・ソルト」(The Price of Salt)を原作とした映画化。スミスの原作だから当然スリラーだと予想していたが女性同士のレズの話が展開されるので驚く。
     
    アン・リー監督の「ブロークバック・マウンテン」の男同士の愛情物語よりも10年ほど前の出来事だ。今でこそレズやホモ同士に結婚や同棲が社会的に認められて来ているが半世紀以上も前の黄金時代のアメリカでのレズビアンのラブロマンスとは随分と時代を先取りしている。

    キリスト教では同性愛を罪としナチスドイツでは同性愛者をユダヤ人同様に収容所で処刑するなど激しく弾圧されたことで密かに目立たないようにレズやホモは地下に潜っていた。

    だが最近は日本でも馴染みになった「LGBTQI」は「自分が自分らしく生きる自由」をリマインドする社会的アイコンとして、様々なムーブメントを起こしている。

     既にヨーロッパではオランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、アイスランド、デンマーク、フランスなど殆どの国が同性婚を認めているが、アメリカでも全50州のうち、37州と首都ワシントンで認められるようになった。


     そんな話は通用しない1950年のニューヨークが舞台。
    裕福なキャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)は幼い娘リディ(サンディとケネディ・ハイム)にクリスマスプレゼントを買おうと高級デパート・フランケンバーグの玩具売り場に立ち寄ったところから物語は始まる。

     アルバイトで売り子のテレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)は金髪をひっつめに結んだエレガントで端正な顔立ちのキャロルを目にした瞬間雷に打たれたような衝撃を受けて目が離せない。
    如何にも上流階級の女性で自分とは身分が違うと思っても芽生えた恋心は抑えようが無い。
     テレーズは恋人のリチャード(ジェイク・レーシー)との仲も上手く行っておりプロポーズもされている身でもある。

     遥かに年上のキャロルは裕福な夫ハージ(カイル・チャンドラー)と別居しリディの親権を争っている最中。
     ハージはキャロルを心から愛し3人の家庭を取り戻したいと考えている。
    だがキャロルは夫とは暮らせない。知り合ったテレーズからクリスマスカードを貰い忽ち二人は慈しみ愛し一緒の時間を過ごそうとする。

     どうも僕は保守的なのかこういう同性愛者の気持ちや行動が分からない。
    ましてや1950年、第二次大戦が終わり世界は疲弊している中、パックス・アメリカーナで最盛期のアメリカ黄金時代。プロテスタントの倫理が全米を覆いレズやホモは聖書の教えに背くと人々に忌み嫌われている。

     そんな中、家族が集まるクリスマスイブにキャロルは突如テレーズを誘って大型自家用車パッカードに乗ってNYから旅立とうと誘う。
    二人だけのハネムーンだ。
    エディ・フィッシャーやフランク・シナトラのクリスマスソングをバックにシカゴを経由して只管西へ向かうキャロルとテレーズ。

     禁断のレズシーンが描き出される。
    色っぽいシーン大好きな僕は固唾を呑んで見守るが全裸のケイトとルーニーはスタイリッシュで美しいが画面は露骨でない。

    ロングショットと極端なクローズアップでベッドシーンは霞がかかりエロにならない。(少しがっかりだが)しかしベッドの上では充足した二人の表情。
    ようやく念願が達成した喜びに満ちている。
    場所はオハイオ州ウォータールー。
    ど田舎のホテルのスィートルームだ。

     翌朝ホテルのフロントに電報が届いている。テレーズが隠し持った拳銃をキャロルは手にして自分たちの隣部屋のドアを蹴破って開ける。そこには夫ハージが雇った探偵が隣室の嬌声やうめき声を録音していたのだ。夫の3倍お金を払うと言ってもテープは送付済みと探偵。ようやくパトリシア・スミス調になって来る。

     判事を交えた離婚調停の裁判所のディポジション(証言)でもキャロルは潔い。リディーとの面接を許してくれさえすれば親権はハージに渡しも良いと。それでもハージは優しく元の仲良し家族に戻ろうと説得するがキャロルは頑固だ。

     テレーズもリチャードのアパートへ戻り写真家としての再出発を誓い、キャロルに別れを告げる。
    余裕ある態度のキャロルは黙ってテレーズの言うことを聞くが、この後自分は何処そこのクラブで食事をするかを呟く。

     素晴らしいのが大団円。
    雨の中歩いてやってきたテレーズがクラブで食事中のキャロルを見つける。
    大きな笑みを浮かべるキャロル。
    これは冒頭のシーンの再現だがキッチリとケジメをつけるエンディングでもある。

    「ブルージャスミン」でアカデミー賞主演女優賞に輝いたケイト・ブランシェットは流石に上手い女優だ。来年は再びオスカーが狙えそうだ。

    年上の女性キャロルと初めて「本物の恋」に落ちるテレーズを「ドラゴン・タトゥーの女」で世界の注目を浴びたルーニー・マーラが演じる。マーラはこの演技で今年の5月のカンヌ映画祭で主演女優賞を授与された。
     
     監督は「アイム・ノット・ゼア」「エデンより彼方に」などのトッド・ヘインズ。
    「エデンより彼方に」は世間の慣習や観念に抵抗するというこの映画と一脈通じるへインズ監督のコンセプトを貫く。偏見や差別意識に満ちた1957年のコネチカット州ハートフォード。二人の子供と一流企業の重役に就く夫フランクの貞淑なで理想的な妻が休日の仕事場を訪ねて同性愛にふける夫を発見する。ゲイである夫と別れた妻は黒人の庭師と愛し合う。

     今となっては時代を先取りしたハイスミスの小説だが、トッド・へインズ監督の持論のコンセプトだけに名女優二人を使っての同性愛は説得力がある。
     舞台となる1950年代初頭のニューヨーク・マンハッタンを再現したシンシナチで撮影されたが街を走る大型自動車や古い灰色の通りなど見事な美術に驚く。
     甘いラブロマンスの溢れる中、この手の変化球の恋愛映画は特異な骨で喉に突き刺さったまま抜けない。

    2月11日よりTOHOシネマズみゆき座他で公開される。

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     辻堂魁の風の市兵衛シリーズ16作目の「秋しぐれ」(祥伝社:2015年10月刊)「算盤侍」市兵衛が目立ず、主人公はむしろ江戸相撲の元関脇で鬼一と呼ばれる男の生き様を描写する。シリーズでも異色でそれだけに手に汗握る相撲の大勝負で興奮する。

     大関昇進を目前にした江戸相撲の関脇・鬼一は、弟弟子のもめ事に巻き込まれヤクザの親分に闇討ちかけられ逆に殺してしまった。
    正当防衛なのに喧嘩両成敗で江戸払いとなり、食うあてもなく旅回りの浪人相撲に加わる。そして15年間、地方の力自慢の土地相撲の連中と勧進相撲を取っていた。
     
    金が貯まりさえすれば江戸に残した幼い娘と妻に会いに戻ろうとしていたが貧乏のままずるずると長い年月をほったらかしてしまった。
    47歳の鬼一は力も衰え浪人相撲を引退し戻って来た江戸は昔の面影が全く無い。

    川岸場で人足仕事までして頑張った妻は亡くなっており3歳だった娘のお秀は水茶屋で住み込みの仲居をしていた。
     お秀は自分たち親娘を見捨て15年ぶりに突如現れた鬼一磯野助を父と認めない。

    同じころ、渡りの用人務めを生業にする市兵衛に、御徒組組頭役の旗本・伊之助から仕事の依頼が舞い込む。聞くと、芸者のお梅を身請けするために札差の茂吉に借りた30両の借金が120両に膨れ上がってしまったという。100両を超えてから茂吉の催促が厳しくなった。伊之助は婿養子で借金がばれると、離縁されてしまう。内緒で解決したい伊之助は、市兵衛に茂吉との交渉を頼みたいという。
    市兵衛は久しぶりの算盤侍の稼業に。御徒組旗本の私的借金の軽減が依頼主からの頼み、相手は札差。交渉を有利に導こうと札差の3男・順吉に御徒の株を紹介したことから、話はこの順吉が惚れている水茶屋の娘・お秀へと、更にその父親鬼一へと進む。
    御前試合で鬼一は娘に金を残すために江戸相撲の関脇又右衛門と大身の旗本たちの主宰する御前相撲で勝負を挑む。勝ったら大金が転がり込み、お秀を水茶屋の借金から解き放ち順吉との恋が成就する。

    ボロボロの身体に鞭打ち、江戸相撲現役関脇又右衛門との命を賭した勝負は凄まじい。


    この映画、昨日(21日)が初日なのでTOHOシネマズ日本橋の16時20分の回に出かけた。
    226人収容のスクリーン5は10数人しか居ない淋しさ。
    8時半頃終わって出て来ると次回の21時からの客も待っている。アメリカ並みに遅い時間にも若い観客が集まるとは映画興行の世界も変わって来た。

     冒頭のシーンは大阪の病院。
    主人公向坂伸行(玉森裕太)は老人の身体をマッサージしタオルで拭っている。
    「ヘルパーさん、ありがとう」と良く面倒を見てくれる若者に例を言う。
    担当医(片岡愛之助)もニコニコしながら二人の会話を見守る。

     てっきり主人公・向坂伸行は大阪の介護士だと思ったら東京・品川に本社がある食品会社の営業部員だった。
     脳溢血で倒れ回復した後でも父親は次男伸行のことは思い出せないのだ。

     東京出身者の多い社員の中でコテコテの関西弁の伸行は人気の的。
    特に同じ部員のミサコ(森カンナ)からは熱い視線を送られる。ミサコは中々の美人で男子社員にはモテモテだが伸行は嫌いではないが積極的に付き合おうとしない。

     関西弁ってそんなにモテるかいな?僕は神戸生まれで育ちも神戸だが早く関東に出て来て関西弁は日常では使わないし、そんなに魅力的だとは思わない。

     伸行は大阪の実家で部屋を片付けていた時、高校時代に愛読していたコミック「フェアリーゲーム」の下巻がないことに気付く。
    その結末がどうだったかを思い出そうと、ネット検索して辿り着いたのは「レインツリーの国」という名のブログ。

     その管理人は、都内在住のひとみ(西内まりや)という女性だった。
    「フェアリーゲーム」に対するひとみの「愛について」の感想に同感した伸行は、思い切ってメールを送信する。

    これをきっかけにメールを通じた2人の交流が始まり、やがて伸行はひとみに「会いたい」と告げる。だが、ひとみは頑なにこれを拒否。
     更に「貴方の声は高いですか、低いですか?」と変なことを聞いてくる。

     ようやく念願かない初デート。ひとみは姓で「人見」だった。長い漆黒の髪で瞳は大きく美人だ。
    伸行は「シンちゃん」と呼ばせてとリクエストされ満更でも無い。
    デートはレストランから始まるが「オムレツ」がウリで伸行の行き付けの店で二の足を踏むひとみ。静かな店にしてと移ったところは塩辛い酷い味。

     映画を見よう、何が良い?
     絶対洋画で字幕付き。
    しかしシネコンの番組では字幕付きのアクションは終わって吹き替えのみ。
    字幕付きの洋画と選んだ作品は明らかに駄作。
     何でこんなものを!とやや腹立たしく思う伸行にもっと怒ることが出来する。
    満員のエレベーターのひとみが乗る。
    「定員オーバーです」のアナウンスを無視して立ち尽くす彼女を引っ張り出す。
    「こんなジコチューの女だと知らなかった」会って後悔したと迄言い切る伸行にひとみは涙ぐむ。

    実は彼女には伸行に言えない秘密があった。
    高校生の時に家族で山に登り滑落して重傷で感音性難聴を患っていたのだ。

    旅行会社に障害者枠で採用されたが同僚から苛められ、自分の殻に閉じこもってきた。
    それでも、伸行の熱心な誘いに負けたひとみは、遂に会うことを決意。
    緊張しながらの初デートで伸行に違和感を覚えさせながらも先ず先ずだったがエレベーターでの重量オーバーのアナウンスの声が聞こえない。

     ひとみに苛立ち怒る伸行に「ごめんなさい」と頭を下げて走り去る。

     初めて伸行は彼女の難聴を知る。
    「中途失聴者」で生まれつきでは無いため喋るには問題が無いことを伸行は調べた。
    僕も年齢から来る難聴で洋画の字幕付きを好むからひとみの気持ちは手に取るように分かる。若い役者の滑舌の悪さも相俟って邦画は苦手だ。

     その夜、ひとみに謝罪のメールを送った伸行はリベンジデート」を提案して再デート。
    だが口論となって伸行も深く傷つくが、ひとみを「好きだ」との想いは変わらない。

     一方ひとみは伸行に会いたくなったある日、品川の会社の前まで足を運ぶが、同僚のミサコと一緒にいる姿を目撃して、ショックでそのまま帰宅。
    再び心を閉ざし、あまつさえ「レインツリーの国」のブログさえもシャットダウンしてしまう。

     レインツリーはアメリカネムノキの別名で花言葉は「歓喜」、「胸のときめき」つまり「レインツリーの国」は「歓喜の国」「心ときめく国」でひとみの目指す場所を知った伸行は突如大阪行きの新幹線で彼女を実家に拉致する。

     伸行はひとみに強引に会う。彼女の固い殻を破り障害を乗り越えようと言うビッグアイディア実行のためだ。2人の現実の世界に「レインツリーの国」を見つけようと。

     監督は過去に有川浩原作の「阪急電車 片道15分の奇跡」を撮った三宅喜重。
    僕は有川浩のヒット作の「図書館戦争」シリーズや自衛隊シリーズよりの「県庁おもてなし課」や「空飛ぶ広報室」のような地に足がついた作品が好きだ。
    「レインツリーの国」もその範疇に入る。

     主演はテレビドラマ「信長のシェフ」シリーズのKis-My-Ft2・玉森裕太、モデルや歌手として活躍する西内まりやが映画初出演でヒロインの大役。
    中々お似合いのご両人で三宅監督の着実な演出もあって笑いあり涙ありの秀作に仕上がっている。

     TOHOシネマズ日本橋他で公開中

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    TOHOシネマズ日本橋の3D上映終了後拍手が起こった。マスコミや興行主試写でこんなことは珍しい。

    このところ送り出す映画は悪く無いのにコケてばかりいるリドリー・スコット監督。
    しかしこの作品は10月2日に全米で公開されるや否や首位を立て続けに取ってスコット監督カムバックを思わせる。

     この週末(20日―22日)で7週目38日間の公開になるが、チャート第7位を堅持して3.7M、アメリカ国内での累計は213M(262億円)になる。
     海外市場では273.4M,ワールドワイド累積では486.4M(598.3億円)となる快進撃でリドリー・スコット監督のこれまでの記録「グラディエーター」を破っている。

     しかもこの数字には今週末の11月27日に公開される中国は含まれていない。中国の宇宙船「太陽神」が主人公を宇宙ステーションに移す重要な場面が含まれているので愛国心の強い中国人観客にウケ、更に記録は驚異的に伸びるだろう。

     映画「オデッセイ」の原作は、2011年に出版されたアンディ・ウィアーの人気オンライン小説「火星の人」(The Martian) 
     映画の原題もThe Martianなのに何でオデッセイなんだ?古代ギリシャのホメロスの長大な叙事詩かホンダのハイブリッド車しか頭に浮かばない。

     アンディ・ウィアはコンピュータ・プログラマーから作家に転じた人物。2009年に自分のウェブサイトに公開したところ、多くの読者からの要望でキンドル版を発売したと言う。
    処女小説だ。
     脚本のドリュー・ゴダールもSF宇宙物が得意の書き手。

     出来上がった本をこの所ヒマなリドリー・スコットが飛びつく。「エイリアン」や「ブレードランナー」など地球の未来ものSFで大ヒットを飛ばした巨匠だ。

     このところ多くの映画が描く地球の未来は「ディストピア」。
    地球は荒廃し宇宙からエイリアンが攻め込んで人類は滅亡に瀕している、と言う世界ばかりだ。
    未来SFの先駆者リドリー・スコットは既にその手の映画は卒業している。
    ユートピア迄行かない迄も人類や地球に幸せや希望を持たせる作品を作って見ようと思うのは必至だ。
    そして多くの映画ファンもそのような作品を渇望していた。だからこその大ヒットだ。

     火星へ有人探査飛行ミッション「アレス3」に参加した主人公マーク・ワトニー(マット・デイモン)。
    火星でのミッション18日目に猛烈な砂嵐に巻き込まれる。
    指揮官のメリッサ・ルイス船長(ジェシカ・チャスティン)は撤収を余儀なくされる。
    クルー6名の内マークだけは嵐に巻き込まれた通信アンテナに激突し遥か彼方に飛ばされてしまう。
    機長判断でマーク・ワトニーは死亡したと見做され宇宙船ヘルメス号で地球へ向かう。
    NASAのサンダース長官(ジェフ・ダニエル)も記者会見でワトニーの殉職を発表する。

     腹部に重傷を負いながらワトニーは生きていた。
    砂漠を長々と歩き人工居住施設「ハブ」に辿り着く。
    下腹部から金属片を取り出し傷跡を縫う。
    宇宙飛行士は自分でこれ位のことは出来る。

     面白いのはマーく・ワトニーはクルーの中でも最下位のメンバー。
    植物学者と言う専門性は探査ミッションの中でもそれ程重要では無い。
    だからロケットサイアンスの知識は乏しいが、今自分に必要なものは食料と水と酸素だと言うことは分かる。
     次の探査機「アレス4」がやって来るのは4年後。

     劣等生メロドラマの主人公の登場だ。火星のロビンソン・クルーソー。
    楽観的でポジティブ思考のワトニーの活動が始まる。
    水と肥料が無くて植物(食物)が育つか?
     
     肥料作りが笑える。クルーがウンチをすると真空パックに詰めらコンテナに収納される。
    そのウンチを取り出し火星の土に混ぜるのだ。
    最初のウンチが若くて美人のベス・ヨバンセン(ケイト・マーラ)。
    彼女を思い出しながらパックを開けると強烈な臭いで鼻を摘まむのに大笑い。

     ジャガイモを切ってウンチと混ぜた土に埋めると見事に芽が出る。
    ワトニーが呟く。
    「植民地」と言うのは上陸した土地に食料のための植物を植えることで「植民地」になる。
    これで火星(レッド・プラネット)はアメリカの植民地だ。

     一方地球では火星ミッションの責任者カプーア博士(キウェテル・イジョフォー)が火星の画像を調べていてワトニーが生きている証拠を発見しすぐさま食料を火星の送る計画を記者発表する。火星でサバイバルに命を賭けるワトニーは全世界注目の「時の人」となる。

     はぐれたワトニーを死亡したと諦めたチームの仲間たちは歓喜の声を挙げる。
    飛行中の宇宙船ヘルメス号からメリッサ・ルイス船長以下5人のクルーは知恵を絞り工夫を凝らし仲間を救出する作戦を考え実行する。
    船長が女性で男性たちのリーダーであり、救出作戦に身を挺して宇宙に飛び出すジェシカ・チャスティンが凛々しく美しい。

     この映画にアメリカ航空宇宙局 NASAが深くかかずらわっている。21世紀初頭までに月への有人宇宙飛行を含む多数の宇宙計画を成功させてきた。しかしスペースシャトルの時代は終わり有人飛行はロシアに圧倒されている。
    今や無人の惑星探査機をいくつも飛ばしている時代だ。

    この映画で2014年12月に発射された「オリオン号」のシーンが使われている。
    オリオン号こそ人類の火星探査に人類を運ぶように設計された次世代型宇宙船だ。映画のプレミア試写と同日にオリオン号が火星に着陸したとNASAからの発表があったが「出来レース」の感もある。

     しかしそのニュースで一段とこの映画への関心は高まりヒットに繋がっている。
    宇宙物、ディストピアにウンザリしている映画ファンには必見の作品だ。
    弟のトニーの自殺で落ち込んでいたリドリー・スコットのカムバックを祝う映画でもある。

    2月5日よりTOHOシネマズスカラ座他で公開される。

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     この映画を見ていると、1986年だったか通産省の提唱した「シルバーコロンビア計画」を思い出す。定年退職後の老後を海外の保養地で暮らしたいと考える人が増えてきた。衣食住など生活習慣の違い、医療などを不安に感じる人が多かった。一番の心配は言葉が通じないことだ。

     そこで通産省は長期滞在の日本人向けの居住地を民間主導で整備する。「日本人村」だ。年金収入のあるリッチな老人たちは日本に居ては実現しにくい広々とした住宅環境のもと、ゆとりの老後を送ることができる。移住先は物価の安いスペインやオーストラリア、ニュージーランドやマレーシアなど東南アジアだった。

     私の友人でトラベルエージェンシーを経営していたNさんは60歳で退職後スペインの南西部アンダルシア地方に10年も住み、すっかり生活を楽しんでいたが病気(ガン)になり、やはり医療は日本で、と帰国してしまった。もう一つ頭を悩ませたのは円安だ。移住した当時は1ドル80円~90円台だったものが120円台になり1.5倍ともなると生活が苦しくなる。
    病状は順調に回復している現在、Nさんは振り返って楽しいスペインの生活だったと語っているが今の円安になった為替レイトではとても余裕ある生活は送れないと。


    この映画もイギリスで年金生活者の富裕老人たちがインドの高級リゾートホテルに長期滞在する話だ。インドならばイギリスより遥かに物価が安く老人たちの年金と蓄えで充分に賄えるのだ。
    人気作家デボラ・モガーの小説を実写化した、2011年製作のヒューマンドラマ「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」の続編だ。

    前作では登場人物夫々の性格や交流を中心に描いたが、今回は若きインド人経営者・ソニー(デヴ・パテル)が事業の拡大を狙い、隣接する「シュプリーム・クォリティ・ホテル」を買収して「マリーゴールド・ホテル・別館」にしようと計画する。

     タイトル「THE SECOND BEST EXOTIC MARIGOLD HOTEL」のSECONDは「別館」でもあるが前作に次いでの「第二章」の意味がある。何しろ前作で精々40M(50億円)も稼いでくれれば良いと思っていたプロデューサーがワールドワイドで100M(123億円)ものヒット作になったので無理無理にシリーズ化したものと見える。

    インドにあるおんぼろの「マリーゴールド・ホテル」。
    そこで宿泊を続けているイギリス人シニアたち、イヴリン(ジュディ・デンチ)、ミュリエル(マギー・スミス)、ダグラス(ビル・ナイ)ら馴染みの顔ぶれだ。
    イヴリンは好意を寄せ合っているダグラスと関係に進展は無い。イヴリンはインド織の生地の鑑識眼が優れておる買い付けの仕事が本採用になり充実した毎日を送る。ダグラスは観光客に満足なガイドも出来ないと落ち込む。

    若きインド人経営者ソニーの事業拡大を助けようとホテルの副支配人となったミュリエルは投資会社に資金援助を申し入れる。一緒にサンフランシスコへ出張し投資会社社長タイ・バーリー(デイヴィッド・ストラザーン)と面談する。ソニーのビジネスプランにバーリーは瑕疵があると融資を見合わせるが、同席したミュリエルが出された紅茶の淹れ方が滅茶苦茶で本来のティーの味を損なうと文句をつける。ソニーはハラハラして黙らせようとするがパーリーはミュリエルを気に入り投資の話はトントン進む。(映画だね。現実世界ではあり得ない)

    ソニーたちが帰国すると予約なしの客が来ている。ガイ・チェンバーズ(リチャード・ギア)は小説を書きに来たと告げるがバーリーが現地ホテルの建設や経営状態などの「監査人」を送ると言ったことを思い出し、警戒を強めチェンバーズの監視を強める。
    お目出度いこともある。ソニーはようやく憧れのスナイナ(テーナ・デサイ)との婚約が整いお祝いのパーティが新築の別館で行われる。

    若くても年寄りでもロマンスは盛んで片思いや嫉妬、浮気などドラマを織り成す人間関係は複雑だ。
    イギリス人の老人組主人公の2人は、81歳のジュディ・ディンチとマギー・スミス、66歳のビル・ナイ、75歳のロナルド・ピックアップと年寄りばっかりだが、現地インド人役者はデヴ・パテルの25歳を初めとして20代前半の若さ一杯。特にフィアンセ役のテーナ・デサイーの輝くばかりの美しさは際立って目をひく。インド美人は色のことを抜きにすれば世界で一番キレイじゃないか。

    前作に比べて続編はやはりとっちらかってドラマとしても盛り上がらない。当たったから作ったシリーズなので綻びや破れ目は隠し切れない。
    ボリウッド映画特長の歌って踊るパーティの大群衆はディンチもスミスも巻き込んでインド的で素晴らしい。
    かつての大英帝国の白人たちがインド植民地の半黒住人を見下ろす目線は老人たちには隠せない。

    監督は前作より引き続いてジョン・マッデン。「至上の恋」やオスカーを総なめした「恋に落ちたシェイクスピア」で世界的に注目を浴びた。66歳と未だ衰えを知らない。イギリスを本拠に活躍している。

    3月TOHOシネマズシャンテ他で公開される。

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